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41・ダンジョン攻略 パート2(火の穴編)


防護魔法(バリア)

騎士団を取り囲む様に、ドーム状の光の壁を展開する。

壁の周りに低級の魔物、レッドスライム【赤色のスライム】やエンカキャット【二足歩行の猫に似た魔物、尻尾の先が炎】が群がってきたが、光の壁に阻まれてこちらには来れない為、壁を攻撃している。


闇煙探知(サーチ)

アッシュ君の足元から黒い霧みたいな物が地にどんどん広がり、蛇の様に道を這っていき、まだ、私達が行っていない場所を探索して行く。


「皆さん、お疲れの所、申し訳ありませんが壁より外へ出ずに魔物を剣で攻撃していただけませんか?休憩と攻撃2手に別れて交代でお願いします」


「「はいっ!」」


おぉ、びっくりした…

あんまりにも揃って返事をするもんだから、ダンジョン内で響いて振動を感じたよ…

騎士団に混じって、皆も攻撃を始めた。

よしよし。魔物が落とす魔石は低級の物でも売れるんだから折角拾う人数も多い事だし、貰えるものは貰っとかなきゃだよね。


私が岩槍(ロックスピア)【地面から無数の岩の槍が現れる】で根絶やしにしてもよかったんだけど、また魔力がどうとか言われるのは嫌だから大人しくしておこう。


「この層には異常はないな」


アッシュ君の探索が終わり、次の層へ移動する事になった。防護魔法(バリア)は展開したまま、アッシュ君の指示に従い移動する。

下に続く階段を降りるとモワッーと熱風が吹き付けてきた。


「なんだか、暑いな…」

「言ってなかったが、このダンジョンは下の層に行く程、暑いからな、覚悟して行くように」


眼鏡先生… 

知ってたんならもっと早く言うべき事だよね?自分だけ一枚服を脱ぎやがって!

それにしても暑い、日本の夏の様だ。制服だから脱ぐわけにもいかないし…


あっ!そうだ。初代聖女の魔法に良い物があったんだ。水魔法と風魔法を組み合わせた魔法。


冷風(クーラー)


冷たい風がそよ風の様に吹き抜ける。

鎧を着た騎士団の人達は 奇跡が起きた と大騒ぎしているので私が魔法を使った事は黙っておこう。眼鏡先生もちゃっかり脱いだ服を着始めた。ザマアミロ


「マリアがやったのか?」

アッシュ君が小声で話しかけてきたので、私はシーッと人差し指を立てるとアッシュ君も無言で頷く。


何が起きているのか解らず、騒ぎ出した眼鏡先生を2人で一頻り笑った後、アッシュ君が探知魔法を繰り出す。やることは同じでさっきより少し強くなった魔物達を壁の内側から攻撃し、落ちた魔石を拾う。


どんどんと魔石で膨らむ麻の袋をホクホク顔で見詰めていると、隣に居たアッシュ君が急に膝を着き崩れた。


「ど、どうしたの?アッシュ君、大丈夫?」

「アッシュ、平気か?」

近くに居た皆がアッシュ君の元へ駆け寄る。


「すまん、魔力切れだ… 思った以上にこの層は広い」

苦しそうに胸の辺りを抑えている。

眼鏡先生の話だとこのダンジョンは比較的初心者向けで三層目が最深部らしい。

そこにダンジョンボスが居る。ちなみにボスはレッドドラゴン。絵を見せてもらったが私が知ってるドラゴンより、ワニに近かったのでちょっとガッカリしてしまった…


アッシュ君に慌てて回復魔法(キュア)と魔力回復薬を渡す。それを一気に煽ると悪かった顔色が少し良くなった様に見えたのでホッとした。


「アッシュをこれ以上酷使させる訳にはいかない。この後、どうしたものか…マリア嬢だっていつまで魔力が保つか分からない。他の手立てを考えなければな」


「3分の2位は探索出来たと思う…んだが…」


「いや、アッシュは良くやってくれたよ。想像以上にな、なぁサイラス?」


「認めたくはないが… その通りだ」


「だから、この後はゆっくり休め、まあ歩かなきゃならんがな」


「助かる、先輩…」


どうしたものか…と話し合いが始まってしまった。

端に移動して丁度いい石に座るアッシュ君に水筒を渡すと私も隣にお邪魔する事にした。


「アッシュ君、手を出して」

「こうか?」

私より一回り大きな手が差し出される。

意外にアッシュ君の手は剣だこが出来、ごつごつした男の人の手だった、その大きな手に自分の手を合わせる。


「な、な、ナニヲ…」

急にあたふたし出したから逃げられないようにぎゅっと握り、そしてゆっくりと魔力を注ぎ込む。


「どう?」

「… 気持ちいい… あ、いや、、」

顔を真っ赤にして俯くアッシュ君が可愛くてつい、虐めたくなってしまった。一気に流し込んでみた。


「あっ、んっふっ…」

ちょっとエロい声が聞こえてきたので、慌てて止めて、ごめんなさいと謝ったんだけど… 二度としないでくれ と怒られてしまった。だけどその顔も可愛すぎて、また機会があったらもう一度だけ…って思ってしまった事は黙っておくとしよう。


「凄いな、ほぼ魔力が回復した」

「なら、良かった。顔色もいいし、気分はどう?」

「凄く… いい… 不思議な気分だ」

「このまま手を繋いで、魔力を流し続ければ魔法詠唱を行えそう?」

「俺は平気だが、マリアは大丈夫なのか?ずっと魔法展開し続けているし、俺にまで魔力を分け与えて」

「ここだけの話、全然大丈夫なんだよね、魔力が減ってるって感じも無いんだけど… 皆に言ったらまた変な目で見られるでしょ?だから2人だけの内緒ね。私はよーく効く一本しかない魔力回復薬を飲んだ事にするから、アッシュ君は話を合わせてくれる?」

「しかし、それも…」

「いいから、いいから、私に任せて!今までも上手くやってきてるんだから」

「… そうなのか?」


納得のいってなさそうなアッシュ君を引っ張って、会議中の輪に近づく。


「な、何故、君達は手を繋いでいるんだ!!早く離しなさい」

「これには事情があって…」

議論で興奮していたのか、蛍のケツが凄い剣幕で捲し立ててくるもんだから、びっくりしてアッシュ君の背中に隠れちゃった。

益々怒った蛍のケツになんとか事情を説明して、落ち着いてもらった。


「じゃあアッシュ君、やろうか」

「ああ…」

「ねぇ、こうにするともっと密着して流しやすくなるよ?」

「マ、マリア!? 勘弁してくれ…」


「いい加減にしろ!!さっさと始めないか!」


折角効率良く魔力を流す為、俗に言う恋人繋ぎで手を握ろうとしたのに、蛍のケツにもアッシュ君にも拒否されてしまった…


だけど…


一瞬だけ絡めたその手が大きくて、暖かくて、ドキドキしてしまったのは仕方ない…


離れがたいと思ってしまったのは何故だろう…









いつも読んでいただき、ありがとうございます。


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