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42・ダンジョン攻略 パート3(火の穴編)


第3層まで無事に辿り着いた私達は、休憩を取りつつ味気無い食事をしている。


乾パンに干した肉や野菜が入った薄味のスープ。無いよりはマシだが好んで食べる人は居ない、そんな味だ。


「マリア、食が進んで無いな?」


「んっ…贅沢を言ったらいけないのは分かっているんだけど、学園のレストランに慣れちゃってお口が贅沢になっちゃったんだよね」


「お口… 」


なんでかアッシュ君の目線が口元に固定され、顔を赤らめているかと思いきや、急に激しく顔を横に振り出したので驚いた。


「だ、大丈夫?」

「… 問題ない、これ食うか?」


アッシュ君が詠唱を唱えると、小さな黒い霧の塊の様な物が現れ、そこに徐ろに手を突っ込むと手にはパンが握られ出てきた。


「そ、それはっ!」

アッシュ君の手には学食1日限定20個のクリームパンが!


まだ、1度しか味わったことのないそれに私の視線は釘付けになってしまった。美味し過ぎて何度も買おうと挑戦したが、今の所、失敗に終わっている有り様。1度食べたのだってアンジェリカ狙いの男子生徒がアンジェリカの為に買ってきたそれを「知らない人から貰ったものは食べませんわ」と言って捨てようとしたのを恵んで貰ったのだ。

じゅるりっ、あっヨダレが…


「マリアが秘密を打ち明けてくれたから、俺も秘密を打ち明けようと思って… この魔法【闇霧魔法(ブラックホール)】は色々な物をしまっておける、とても便利なものだ。時間は経過するがな…だから知られてしまえば悪用に使われる可能性が… 聞いているか?」


「へぇー」とか「ふぅーん」と相槌はうったつもりだったが、内容は全く頭に入って来ない。だって目の前にずっと望んでいた物があったらそれの事しか考えられなくなるのは普通じゃない?


アッシュ君は呆れ顔で溜息を吐くと私にパンをくれた。「食べていいの?」と聞きつつも、遠慮なくかぶり付く。


ん~~っ、甘すぎずしっとりしていて滑らかなクリームがふんわりパンに絶妙にマッチしている、なんたる至福の時…


でもなんで私にこれを?


「マリア好きだろ、このパン」


あれ?確かにそうだけど話した事あったっけ?


「あっ、嫌、違う!俺が好きだから是非マリアに食べてほしくてな」


なるほど!それなら納得。

それにしても良く顔と首の動きだけで私の考えていることが分かるな、エスパーか?


「ご馳走、大満足だよ。よーし今なら一気にダンジョン攻略出来そうな気がするよ」


「――ほどほどにな」

食事休憩後、また例の作業を始める。

アッシュ君も慣れてきたのか霧が出るスピードが早くなった気がする。これなら予定より早く終わりそうだ。


「いた」

アッシュ君の声が洞窟の中に木霊する。


「ダンジョンボスだ。聞いていたよりでかく、どす黒い色をしているが本当にレッドドラゴンなのか?ドラゴンの足元から魔物が生み出されている。3層は他に変わった所は無いようだが、どうする?」


「やはりそうか…魔の穢れ」

ポツリと蛍のケツが呟くと騎士団長の顔が歪む。

多分この人達は最初からこの事態を予測していたんだと思う。って事はまた私は利用された事になる。だったら最初からそう言ってくれれば良かったのに…

そしたらエマもアンジェリカもアッシュ君だって巻き込まなかった…


休憩がてら作戦会議が始まった。

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