67・どうやら拉致られたようです
ヤバっ!いつの間にか寝入ってしまった。
目を覚ますと見知らぬベッドの上にいた。
「お目覚めになりましたか、聖女様」
ビクンッ
びっくりした、まさか人が近くに居たなんて…ってエマっ!?
「どうしちゃったのその喋り方!いつものエマじゃないみたい」
「聖女様の身の回りのお手伝いを仰せつかっております。何かございましたらお声をお掛け下さい」
この数時間の内に何が起きたのだろう?
「ここはどこ?」
「聖王国とゴッデス連邦共和国の国境付近の宿屋です。私達は先程国境を超え、ゴッデス側へ入りました」
「そう…」
聖王国は3つの国と面している。
1つはナバス帝国、もう1つはマダリア国そしてゴッデス連邦共和国だ。
ゴッデス連邦共和国は女神メーティス様の名の下に統一されている国で代表は教会本部の大司教である。要は純ゴッデス教会の国と言ってもいいだろう。女神信仰が深い国だ。
「何故、私は連れて来られたの?」
「それは…」
「それに関しては私の方からお話致しましょう。麗しの聖女様」
突然入って来て、歯の浮く様な台詞を吐くこの男はエマの婚約者だった男だ。名前は…なんだっけ?
「我々の代表であらせられる大司教様は女神メーティス様より神託をお受けになられたのです。それも2回も!2回もですよ!?」
きったないな、そんな興奮することかな?
それより唾が飛んでくる方をどうにかしてほしい。
「で、それと私に何の関係が?」
「1度目の神託は5年前【近々聖女降臨、宜しく〜】でした。それはそれは美しい声だったそうです。大司教様が羨ましい」
うっとりとした顔が気持ち悪いな…
宜しく〜なんてメーティス様らしい。
「そこで私達は始まりの聖女様縁の地に的を絞り込み、各国へ間者を送り込んだのです。その1人がそこにいるエルマミヤです」
「どうして私が聖女だと?」
「2度目の神託内容はこうでした。【聖女は首に星型のあざがあるから〜すぐ分かるわ~】これが2年前に降りた神託です。この話を聞いたエルマミヤから連絡が入りました。首に星型のあざを持つ女性がいるとねっ、それが貴女だ!」
「でも私以外にも首に星型のあざがある人なんて他にもいると思うんだけど…」
「ここで、私の登場です。ゴッデス教会期待の新人ホープ マカダミア・ナッツェがエルマミヤの婚約者として学園に転入し、貴女を観察してきた!」
ぶほっ、飲んでたジュースを吐き出してしまった!どうして私はこの一度聞いたら忘れられない名前を忘れてしまっていたのだろう…マカダミアナッツって…
「そして極めつけが聖獣様だ!蛇様だけならまだ誤魔化されたかもしれない…けれど、始まりの聖女様と同じ竜様をも仲間にしたと聞いた時、わたくしめは確信致しました!貴女様は聖女様だと!そして見たのです。神々しい程の2対の聖獣様を!それはそれは素晴らしく……………」
話が長くなりそうだからナッツには勝手に喋らせておいで、私はエマと話がしたい。
「エマ…」「おっと、本部から迎えが来たようだ。聖女様お手をどうぞ」
チッ ナッツの野郎、邪魔ばかりしやがって。取り敢えず、今はエマとゆっくり喋れない状況なのは分かった。
落ち着くまで付き合ってやろうじゃないの、聖女様ごっこに…
ゆっくりと差し出された手に自分の手を乗せると満面の笑みを浮かべてみせた。
ナッツは嬉しそうに私の手を取ると用意されていた豪華な馬車にエスコートした…




