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69・どうやら仲直りできたようです


只今監禁中のマリアです。

出された食事を食べて眠くなったのでベッド上で寝ていたら誰かが私の髪の毛を優しく撫でているのに気が付き、目を覚ましました。


「おはようマリア、良く寝ていたね」

「…アッ…シュ…くん?アッシュ君!?何でここに?」

『『私達もいます』』

「白、シェイロンも、迎えに来てくれたの?心配しなくていいって言ったのに…」

「心配はしていない、私達はただマリアのそばに居たいだけだ」

「アッシュ君…」

置かれた手にアッシュ君の手が重なる。

少しずつアッシュ君の唇がが私の口に近付いてくる…

あれっ?これってまさかキ…ス…だよね…こんな時はどうしたら…咄嗟にぎゅっと思い切り目をつむる。アッシュ君の息が微かに感じる距離、もう少しで私達…


バンッ

「愛しの私の姫君、君のナッツェが会いに来たよ、誰だ!その男は!?」


なんてタイミングが悪い男だろう…

案の定、半ギレのアッシュ君に魔法でグルグル巻にされて、芋虫の様に転がっている。

アッシュ君が「こいつ殺っちゃっていい?」って本気で聞いてくるもんだから慌ててて止めに入りました。

ナッツにはエマの元へ案内してもらうつもりだから。


「下手に逃げたら、白とシェイロンにパクっと食べてもらうからね?」とナッツを脅し、震え上がったナッツはアッシュ君が拘束を解くと素直にエマの元へ案内してくれた。


途中数名の神官とすれ違ったが、何食わぬ顔で堂々と歩いていたら皆挨拶してくるだけで捕まえようともしないので調子抜けだった。


「エマ…」

「マリアちゃん…」

教会の地下に降りると薄暗い廊下が続き、扉がいくつか見えた。ナッツがその中の1つを開けるとエマが居た。そしてその横の小さなベッドには子供の姿が…


「その子は?」

「弟なの…」

「病気?」

「うん… さっきもう長くないかもって言われちゃった。馬鹿みたい、私…何の為に…」

「ねぇ、エマの話聞かせてくれない?」


エマは戸惑っていたが、ゆっくりと話し始めてくれた。


この国ゴッデス連邦共和国にも貴族が存在し、エマはその貴族の令嬢だった。


ある時、父親が始めた投資が上手くいかず、多額の借金を背負い、資産を全て没収されてしまったと言う。俗に言う没落貴族と言うやつだ。それでも父親は諦めきれず、エマ達姉弟を親戚の家に預けて母親と共に出稼ぎに出たという。

しかし、そこで流行り病にあい、命を落としてしまったのだ。

父親と母親が仕送りを送って来なくなった頃から親戚の虐めが始まったそうだ。

最初はエマだけが虐げられていたので、我慢していたのだが、段々と魔の手は弟タクトの方へ。タクトは虐めに絶えきれず、弱り果て病気にかかってしまったらしい。

助けを求め、この総本山へやってきた。そこでたまたま居た副大司教レートにこの任務を受ける代わりに弟の病を治癒する約束を交わしたらしい。

だけど、いざ帰ってくると弟は弱り果て生命も残り僅かだったと言う訳だ…


「罰が下ったのね…マリアちゃんを騙し、欺いてきた罰が…だけど…罰は弟では無く、私に直接…………ごめんねマリアちゃん……」


エマはそのまま泣き崩れてしまった。

そういう事だったのか…

皆を欺き、騙しているのは私も同じだ。

あのどうしょうもない兄貴達にもしも何かあれば私だって助ける為なら何だってする。ましてやエマにとってタクト君は唯一の家族だ。何が何でも守りたいのは当たり前だ。そんな弱みに漬け込むなんて…許せない!


「エマ、事情は分かった。ねぇ、覚えてる?私が薬学の授業中に失敗した薬の事」

「それって……」

「じゃじゃーん!実は万が一の為に持ち歩いていまーす。一応魔法研究所では万能薬って名前が付いた代物です」

「………」

「欲しい?」

「……私にはそれをマリアちゃんに下さいって言う資格はないから…」

「資格?それって必要なものなの?大切な弟が死にそうなのにそんなこと言ってる場合?少しは欲張りなさいよ!本音を言いなさい!いつもいつも私やアンジェリカに合わせてばかりじゃなくて自分のやりたい事、嫌な事はっきりと伝えてよ、私達…親友でしょ?」

「………ごめんねマリアちゃーん、本当は騙したくなかった!馬鹿なマリアちゃんはすぐ信用しちゃうから私みたいな女に騙されちゃうんだよ〜いつも喋りながら食べるから口から食べ物が落ちるのが凄く嫌だった!ジュースも吐くし、イビキもかくし、服のセンスも微妙で一緒に出かける時嫌だったよー」


「……そう」

嫌なとこ言えとは言ったけど、かなり傷付いたわ…エマは大泣きしながら叫んでるから止められないし…


「だけど……大好きだよーマリアちゃんの事、大好きなんだよー図々しいけどその薬を私に下さーい」

「はいっ、最初からそう言いなさいよ」

エマに薬を渡すと「えへへっ、なんだかアンジェちゃんみたい」と言いながら薬を受け取ってくれた。

私はこれだけはどうしてもエマに伝えたくて、エマの耳元で囁く。「ちょっと、私の悪口はアッシュ君の居ない所でしてよ!嫌われたらどうしてくれるの!」「あっ!ごめん」


なんだか2人で急に冷静になっちゃって無言でタクトくんに薬を飲ませました…


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