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39・どうやら仲が深まったようです


ギルドカードにしっかりと遮蔽付防護魔法(スモークバリア)を掛けて、私以外が勝手に見れないようにする。

この魔法は初代聖女が何処でも着替えられるように編み出した魔法だ。意外な所で役に立った。ありがとう聖女様〜


よし、これで安心だ。


ポケットに乱雑に突っ込むと、馬車の外から人の声がした。


(せい)、生徒様、宿に着きました。今日はここに一泊致します」


アンジェリカさんとエマさんに続いて馬車から降りると、素朴だが可愛らしい洋風な宿屋が目の前にあった。


貸し切りでございますと騎士の1人が扉を開けてくれたので、3人で中に入ると宿屋の経営者らしき夫婦とアッシュ君達が話をしている。どうやら、部屋割をどうするかで揉めているようだ。

私が隣で守るだの、俺が一番適任だとか、小さい頃から知っている者が〜とか騒がしい。なんの話だか…


騎士団の人達も困惑顔で見守っているが、私は待っているだなんてごめんだ。話が長くなりそうなので、割って入る事にした。


「すみません、お風呂ってありますか?」


「え、えぇ、ありますよ。各部屋に付いております。只今ご案内致しますね」


優しそうな宿屋の夫人がちらっと蛍のケツに視線を向ける。そうか、部屋がまだ…


「ありがとうございます。サイラス様、わたくし達は3人同部屋でお願いします。折角なのでパジャマパーティーしましょう」


「「「そんなぁ…」」」


「楽しみねぇ〜恋バナとかしちゃう?」

「あらっ?それは聞きたいわ」


「「「俺も」」」「「私も」」

「どうだろう?私だけでも参加させて…」

「女子だけです」


何を考えているんだこいつ等、アンジェリカさんやエマさんのパジャマ姿を安易に見せる理由ないだろう…

部屋は全部で15部屋、私達は2階の一番端の部屋にして貰った。男子達は1人1部屋使うっぽい。それだと騎士達の寝る部屋は足りるのだろうか?


「部屋数は足りるのですか?騎士の方々はお休みにならないのですか?」


「我々騎士団は見張りがある。1日くらい寝なくとも問題ない。心配感謝する」


明日が本番のダンジョンなのに、寝ずに見張り?有り得ない!!私達に危険が及ばない様に万全な状態で居てもらわなくては困る…

さっきから全く言葉を発しない眼鏡先生は信用出来ないからな…


「わたくしが宿に防護魔法(バリア)を張ります。この防護魔法(バリア)は悪意を持つ者を選別し、中に入れなくします、それ以外の方は自由に出入り出来ますので、騎士団の方も休んで下さい」


「そ、そんな事が?」

騎士団長は目を大きく見開き、半信半疑の面持ちだが、私達の安全の為に信じて貰わねば。


「可能です。部屋は… サイラス様は先輩と、アッシュ君とオースティン君とエドワードで1部屋、先生と団長さんで1部屋、後は騎士団の方々に使ってもらうのはどうでしょう?」


「私達は問題ない。マリア嬢の魔力は大丈夫なのだろうか?」


「全く問題ありません。では、そういう事になりましたので皆さんしっかり休んで下さいね。あっ、それと食事は部屋で取りますのでお願いできますか?」


「えぇ、直ぐにお作りし、お持ちしますね。ではご案内致します」


やっと部屋に行ける。

全く… 無駄な時間を使ってしまった。

長く馬車で揺られたせいで、ヒリヒリ痛むお尻を擦りながら、夫人に付いて行く。


入口の方から騎士達の雄叫びが聞こえた、どうせ夜の店に行く気で興奮しているのだろう。

これだから男は… 明日の為に休んでほしいものだ。まあ、楽しみも必要だが…


私達の部屋にも男子禁制の防護魔法(バリア)を一応張り、ついでに防音も付与しておこう。偏見かもしれないが、騎士団の人達はいびきとか凄そうだしね。


アンジェリカさんとエマさんと有意義な時間を過ごした。パジャマパーティーでは、エマさんと婚約者の話に赤面したり、男性の理想像や学園生活について色々語った。

今度、2人をアーノルド領に招待する事にもなった。


「ねぇ、その… あれね… その【さん】付けはやめてくださる?わたくし達お友達でしょ?」


赤面しながら小声で言うアンジェリカか可愛すぎて、エマと2人でついつい抱き着いてしまった。


あぁ、来て良かった…

恥ずかしくて面と向かって言えないけど…

2人は私にとってかけがえのない存在になっているんだよ…



――――

【騎士の雄叫び編】


「皆、聞け!聖女様が防護結界を張ってくださった。既に検証済だ。結界は完璧で、朝まで張って下さるそうだ。今宵は交代制で少数巡回し、他の者は部屋で安め。聖女様が部屋まで確保して下さった」


「「うおーー、聖女様!」」


「この御恩は明日のダンジョンで返すぞ、この間のような失敗は許されない」


「「はっ!」」


「解散」


なんと、慈悲深い聖女様なんだろう。

最初は半信半疑で、何故自分が団長にならなければいけないのか… 私怨したが…今となってはこの職務が私の誇りだ。

私は貴女に何処までもお供いたします…


―――

【宿屋の夜編】


「アッシュそこで何をやっている?」

「サイラスこそ、何をしにきた?まさか…」

「お前こそ自慢の闇魔法を駆使して、聞き耳を立てていたんじゃなるまいな」

「―― そんな事は… しない」

「怪しい間だな、必死過ぎて笑えるぞ?」

「お前こそ… 天下の王子が笑えるな」

「何を!」

「はいっ!ストープ、それ以上声を荒げると俺達が騒いでる事バレちゃうぜ?それにしても… 静かだな?」

「何も聞こえない…」

「まさか!何かあったのではあるまいな?」


ドンドンドン!!

「マリア嬢無事か? 反応なしか…」

「防護魔法が張られている、多分マリアの仕業…」

「では、中の様子は全く分からないと?」

「そうだ…」


「「……………………………」」


「――なぁ、部屋に戻ろうぜ」


「「あぁ、そうだな…」」







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