50・どうやら誤解が解けたようです
「さぁ、白行こうか」
準備はオッケー、初級ダンジョン【森風の道】へ。
ダンジョンまでの道のりは飛んでいっちゃおうと思ってる。だからあんまり人の居ない朝方の時間を狙って出発することにした。
白はまだいつもの定位置で熟睡している、あちらに着いたら起こしてあげよう!
女子寮の窓から飛んで行ったら誰かに見られる可能性があるので、王都を出てからなら大丈夫だろう。
王都を出るにはギルドカードが必須なので忘れずあるかもう一度念入りにチェック。よしあるな。
カチッカチッ
「何の音?窓?」
どうやら窓に小石が投げつけられているようだ。こんな朝から誰だろう?まだ暗いのに…
恐る恐る窓から顔を出して確認すると、薄暗い中アッシュ君が立っていた。
「ア、アッシュ君!?ちょっと待ってて」
取り敢えず鏡の前で身なりを整えてアッシュ君の所へ向かう。
「こんな朝早くどうしたの?急用?」
まだまともにアッシュ君の顔が見れないから、この薄暗さが丁度いい。
お互いがどんな顔をしているか良く見えていない、私が緊張してるのバレないよね?
「何処に行こうとしているの?」
「えっ…」
「私を置いて何処に行こうとしてた?」
アッシュ君の様子がおかしい…どうしちゃったんだろう?
「は…く…って誰だ… 君がいつも愛おしそうに呼んでいるはくって…男?」
「そんなわけっ!!」
「そいつの所に行くの?何故?やっと私の事を意識してくれた…と思った…のに…なんで…」
「ちょっと待って!何か誤解してるよ、私は別に…私が好きなのは―――」
「聞きたくない!!無理だ、やっぱり無理なんだ…友達になんてなれない…君に触れるのは私だけ、君が笑いかけるのは私だけ、隣にいるのは私だけでいい。君の幸せを願って身を引くなんてとうに出来ないくらいまで私は落ちてしまった…このままじゃ君を何処かに閉じ込めて…永遠に2人きりに…私の…ギフトで…」
ありゃりゃ、アッシュ君が1人でブツブツ何か言っているようだか自分の世界に入っちゃってどうにもならない。話も小声で聞き取れないし、どうしたら…
『おはようございます。お母様』
「あっ、おはよう白。ごめん、今取込み中なの」
『どうかなさいましたか?私にお手伝い出来ることはありますか?』
「うーん、今の所ないかな?」
「マリア?誰と話してるの?は…くって誰?まさかそんな所に男を隠しているのか!!」
な、訳ないだろう…こんな胸の隙間に隠せる人間って誰だよ。全く…仕方がないな…アッシュ君になら白を紹介してもいいよね…
「白、出てきて」
両手を広げて前に出すと、腕を伝って白が手のひらに姿を現す。アッシュ君は驚いた顔で白を凝視している。
「白、ご挨拶して」
『はい、お母様、始めましてお父様、白です。宜しくお願いします』
「はっ、はく!?」
なんでアッシュ君の事、お父様って呼んじゃってるの!?
「凄いな、頭の中に声がする。お父様って俺の事か?」
何故かいつの間にか上機嫌になっているアッシュ君が白の頭を撫でながら嬉しそうに「もう一回呼んで」と何度も言っている。
今のアッシュ君なら話が出来そうだ。
白の食事の為にこれからダンジョンに潜ることを話すと「俺も行くからちょっと待ってて」とアッシュ君が突然姿を消した。
「ちょっと白、なんでアッシュ君をお父様って呼んだの?びっくりするじゃない…」
『お母様の好きな方でしょう?なら、私にはお父様ですよね?違いますか?』
「違う…ような…違わない…ような…」
『でも、お父様は嬉しそうです。いけませんか?』
くいっと首を傾げる仕草が可愛すぎるだろう。思わず「いけなくない」って言っちゃった。
少ししたらアッシュ君が戻ってきて、王都の外まではアッシュ君が連れて行ってくれることになった。
「では、行くよ。マリア、もっとこっちに」
はぁ~私の心臓持つかな…




