28・どうやら両親がくるようです
「マリア!どういう事!?説明して!」
わざわざ魔法科まで来て吠えまくるビビリ、あえて避けまくっていたのについに捕まってしまった。
「説明しても何も噂の通りよ。わたくしがアッシュ君の事を好き、ただそれだけよ」
「そんなぁ…」
ビビリは子供の頃からマリアの事が好きだったようなので、近いうちにちゃんとけじめを着けなきゃとは思っていた。マリアの昔の記憶を見ても別にビビリの事は好きそうじゃないし、別にいいよね?
エマさんにはあの校門騒ぎの後、すぐにきちんと事情を説明した。アッシュ君の為にも早い方がいいでしょ。
「ひどいよ、マリア… おじさんとおばさんがこちらに来るからその時にもう一度話そう…」
「へっ?お父様と…お母様…も?」
「そうだよ、マリアの事、手紙で話したらこちらに来たいと話していてね…ちょうど国王様にも呼ばれたみたいだから」
「いつ!?いつよ!来るのはいつ?」
勢い余って胸ぐらを掴んでしまった。エマさんに 落ち着いて〜ってなだめられ、やっと冷静になれたけど、こいつ何かチクリやがったな…
足を開きながら食事をした事?それとも遅刻をしそうになって寝癖を直さず登園した事?はたまた授業中の居眠りか…怒られ要素は考えても切りが無い。
いつ来るんだろう、お母様…
マリアのお母さん怖いんだよな〜…
放課後…
とんでも無く豪華で目立つ馬車が校門前に停まっていると生徒たちが騒いでいた。エマさんに見に行こうって誘われたが嫌な予感しかしない。
「マリアさん、見つけましたよ。こちらへいらっしゃい」
「お母様…」
と、その横で小さく手を振っているお父様…
扇で手招きをするお母様のなんたる貫禄、怖すぎる。
そのまま、言われるがまま馬車に詰め込まれました。
「お久しぶりね、マリアさん」
「お母様、ご無沙汰しておりますわ。お父様も…」
「貴女に1つだけ言いたい事がありますの、いいかしら?」
嫌だと言えるのか…言えないだろう…私はゆっくり頷いた。何を怒られるのだろう…冷や冷やする。
「良くやりました」
「えっ?今何とおしゃいましたか?」
聞き間違えか?褒められた?
「素晴らしいわ。貴女の学園での成績が優秀であると国王様直々にお褒めの言葉を頂いたのよ。もし貴女がこのまま優秀な成績を納め、卒業できたならばマリアさんを王太子様の婚約者にどうかとお話を頂いたのよ!わたくしもう嬉しくて」
お母様のはしゃぎぶりは凄かった。もう私を蛍のケツに嫁入りさせる気満々で、とても嫌だとは言い出せなかった。駄目元でビビリとの婚約話しを出してみたけど、貴女が断ったんじゃない!の一言で終わってしまった。
ぐるぐるそこら辺を巡回した後、女子寮の前に降ろされた。別れ際、お父様に どうしても今の状況が嫌になればいつでも私に言いなさい と言われた。もうすでに嫌なんですけど!とは言えなかった…
どうなっているの?蛍のケツと私が結婚?女神様のいたずら?それに私が優秀?ありえない…
このままだと頭がパニックになりそうだからとりあえず、食堂でご飯食べよ。




