8.「あんたまた勝手に勧誘したの!?」
「あんたまた勝手に勧誘したの!?」
目の前で赤毛の少女が腰に手を当てぷりぷりと怒っている。
彼女の名はユナというらしい。
「ユナ氏!紹介しよう!これなるは我らの新たななかーー」
「だから勝手に勧誘すんな!!」
バシッとすごい音を立ててユナがバキオの頭をはたく。
「こら!仲間の名はちゃんと聞くでござる!こちらはタクト氏でござるよ!」
「タクトです」
バキオの紹介にタクトもサラッと名乗る。
「だからこれ以上人を巻き込むな!あんたもなにさらっとこんな怪しいヤツのパーティーに加入してんのよ!」
タクトももちろん怪しいとは思ったが、それを言うならばすでにバキオと組んでいるこの女は一体……??
バキオは頭をさすりながらユナを両手で制すると、
「まあまあユナ氏、聞いてほしいでござるよ。3人揃ったのでめでたく!黄指輪最難関のクエスト、マッシュラン退治を受注してきたのでござるよ」
「何言ってんの!?ネズミ1匹まともに狩れないあたしたちには無理に決まってんでしょ!」
マッシュランてなんだ。
「いや!次はいけるでござる!タクト氏は類い稀なるポテンシャルを秘めた新人冒険者なのだよ!」
「え……そうなの!?白い指輪をしてるようだけど」
ユナがタクトの右手にキラリと輝く、白い指輪を細めでじとっと見る。
「のお?タクト氏?」
頼む!頷いてくれ!とバキオの目が雄弁に語っている。
「あ、ああ!そうなんだ!」
仕方なくタクトも同調する。
「……いや、そんなわけないでしょ!なんか弱そうだし」
弱そうとは酷いな。
パラメータには現れない人間力があるかもしれないのに。
「とにかくでござる!受注してしまったものは仕方がないので、行くでござるよ皆の衆!」
ずんずん歩き出すバキオ。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!バキオ!」
ユナが相変わらずぷりぷりしながらバキオを追いかける。
「なんだか賑やかなパーティーに入ってしまったみたいだ…」
タクトは先行きに若干の不安を覚えながらも2人を追いかけるのだった。