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33・どうやら友達が出来たようです


「言いたいことがあるなら言いなさいよ、わたくしを罵りたいのでしょう?」


「別に」


アンジェリカさんが泣き止むのを一頻り待った後にこの言葉、随分捻くれてるなぁ。


「なら、何故私を助けたの?慈悲でもかけたのかしら?」


「いや、ただ単に友達になれないかなぁ~って思ってさ」


「貴女馬鹿ですの!あれ程 罵詈した相手と友達になりたいなんて頭おかしいですわ!それにその喋り方!貴族令嬢としてあるまじき行為だわ。こんな子をサイラス様が…」


「確かに私はおかしいかも…でも私以上に貴女の方がおかしいよね?良く知りもしない相手をそこまで好きになるなんてさ、考えられないよ」


「ええっ…わたくしはサイラス様を良く知らないわ。だけど、それが恋をしない理由になって?会った瞬間、わたくしにはこの人しか居ない、そう思ってしまったのよ、幼い頃からずっとよ」


「私には分からない… 好きな人なんて出来たこと無いし」


「嘘付いたのね?レオナルド様をお慕いしてるって言ったじゃない!」


「あっ!やべっ… だけどあの時は仕方無くない?そうでも言わないとアンジェリカさん引いてくれなかったでしょ?」


「… そうね。あの時はごめんなさい」


やっぱりこの人は自分が悪いと思えばきちんと謝れる人だ。陰口を叩く人よりよっぽどいい。仲良くしてる振りして居なくなるとその人の悪口を平然と言う奴いるよね…


アンジェリカさんなら嫌な事は嫌だと、駄目な事は駄目だと直接伝えてくれる。そんな友達はなかなか出来ないよなぁ〜


「ねぇ、私と友達になってくれるの?」


右手をすっと出して、相手の返事を待つ。


「べ、別になってあげても良くってよ」


結構強めの力で手を握られた。

ぃったぁ〜なら私も… 強く握り返す。


「貴女とはいいお友達になれそうですわ」

「偶然、私も今 同じ事考えてた」


良かった。アンジェリカさんの顔に笑みが戻った。屈託の無い笑みが…


「ねぇ、このまま王子に告ってみれば?」


「貴女ね!他人事だからって… 大体貴女のせいでもあるのよ?」


「?」


「ふぅ、まあいいわ、貴女が鈍感だって事は痛いほど分かったから、もう色々諦めたわ」


「色恋は良くわからないけどさ、胸にずっと色々な感情が溜まると気持ち悪くない?なら、すっぱり振られて次の恋!ってなったほうが良くない?」


「貴族令嬢はそんな簡単にはいかないのよ… でも…そうね… もうわたくしの事は選ばないとおっしゃっていたものね…具切りをつけるのも…いいかもしれないわ…」


「なら、善は急げだね!私呼んでくる」


「ちょっ… 」


アンジェリカさんの気が変わらないうちに蛍のケツを呼びに行った。蛍のケツも少し感情的になってしまったと反省していたので、多分2人の話し合いは上手くいくだろう…


「アッシュ君、今日はありがとう。とても楽しかった」


「…こちらこそ」


「じゃあ、ここでいいわ。送ってくれてありがとう」


女子寮の前まで律儀に送ってくれたアッシュ君に軽く手を振り、背を向け女子寮へ入ろうとした。


「マリア!」


腕を掴まれて振り向くと、アッシュ君の顔がすぐ近くにあった。


「マリアは… サイラスが好きか?私と違ってあの完璧な王子を… 友達だって言ったけど… 君が他の男に笑顔を向けるのが… 耐えられないんだ… 私は………  ごめん」


それだけ言い残してアッシュ君の姿は闇の中に消えていった…





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