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31・どうやら少し自信が持てたようです


「私にこれを着ろと…」


アッシュ君に手渡された箱を開けると中には純白のドレスとこれまた真っ白な靴が入っていた。


これじゃあ、まるでウェディングドレスじゃない… 


鏡の前で自分に合わせてみる。

やっぱり、私には似合わない気がする。いつも悪態ばかり付いている自分にはこのドレスが凄く眩しく見えたのだ。


「アッシュ君には悪いけど、私にはこれを着ていく自信がないや… やっぱり、お父様が送ってきてくれたこっちのドレスにしようかな… とりあえず、汚す前に締まっておこう。あれっ?」


よく見ると箱の中にまだ何かある?メッセージカード?


『マリアへ  君に良く似合うドレスを見つけたので贈りたいと思う。初めて会った時から俺の目には君が輝き、眩しかった。友として君の隣に並ぶ事を許して欲しい。君は私にとって夜空に輝く一つ星だ。いつでも君を見つけ、守ると誓うよ。だから傍に居させて欲しい。いつまでも…』


アッシュ君の目には私が光り輝く星に見えてるんだ… なんだか、急に恥ずかしくなってきちゃった。意識しないようにしていたけど、こんな事言われたら意識しちゃうじゃない…


でも、、、嬉しいっ。

これは乙女ゲームだし、マリアの容姿のお陰だと分かってはいるけど、男の子にこんなに褒められたのは初めて…

自分に自信が持てたのも初めてかもしれない…

アッシュ君、ありがとう。私、着て行くよ!


コンッコンッ


「はぁい。どなたでしょう?」


「アーノルドさん、貴女にお客様がいらしているの。下へ降りてこられる?」


「ええっ、直ぐに伺いますわ」


誰だろう?もう明日が社交パーティーで忙しいのに。

寮母さんに呼ばれ、下へ降りていくと見知った赤い髪が見えた。


「よっ!」


「リヒャルト先輩… 」


「悪いが、付いてきてくれるか?」


校門野郎が来たと言う事は、呼び出し相手は蛍か…

寮母さんに伝言を頼んで、校門野郎の後に付いて行く。女子寮の前には1台の馬車があった。


「あれに乗ってくれるか?」


「…  嫌です。話があるのならば、女子寮の裏にベンチがあります。そこでお願いします。わたくし、先に行って待ってますね」


密室で二人きりなんて勘弁… それに…


「待たせたね、マリア嬢。急に呼び出してすまないね」


「いえ、それで用件は何でしょう?」


「回りくどい事を言っても君に伝わらないだろうから、単刀直入に言うよ。私と一緒に明日のパーティーに参加して欲しい」


「ごめんなさい、明日はアッシュ君とご一緒する約束を――――」

「知っていて、言ってるのだ。ご両親から話は聞いているだろう?私の気持ちは伝えた筈だ。だから…どうか…この手を取ってくれないだろうか…」


出された手… 少し震えている。

私の気持ちは伝えたって… どの事なんだろう?私を監視しているって事かな?だとすると、パーティーでも監視したいって事!?

そんなの気が休まらないじゃないか!


「わたくしには先約がありますわ。もうドレスも頂いてますし、今からお断りはできません。それに…」


「サイラス様!!わたくしに会いにいらして下さったのですね!ずっとお待ちしておりましたわ!明日のパーティーの事ですわよね?そうでしょう?」


ナイスタイミング、アンジェリカさん。寮母さんに伝言をお願いして正解だったわ。


「それでは、わたくしはお話が済みましたので、失礼致します」


「待ってくれ!マリアじょ…」

「サイラス様!わたくしが来たのだからもうあの田舎娘はいいでしょう?さっさと退散しなさいな」


私は軽くお辞儀をすると、早足で部屋に戻った。


何とか難は逃れたみたい…








補足を1つ


アッシュは本音が出る時は私になります。

普段は自分を誤魔化すために俺呼びです。

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