36・おやっ?色々な…
【アッシュ視点】
私は最近浮かれていると自分でも思う。立場上、許されない事と分かってはいるが、この気持ちを抑えることが出来ないのだ。
マリアと踊れる… あの白魚の様な手に、折れそうな程細い腰に触れられる。そして密着しそうな近い距離でマリアを思う存分、私だけが堪能できると想像するだけで、高鳴る胸を抑えきれないでいる。今からこの状態で果たして私の心臓は保つのだろうか…
今日も浮き立つ気持ちを抑えきれず、マリアに似合いそうなドレスを見に来てしまった。
一目見て、あぁ、マリアの為に作られたドレスだと魅入られた物を衝動買いしてしまった。店員に言われるがまま、靴までも購入…
マリアは喜んでくれるだろうか?
友達の身分で贈り物をして… 重たい奴だと嫌われないだろうか?
だが、このドレスを着たマリアを私はどうしても見たいのだ。
私の有りっ丈の想いを込めて、君にこのドレスを捧ぐよ…
―――
失敗した…
美しすぎるマリアに視線が集まってしまった。
くそっ!そんな目で私のマリアを見るな!
ただでさえ、サイラスの事でイライラしているのに、この際、闇魔法でこの会場全ての男共の目を潰してやろうか…
それにしても… 美しすぎる、いつも輝いているマリアが今日は一際輝いて見える。こんな状態でマリアと踊ったら、私はどうなってしまうのだろう…不安だ。
―――
サイラスのあの眼差し、距離間、全てが許せない。
今、私の全ての理性を総動員させてなんとか保てているが、少しづつ足元から漏れ出す闇のオーラがマリア以外を私の視界から消すため、闇の中に引きずり込こうと蠢いている。
早く終われ…
何もかも私より優るサイラスが憎くて仕方がない…
マリア…私を見て…
そんな奴見るな… 私だけを…
私は… ついに… 取り返しのつかない事を言ってしまった…
✤✤✤
【サイラス視点】
何故なんだ…
どうして彼女は私の手を取ってくれない…
アッシュの何処がいい?
私より勝っているところが奴にあるか?
あいつの話をする時の君は、何故そんな嬉しそうな顔をするんだ…
少しでもいい… 私に少しでもその笑顔を向けてくれれば、君に酷い感情を向けなくて済むのに…
どうか… これ以上私を苦しめないでくれ、マリア嬢。
――――
君はあいつの為に、着飾って、あいつの横でそんな風に笑うのか…
美しいマリア…
君は天使の様に可憐で、悪魔の様に酷いのだね…
「なぁ、サイラス、本当にアーノルド嬢の所に行くのか?止めとけよ、俺等が入る隙はなさそうだぜ?」
「うるさいぞ、リヒャルト!お前だって本当はマリア嬢に好意を寄せているくせに何も行動しない、最初から負け犬のお前に兎や角言う権利はない!」
「俺は…」
「お待ちしておりました。サイラス様」
「オースティン、エドワード、楽しんでいるか?どうした?エドワード、浮かない顔だな?」
「マリアが…」
「そうか、そなたも負け犬か… 皆、見ているがいい!私は行くぞ。私は諦めない、諦めきれるものか…」
マリア嬢… きっと君の心を掴んで魅せるよ…どんな卑怯な手を使ってでもね…
✤✤✤
【ロバート視点】
最近、教員内が慌ただしい。
原因は私のクラスのアーノルド男爵家の令嬢が殆どだ。
この間も薬学の回復薬調合中になんと万能薬らしきものを作ってしまったと報告が入った。薬学のシュチュワートが興奮冷めぬまま、詰め寄ってきたので落ち着かせるのに苦労したものだ…
その薬は今、王立魔法研究所で分析中だが、もし本当にあれが万能薬だったとしたら…初代聖女様以来の快挙になるだろう…
あぁ、私も早くアーノルド男爵令嬢を分析し、より深く解析してみたい…
「大変です!騎士科のレオナルド辺境伯令息と公爵家のハーベスト嬢と思われる2人が宮廷魔導士級の魔法を行使し、模擬戦を行いました!私では止めるどころか教える事がもうありません…どうしたら…」
なんてことだ…
今年の1年はどうなっているのだ?
これは楽しくなってきたな…
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
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