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49・どうやらダンジョンが近くにあるようです


「アーノルド、そろそろ涙以外の体液も摂取させてもらえないだろうか?」

「先生も大概しつこいですね…何度も嫌だといっているでしょう?」

「ちょっとだけでいいんだ、なぁ?少し、ほんのすこーしだ」

「大の大人が可愛子ぶっても無駄です。大体どこの体液でも同じでしょ?涙で我慢して下さい」

「私は研究者として他の体液でも同じ結果になるのか知りたいんだ!この気持ち分かるだろう?」

「全く分かりません」


魔法分析学の授業は最近こんなやりとりが頻繁に行われている。

流石にうんざりだ…

眼鏡先生がやたらと近付いてくるのも、さっきみたいに可愛子ぶって上目遣いをしてくるのも寒気がする。


そんなことより私が知りたいのはダンジョンの事。この間行った【火の穴】のように初級ダンジョンが近くにないだろうか…


白のご飯もそうだが、この間の【火の穴】ダンジョンくらいなら1人でどうにかなるんじゃないかと思ってる。色々と鬱憤うっぷんやら欲求やらが溜まっていて、ここいらでスッキリさせたいのだ。


「先生、今日はダンジョンについて教えていただけませんか?」

「ほう、ダンジョンか… 何故?」

「何故って…生徒が知りたい事を教えるのが教師の務めではないのですか?」

「なら、教師の研究や授業に協力するのも生徒の務めでは?」

「……… 分かりました!今回だけは協力致します。で、どの部分の体液ですか?血とかでよろしいですか?」

全く面倒くさい…さっさと終わりにしてダンジョンの事を聞き出さなくっちゃ!


「そうだな…血も捨てがたいが、これを逃したら後はないような気がするしな…それなら唾液か鼻み―――」

「却下」

「なら、にょ――」

「却下、やはり血にしましょう。いいですね?」

「そうだな… 仕方あるまい」

不服そうな眼鏡先生を尻目に淡々と作業をこなす。サクッと指先切って数滴小瓶に垂らすと直ぐに回復魔法キュアを施す。


それを投げやりに渡すと眼鏡先生は目を輝かせて見つめていた。


「ダンジョンについて聞かせて下さい」と半ば強引に自分の世界に浸っている眼鏡先生を現実に戻し、急かすように促す。


早くしないと授業が終わってしまうからね…


眼鏡先生の話では、この聖王国には初級ダンジョンは4つ中級ダンジョンは3つ上級ダンジョンは2つあり、それらが今冒険者ギルドに登録されているダンジョンだそうだ。


しかし、ダンジョンは急に活動を停止したり、発現したりするので登録されていたとしても確実にそこにある保証はないそうだ。


現にこの間行った初級ダンジョンの【火の穴】は私達が攻略した後に消滅してしまったらしい。


「一番近いのはこの初級ダンジョンだな」


眼鏡先生が指を指した部分に印を付ける。

ここが初級で、こっちが中級っと、次々に地図に印を付けていく。

これでよし、何とか授業内に聞き出す事に成功した。


「まさかとは思うが、くれぐれも1人で行こうとするなよ?」

「わ、わかってます」

「どうだろう?もっと詳しい話を聞きたいなら夕食でも一緒に…」キーンコーンカーンコーン


「あっ、終わった!それでは失礼します」

「ちょっ…」


眼鏡先生が何か言っているようだったが、どうせろくな話ではないだろう。

逃げるが勝ち…

名言だ。



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