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第133話 試験結果

王立セントラル学園の入学試験から十日が経過し、ついに試験結果が公爵家に届けられた。


その日、クラリスとアレンは入学準備のため、公爵家へと戻っていた。


「クラリス様、学園より試験結果が届いております」

そう告げたのは、長年仕える執事セバスだった。


「ありがとう、セバス」


クラリスは落ち着いた様子で封筒を受け取ったが、その手にはわずかに緊張の色が滲んでいた。 小さく息を吐き、彼女は封を切る。中に入っていたのは試験結果を記した公式な書面だった。


クラリス・フォン・レクレール様

筆記:298点/300点

魔法:100点/100点

合計:398点

クラス:A

順位:次席


「……よかった」

クラリスは思わず小さくつぶやいた。 心の底からの安堵がこみ上げ、肩の力が抜ける。


「クラリス様、おめでとうございます」

セバスが微笑みを浮かべて祝福する。


「ありがとう、セバス。……今、お父様はどこにいらっしゃる?」


「旦那様は執務室にて書類の整理をされております」


「わかったわ」


クラリスはその足で執務室へと向かった。 重厚な扉の前でノックすると、中から父レオニスの声が返る。


「誰だ?」


「クラリスです。試験結果が届きました」


「入れ」


中に入ると、執務机に向かっていたレオニスが顔を上げた。


「どうだった?」


「次席……Aクラスでした」


その報告に、レオニスの顔がほころぶ。

「よくやった。期待通りの結果だ」


「ありがとうございます。」


「うむ、お前は努力を怠らなかった。それが結果に繋がったのだ」

クラリスは父の言葉に、胸の奥が温かくなるのを感じた。


その頃、試験結果を確認したヒカリはシナリオのズレに困惑していた。

(え?次席?ゲームのエテルニアの誓いだと首席だったのに……)


(じゃあ、首席って誰だろ……)

考え込むヒカリ。


その思考を遮るように、カインが声をかけてきた。

「クラリスの試験、好成績だったようだな」


「うん、でも……ちょっと意外だった」


「順位がか?」


「そう。首席じゃなかったんだ……」

ヒカリはふと、ある人物の顔を思い浮かべた。


(……モニカ? いや、彼女は筆記は苦手だと言ってたしな、魔法の試験は免除だったから首席は難しいか)


王宮の一角にある聖女の部屋にも、一通の封筒が静かに置かれた。


モニカは机の上の封筒をじっと見つめた後、意を決してそれを開いた。


「……」


中に記載された文字列を目で追いながら、眉がゆっくりと動く。


モニカ・エルステッド様

筆記:250点 /300点

魔法:免除(聖女特例100点)

合計:350点 /400点

クラス:A


「……え、えー? クラスA……?」

思わず声に出た。紙を持つ手がほんの少し震えている。


次の日公爵家には、商人の

ヴィクトールが訪れていた。クラリスとアレンの学園に必要な物品を届けに来たのだ

「制服のサイズは合っていますか?」


「ええ、大丈夫よ」

クラリスがにこやかに答えたがアレンは少しぎこちなかった。


「アレンどうしたの?」


「いえ、少し動きにくくって……」

その言葉に、クラリスは小さく笑う。


「すぐに慣れるわよ」


隣では執事のセバスが残りの品を確認していた

「注文した品物全て揃っております」


「それでは私は、御暇します」

全ての必要な品物を執事が確認して商人のヴィクトールとその場を後にした。


アレンと二人になった所でクラリスは試験結果を尋ねた

「アレン、あなたの試験結果、どうだったの?」


その問いに、アレンはほんの少し肩を落としながら答えた。

「……ギリでしたが、クラスAでした」


「ギリ? でも魔法試験は満点だったんでしょう?」


「はい。魔法は満点だったんですが、筆記のほうが……採点表見たら、もうあと3点落としてたらクラスB行きでした」


「まあ……でも、クラスAなのは事実じゃない」

クラリスはくすっと笑いながらソファを指さした。


「座って。せっかくだから、何点だったのか教えて?」


アレンは照れくさそうにソファに腰掛け、封筒から試験結果を取り出す。


「これです。筆記252点、魔法100点。合計352点でAクラスの下限ギリギリ」


「ほんとにギリね。でも逆に言えば、魔法さえ極めてれば、なんとかなるって証明したようなものよ」


「あの……筆記は……体を動かすのは得意なんですが」


「ふふ、そうね」


「これからもよろしくねアレン」


「はい、お嬢様」


その夜クラリスは物思いにふけっていた。孤独だった幼少期しかしヒカリに会って変わった

「色々なことがあったわね。」

クラリスはヒカリと出会ったことによって自分の人生が目まぐるしく変化したことに驚き時には笑いそして多くの人と触れ合うことができた。


ヒカリもまた一人、屋敷の屋上から星空を見上げていた。


(エテルニアの誓いが始まるまで、あとニ週間か……)


誰にも聞こえないように、彼は静かに呟いた。

「運命が、いよいよ動き出す――」

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