5・どうやら不審者と思われたようです
ゆっくり投稿予定が…
なんだかすみませんm(_ _)m
「ここが聖王立魔剣学園か…」
16才になった私はついに乙女ゲーム『この世界であなたと共に〜光と闇〜』略して世共の舞台である聖王立魔剣学園に入学となった。
今日は入学式。今、校門の前で仁王立ちしている。昨日無い頭で考えた結果、入学式=攻略対象との出会い だと推測に至り、誰よりも早く行き、出会いイベントを全て回避してやろうと来たものの… 校門が開いていないというハプニングに出くわしてしまった。こうなったらよじ登って侵入するしかないと思い立ったが、短いスカートが邪魔をする。学園から支給された野外授業で着る体操着みたいなやつを着てくるべきだったと後悔しているところだ。校門が開くのを待っていれば、早い生徒は来てしまう。教師っぽい攻略対象も居たから校門を開けにくるかもしれない。
よし、登ろう!
両足を門扉に掛けた所で、体がふぁっと浮いた。
「そこで何をやっている?」
少しドスの利いた低音美ボイスが後ろから聞こえた。
マズイ、マズイ、マズイ…私の頭が警戒音を鳴らす。
この声聞いたことがある… 恐る恐る振り向けば、上半身裸の男が額から汗を垂らしながら眉を顰めている。
こいつ攻略対象者だ。赤髪にしっかり筋肉がついた体。赤い瞳がこちらを射貫いている。察するに走り込みをしていたのであろう。元の世界であれば、お巡りさんを呼んでいる案件だがここは冷静に…
「降ろしていただけますか?」(脇がいてーからはよ降ろせや)
「何をしていた?事と次第によっては逃がす事は出来ん」
早く降ろせ!脇が鬱血するぞ。仕方ない名乗るしか無いか…
「わたくしアーノルド男爵が娘、マリアと申します。今日こちらの学園へ入学することになりました。嬉しさの余り、早く来てしまいましたの…時間を持て余してしまったので学園内を散策しようと思いましたが、校門が開いていなくて…仕方なくここから覗こうとしてしまいました。はしたなくてすみません」
言い終わるとやっと降ろしてもらえた。
「すまない。不審者かと思ってな。たまに居るんだ。何処からか制服を調達して学園に入ろうとするやつが。私は2年 騎士科のグリエスタ・リヒャルドだ。宜しく頼む」
なんて言いづらい名前なんだ。よしこいつのあだ名は『校門野郎』と名づけよう。そうと決まれば撤収だ。これ以上関わりたくない。
「先輩でしたのね。失礼致しました。では、失礼します」
さっさと逃げるため、離れようとしたらなぜだか手首を掴まれた。
「詫びとして学園内を案内しよう!付いて来い。裏門が開いている」
おい、おい、おい、なんなんだよ。そんなのお詫びじゃなくて嫌がらせだ!私は睨みつけながら言ってやった。結構ですと!そしたら校門野郎なんと言ったと思う?
「面白い女」
爽やかな笑顔で言いやがった。今の何処に面白要素ありました?それで思い出したのよ。スチルの中に入学早々転んだヒロインをこいつが助けるシーン!やっぱり脇抱えで起されてたわ。それでお礼を言おうとして盛大に噛んじゃって…それを見てあいつが 面白い女 宣言するのよ~ それ見て思ったんだ。面白い女って馬鹿にしてるとしか思えないって!まさに今もそう。身の危険を感じたので掴まれている手を振り払って一旦女子寮に帰りました…一度も振り向かず、猛ダッシュでね。
結局その後は何事もなく、無事入学式を終えました。朝早起きした私の苦労は一体なんだったのか…解せん。そういえば攻略対象の1人メインヒーローの王子が新入生代表挨拶してたみたいだけど、早起きのせいで寝ちゃってたよ。まっいっか。