70・どうやら助かったようです
「顔色も良くなったし、これでタクト君良くなってくれるといいんだけど…」
「凄いよ、マリアちゃん。やっぱりマリアちゃんは本物の聖女様なんだね〜」
青白かったタクト君の顔色が万能薬を飲ませるとみるみる内に頬が唇がピンク色に染まった。
ちゃんと調べた訳ではないから断定は出来ないが私の【鑑定】では栄養不足だが健康体と出ていたので一命は取り留めたのだと思う。
「あれっ?ナッツは?」
さっきまでそこら辺にいたナッツの姿が何処にも居なくなっている。
「ああ、それなら逃げたよ」
冷静に答えるアッシュ君、なぜ止めなかったのだろう?私が不思議そうにしていたのに気付いたのかこちらを真っ直ぐ見つめ、嬉しそうに言った。
「逃げたらどうなるか、あいつには伝えたはずだろう?だけど…逃げた。馬鹿な奴でもその意味くらい理解出来てると思うよ」
成る程、アッシュ君はわざと逃がしたのだ。
でも、確かに好都合かもしれない。
お仕置きはしようと私も考えていた…
「エマ、私達行くとこあるからここで迎えが来るまで待っててくれる?防護魔法を張っていくからタクト君とゆっくり休んでて」
「オルティース嬢、こんなものしか無いけれど弟君に食べさせてあげてくれ」
そう言ってアッシュ君は限定クリームパンと牛乳を取り出した。
「ありがとう2人共、気を付けて…」
2人でコクリと頷くとアッシュ君の追跡魔法でナッツの後を追う。
待ってろよマカダミア親子…
✤✤✤
ナッツェ視点
何なんだ何なんだ何なんだ!
話が違うではないか、私が優しく聖女様をお世話すれば地位も名誉も聖女様をも手にできると言ったのに!
教会内は走るな?気品、規律を守れ?そんな事気にしている場合では無い!殺されたくない…何故あそこにレオナルドが居るんだ、何処から湧いて出た?あいつが私に向ける目は明らかに殺気だっていた。
奴の大切な聖女様が私に好意があるからってまだ手も出していないのにあそこまで人を虫けらの様に扱うなんてあいつはイかれてる。
多分聖女様もあいつの本性を知らず、騙されているに違いない。私がお助けせねば…
「パパァー話が違うではありませんか!」
「ここでは副大司祭と呼ぶように言ったではないか、どうした?聖女様を手籠めに出来たのか?」
思い切りドアを開けてパパの元へ駆け寄る。
悠長に話している場合ではないのだ。あのイカれた男と私を食べようとする聖獣様から一刻も早く逃げなくては…
「早くここから逃げましょう!直に聖獣様がやって来ます」
「どうゆうことだ?何故聖獣様がここに?説明してくれ…」
「それは逃げながら説明致します」
パパの腕を強引に引っ張り隠し通路に誘導する。ここに入ってしまえば、聖獣様と言えども捕まえることは困難だろう…早く、あとちょっと…
「みーつけた」
後ろの方から声がする。
あぁ、一足遅かったか…
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