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78・どうやら水虫は天敵のようです


一度私だけ戻って全ての荷物を取りに行ってきました。

恨めしそうにこちらを見ながら着替える騎士達の視線をかわしながら、アンジェリカ達が待つ馬車へ乗り込むと「もう何やってるのよ」とご立腹のアンジェリカと「騎士様達の筋肉すごかったよ〜眼福ぅ」とうっとりしたエマが出迎えてくれた。


「ごめんごめん、ちょっと魔力加減を失敗しちゃった」

「オルティース嬢、マリアに余計な事を言わないでください。マリア、筋肉が見たければいつでも見せますよ?」

「遠慮しておきます…」


とんだとばっちりだ。

顔が熱くなるのを感じる。

考えちゃだめ考えちゃだめと何度も唱えてみたけど、意識してしまう…


「マリア、顔が赤いわよ〜」

「マリアちゃんえっちぃ」

「な、な、な、なっ!?」


なんて話している内に現地に着いたようだ。

止まった馬車の外が騒がしい。


「生徒様、着きました」


迎えに来てくれた騎士の後に付いていくと、先に来ていた聖王国の騎士と隣国ナバス帝国の兵士が分担して食事の支度に取りかかっていた。


私達が通ると作業をしていた騎士達がこちらを向き丁寧にお辞儀をしてくれた。ナバス帝国の兵士達も同様にお辞儀をする。


しかし、その顔は皆、疲労困憊といった風で目の下には明らかに隈がくっきりと出来ている。寝る間も惜しんで魔物退治をしているのだろう。魔物は待ってはくれないからなぁ…


「ちょっとだけ時間を頂けますか?」

こんな状態の人達を放ってはいけないよ…


「あちらのテントでナバス帝国の方々がお待ちになっておりますので…」と困り顔の騎士に「ちょっとだけ、ねっ?」とお願いすると真っ赤に染めた顔を縦にぶんぶん降った。


すかさず、間に入って来たアッシュ君に騎士をお願いして広範囲回復魔法ワイドキュアを展開する。ついでに状態異常無効付きで。


白光の微粒子が降り注ぎ、騎士達を包み込む。すると、憔悴しきった顔がみるみる内に、隈が消え、健康的な顔色を取り戻す。


「奇跡だ…」誰かがポツリとそんな事を言うと、一斉に騎士兵士が雄叫びをあげた。

その後、皆はこの奇跡について口々に話し始めた。「長年悩まされた水虫まで治った」だの「打撲した足の腫れが引いた」だの「腰痛が!!」だのまちまちだ。


「何事だ!?」

先程の雄叫びでテントから蛍のケツと第5騎士団長と見たことあるような気がする誰かが姿を現した。


「これは何の騒ぎだ?」

いつも冷静であるはずの騎士達がお祭り騒ぎの様に騒いでいれば誰だってびっくりするだろう。騎士団長は近くにいた副騎士団長を呼び出し問う。


「何がおきた?」

「奇跡であります!私が長年悩まされていた水虫がほらっこの様にすっかりさっぱり綺麗に。これを奇跡と呼ばず何と呼ぶのでしょう!」


鼻息荒く副騎士団長は靴を脱ぎ、騎士団長に自身の足を高らかに見せる。「羨ましい…」騎士団長がぼそっと呟いた。

多分水虫は全ての騎士団員の患いなのだろう。後でこそっと騎士団長の足にも状態異常無効付きで回復魔法キュアをかけてあげよう。

なんか、とっても良いことをした気分だ。


「マリア嬢?ちょっといいかい?これはどうゆうことか中でじっくりと説明してもらおうか?」


あれっ?なんか蛍のケツ怒ってる?

周りを見ると困り顔のアッシュ君とやれやれと身振りしているアンジェリカとエマと目が合った。


私、何か間違った?






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