73・どうやら免れたようです
「只今戻りました」
女子寮にそのまま帰ろうと思っていたのだけれどアッシュ君に促され、城に帰還の報告にきました。
あの後、話し合いの結果、結局元の鞘に戻る事に…
マカダミア親子は教会内を走り回り謝りまくり、エマ達にも土下座していた。レートは責任を取って副大司祭を降りようとしていたけれど大司祭に止められ、副大司祭を続ける事になった。
ナッツは辺境の地へ自ら志願し、小さな教会の神父をする事になったそうだ。
大司教の病も治そうと思ったけれど、本人が「これも天よりのお導き、女神様の元へ行けるのです。本望ですはいっ」と言って拒否されてしまった…
エマ達姉弟は多分2人で暮らすんだと思う。あまり詳しくは聞けなかったので、後から手紙が来る予定になっている。
「良くぞ無事に戻った、心配したぞ」
国王と軽く挨拶を済ますとアッシュ君が大司祭と副大司祭から預かった手紙を2通宰相へと渡す。
手紙を取り出した宰相は内容を見ると「ほぅ」と嬉しそうに国王に耳打ちする。
それを聞いた国王も満面の笑みを浮かべている。
「よくやったアーノルド嬢。純ゴッデス教会は聖女様の御要望であれば教会の持つ全てを行使し、聖女様を支援すると書かれている。ゴッデス教会を手中にするとは偉業だぞ」
国王は誇らしげにしているけれど、そんなことより私が気になるのは…
「他になんと書かれていますか?」
「他ですか…後は謝罪文ですね」
「テストについては?もう一度受けさせてあげてくれとか再テスト要望とか?」
「それについては… 書かれてはいないようです」
宰相は何度も手紙を見返しながら首を傾げている。
---------チッ。
一番重要な部分を書き忘れるとは…
「アーノルド嬢よ、そんな事を気にしているのか?」
「そんなこと?」
確かに、国王には大した事じゃ無いんだろうけどさ、私にはこれが一番大切な事なのよ!国王には一般人がどうなろうと関係ないんだろうけどさ!
「免除じゃよ、お主がどうしてもと言うのなら再度テストを開催しても良い。どうする?」
「免除で!」
流石国王様、分かっていらっしゃる!
国王様は呆れ顔で「この後、サイラスも2人に会いたがっている。王宮花園のガゼボで待っているから行ってやってくれ」と頼まれてしまったので、嫌々行くことにした。
本当は女子寮に戻ってゆっくり寝たかったのに…やっぱりさ、いくら高級ベッドでも自分のベッドの寝心地には勝てないんだよね。
案内され、ガゼボに着くと見知った顔が…
「マリアッ!!無事なのねっ」
「アンジェリカどうしてここに?」
「貴女とエマが心配で殿下に相談にのってもらっていたのよ、そしたら帰ってくるって言うじゃない…居ても立っても居られなくなってしまって、殿下にお願いしてここで貴女を待っている事にしたのよ」
「別に待たなくったって明日になれば学園で会えるのに…」
「貴女もエマも2人共居なくなってしまったのよっ!?もう心配で心配で…貴女の事だから無事なのは分かっていたけれど…それに…寂しかったわ…」
「っ!ごめんアンジェリカ、待っていてくれてありがとう」
「ええっええっ」と泣きながら抱き着いてきたアンジェリカの背中を優しく撫でる。
ああっ、やっぱり…離れがたいな…




