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55・どうやら失敗したようです


心配性のお父様に王都にあるタウンハウスに連れ戻されてしまいました。


学園はこの案件が解決するまで休学するそうです。届けをいつの間にか出されてしまいました。


お母様には「良くやりました、流石わたくしの娘」とお褒めの言葉を頂いたけれど…


暇だ…

後何日こうしてここに留まっていなくてはならないのか、もう1週間も閉じ込められているのに進展がない。


持ってきた聖女の日記は完全にマスターしてしまったし、暇だ…

そろそろ白にも食事をとらせてあげたい…


ゴロゴロとベッドの上を転がっていると、急にドアの外が騒がしくなった。

バタバタとメイドが行き来する音や護衛騎士の鎧の掠れる音、何が起きたのだろう?


確認しようとドアノブを回すと…あれっ?開かない?引っ張っても押しても全くびくともしないのだ。なんで?


「お嬢様、申し訳ございませんが暫くそこで大人しくしていて下さい。旦那様のご命令です」

「カロリーナ、外で何が起きているの?皆は無事?」

「はい、身体は無事ですが旦那様の精神は…無事ではすまないかもしれませんね」

「どんな状況よ!?」


どうやら王城に向かっていたはずのナバス帝国一行が少数の別働隊を用いてこちらに訪問して来たみたい。お父様が対応に追われているようだ。


「愛しのご令嬢に一目会わせてくれとナバス帝国皇帝が自ら出向いているようですが、お嬢様皇帝に何をなさったのですか?」

「何もしてないわよ…こっちが聞きたいくらいだわ」

そう、全く覚えが無いのだ。ここ最近の夜会と言えばアンジェリカ達と行った仮面舞踏会しかないのだけれど、ときめいた覚えも運命の人に出会った覚えもない。寧ろ話しかけられ過ぎて顔すら覚えていない有様。あの中にナバス皇帝が居たのだろうか?多分人違いだと思うのだけれど…



早く家を出て、新しく覚えた魔法を使ってみたい。んっ?私がここにいるから皇帝もここにいる、なら私が王城にいれば皇帝も王城に行く?そしたらお父様は万々歳か…


これは覚えたての転移魔法ワープを使うチャンスではないだろうか。やっと習得出来たのだから後は実践あるのみ。手始めに王城に転移してみよう。


頭に王城をイメージして【転移魔法ワープ】と唱えるだけ。

「カロリーナ、お父様に伝えて、王城に行ってきますと、白、行くよ転移魔法ワープ

「お嬢様お待ち――――」


光の微粒子に包み込まれ気付くと見たことの無い部屋に転移してしまっていた。

豪華だかシンプルで清潔感のあるその部屋には一際大きなベッドがある。

誰かの私室だろうか?失敗した、大まかな王城ではなく、ちゃんと謁見の間をイメージしなくては駄目だったんだ。


「マリア嬢?」

「えっ?」

振り向くとバスローブに身を包んだ蛍のケツが繋ぎの部屋のドアノブを持ったまま固まっていた。


「私はついに妄想を具現化まで出来るようになってしまったのか…重症だな」

そう呟いた蛍のケツは凄い勢い近付いてくると何も言わずに私を横抱きにした。そしてそのままベッドの上へ…


「愛しているんだ私の天使…どうかこのまま私のものになってくれないだろうか」

男の手甲が頬を優しく撫でる、その手が段々と下の方へ流れていく。近付いてくる顔からはミントの香りが漂う。


怖い… 叫びたいのに… 声が出ない…

誰か助けて… アッシュ君助けて…


バタンッ

「何をしているんだ!サイラス」

勢い良く開いたドアには、息を切らしたアッシュ君が立っていた。アッシュ君は素早く影縛シャドウバインドを展開させ、蛍のケツを拘束する。


「マリア大丈夫か?」

既に半泣きな私はアッシュ君の胸に勢いよく飛び込んでわんわん泣き出してしまった。優しく背中を擦ってくれるアッシュ君にドキドキしながらもしばらくは泣き続けてしまっていた。


その間も蛍のケツが「えっ?本物?!すまなかった…本当に申し訳ない。責任を取る」とかなんとか言っていたけど、アッシュ君が「結構だ」と言い返していた。


誰かと間違えていたのだろうが、当分許してやらねぇーからな… 欲求不満男め








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