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57・どうやら対面するようです


「えーっ!アッシュ君が私のこ、こんにゃく者!」

「婚約者な、仮だがな」

ど、ど、ど、どうしよう…

まさかこんな話になるなんて聞いてないよ!


あの後、助けに来てくれたアッシュ君と共に国王様の所へ行ったんだけど、どうやら何を言っても引き下がる気がないナバス帝国の皇帝に私が直接会って婚約者がいる事を伝え、きっちりとお断りすると言う事になったらしい。

だけど、たかが男爵令嬢が帝国の皇帝からの婚姻話を断れるのだろうか…断罪されない?

それでも駄目ならアッシュ君が登場するらしいんだけど…それで何か変わるのかな?

まあ、人違いで終わるだろうけどさ…


「準備は宜しいでしょうか?」

品の良いメイドに連れて行かれた王族専用のガゼボ、咲き誇る薔薇は色様々に濃厚な匂いを漂わせている。


「こちらでお待ち下さい」

ガゼボには豪華なテーブルがあり、椅子が3席用意されていた。そこにちょこんと座る。

2人きりにならないよう、国王も同席するらしいが私だけ場違いな気がしてならない。


「白、ごめんね。中々魔物退治に行けなくて…しかもこんな事に巻き込んじゃってさ…心細いから白がいるだけで勇気が湧くよ」

『私はいつでもお母様の近くがいいのです』


癒やされるなぁ~このまま帰っちゃおうか。


「待たせたかな?」

胸元を覗き込んでて気づかなかったが、いつの間にか国王と皇帝?らしき人が立っていた。慌てて立ち上がり挨拶をする。


「また会ったな」

こちらを射抜くように見ている皇帝?に視線を向けると覚えの無い人がそこにいた。


「申し訳ございません。わたくしと何処かでお会い致しましたか?」


「私の事を忘れた?やはり馬鹿だったか…まあ顔と体だけはマシだと思って我慢するか」と私にだけ聞こえるように囁いてきた。こいつーっ!んっ?何処かでこのパターン合ったような?近付いてきた顔をまじまじと確認する。何処と無く誰かに似ているような…


あっ!思い出した!こいつアッシュ君モドキだ!余りにもどうでもいい思い出だったから頭の中からすっかり削除されていたが、思い出してしまったら、忘れた筈の怒りが込み上げてくる。


国王に「立ち話もなんだから座って話しをしよう」と言われ、お互い席に座る。


皇帝は国王にアピールするかのように私を褒め、出会った時の衝撃や私をどれだけ恋い焦がれているか嘘をつく。そして、片時も離れたくないからナバス帝国に連れて行くと…


私が否定出来ないように畳み掛けてくる皇帝にそろそろ堪忍袋の緒が切れそうだ…


見兼ねた国王が「アーノルド嬢はどうかね?」と問う。


「わたくしは…婚約者を心からお慕いしております」

「嘘だ!婚約者は居ないはずだ…」

「居るのですよ、アーノルド嬢には婚約者が、国が認めた者がね。そうお伝えしたはずですが?」

「しかし…そんな情報は… そうだ!私は今日マリア嬢にプレゼントを持ってきたのだった。気に入ってもらえると嬉しいのだが」


そう言って皇帝は胸元から取り出した高級そうな箱を開けると中からネックレスを取り出した。それを手に持つと立ち上がり、焦ったように私の元へやってきた。そして「つけてあげよう」と私の首元に手を伸ばす。


「私の婚約者に気安く触らないで頂けますか?」


そう言って現れたのは私の婚約者様だった…

はぁ~格好良い…



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