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光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!  作者: のほほん


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第202話 婚約とプニとナタリー

ヴォルグは陛下の執務室を出ると、廊下で待っていたハリスと合流した。


その顔は、まるで生きる屍のようだった。

「ハリス……なぜこうなった……」


ハリスはまだ婚約が陛下から許可されたことを知らない。

「どうでしたか?」


「どうもこうもない……」

その時、ヴォルグはふと思い出し、ハリスをギロリと睨んだ。


「もとわと言えば、お前が原因じゃないか!」


「え? わたしですか?」

ハリスは心外だという顔をする。


「お前が雷蔵に『陛下の許可を取れば』と言ったんだよな!」


「確かに言いましたね」


ハリスはヴォルグの態度と、その言葉から、婚約の許可が下りたことをすぐに理解した。彼は冷静に、しかし深く頷いた。


「では、陛下の許可が下りたのですね。おめでとうございます、ヴォルグ団長」


「お、おめでとう、だと……?」

ヴォルグはハリスの冷静さに、さらに混乱を深めるのだった。


「いやー、ようやく肩の荷が下りました」

ハリスは心底安堵したように言った。


(こいつ、この出来事も計算の内だったのか!)


ヴォルグは改めてハリスの恐ろしさを再認識した。ハリスの言葉は、まるで全てが彼の計画通りに進んだ結果であるかのように響いた。


その頃、世界樹では、もう一人のターゲットが困惑していた。

「ナタリー」


ナタリーはプニと光魔法で遊んでいた。

「なんですか、ヒカリ様」


「ナタリーに書類届いてるよ」

ナタリーは首を傾げる。


「何の書類ですか?」


「見れば分かるよ」

ヒカリがニヤニヤしていることに違和感を覚え、ナタリーは恐る恐る書類を受け取り、内容を確認する。


「え? あ、え?」


「あの……婚約証明書と書いてるんですが」


ナタリーは顔を真っ赤にし、書類を持ったまま固まった。ヒカリは満足そうに、ナタリーの反応を楽しんでいた。


「そだよ、その婚約証明書はナタリーのお守りになるからね」


「どういうことですか?」

ナタリーは混乱したままヒカリに尋ねた。


ヒカリはこれから起こるであろう事態をナタリーに説明した。


「リンドの国でなんちゃって英雄聖女になっちゃったからさ。ナタリーを取り込もうと、貴族からの求婚が増えると思う」


「まぁ、全て国王が蹴るだろうけど、もしかしたら国王でも蹴れない人もいるかもしれないから、先手を打ったんだ」


「だからって、なぜ騎士団のヴォルグ団長なんですか?」


ナタリーは、顔が真っ赤になりながらも、その理由が理解できなかった。


「腕っぷしと権力を考えた結果、こうなりました」


ヒカリはそう答え、ヴォルグが公爵家の次男で、国の騎士団長という地位にいることが、ナタリーを守る上で最適だと判断したことを示した。


「ちなみに、相手のヴォルグ団長も了承済みだよ。雷蔵くんが許可取ってきたから」


ヒカリはヴォルグの悲鳴を聞いていないため、そう言い切った。ナタリーは、自分が全く関与しないところで、人生の重大事が決定していた事実に、茫然自失となった。


「ええ……」


「あとは護衛でプニを付けようと思うんだけど、どうかな?」


ヒカリの言葉に、ナタリーの目が輝いた。


「ほ、本当ですか?」


(あれ、もう婚約のことは忘れてるね。まぁ、あとでまた思い出すだろうけど)


ヒカリは内心でそう思いながら続けた。


「ただ、契約できるのかは分からないんだ」


プニはあくまでもヒカリの眷属であるため、ナタリーと契約できるかは不透明だった。


(レインの事もあるし、契約できるか試したいんだよな)


ヒカリは、プニがもしナタリーと契約できた場合、レインは闇属性の者と契約できる可能性があると考えた。それは、闇精霊の力が闇の崇拝者に利用されるリスクを高めるため、ヒカリは避けたいと考えていた。


「試してみる価値はあると思うけど、もしできなかったらごめんね」


「はい!大丈夫です!試させてください!」


ナタリーは婚約の件を完全に忘却し、プニを護衛にできるかもしれないという期待で胸をいっぱいにしていた。


ヒカリはプニに、ナタリーとの契約を試みるよう促した。プニは小さく頷き、ナタリーの手にそっと触れた。光の粒子が二人の間に流れ、契約の儀式が始まった。


契約の儀式は順調に進んでいた。最終段階になった時、ナタリーとプニの契約は弾かれた。


パチン!


乾いた音と共に光の粒子が散った。


「……ダメでした……」


ナタリーは残念そうに肩を落とす。プニも小さく頷いた。


「うん、弾かれちゃった」


ナタリーとプニの契約が成立しなかった事に、ヒカリは違和感を覚える。


(うーん、何故あそこで弾かれたんだろ。俺の眷属になってるからなのか、俺が契約を望んでないからなのか……うーん、分からないな)


(お互いが契約を望んでいても、何らかの力が働いたってことだな)


ヒカリが深く考えている横で、ナタリーはプニと契約出来なかった事に塞ぎ込んでいた。


「ナタリー、気にしなくていいよ。契約できないからって、プニと一緒に居れなくなるわけじゃないからね」


ヒカリは優しくナタリーに話しかける。


「プニがナタリーと一緒に居たいなら、居ていいしさ」


「プニはどうする?」

プニはナタリーに顔を擦り寄せる。


「プニ、ナタリーと一緒に居る」


「了解」


プニの言葉にナタリーは涙ぐみ、プニを抱きしめた。


(まぁ、契約しなくてもプニならナタリーを守れるでしょ。それに、これで闇属性の精霊が、闇の崇拝者に渡る可能性も少し減ったかな)


ヒカリは、ナタリーとプニの絆が契約の有無に関わらず強いことを確認し、安堵した。


ナタリーは、プニが自分のそばに居てくれるという事実に意識が向いたことによって、リンドの国に居る間は、婚約の事をすっかり忘れていた。


プニとの毎日は充実しており、ヒカリから教わった魔力操作の練習や、エルフたちとの交流、そして英雄聖女として祭り上げられたことによる細々とした公務(主にララが誘導したお茶会など)に忙殺されていた。


そして、リンドの国での任務を終え、ナダルニア王国に戻る船の中で、ふとヒカリから渡された婚約証明書の存在を思い出した。


「あ……」


ナタリーは、船室でそれを手にした瞬間、自分が騎士団長ヴォルグと婚約者になっていたという現実を突きつけられた。


「ひゃぁあああ!」


ナタリーは絶叫し、船室の壁に頭を打ち付けるのだった。

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