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3・どうやら聖王立魔剣学園に通う事になりそうです


「お父様お話があります!」


なんとなく急ぎ足で自室からマリア父が仕事している執務室へ向かうとなんとなくドアを勢いよく開けた。その方が焦ってる感と迫力がでるかなぁと思ってさ。


「おぉ マリア!体調の方は良くなったようだなぁ。しかし、感心せんなぁ〜ノックくらいしなさい」


綺羅びやかな内装、何処を見ても金ピカに光る装飾品が飾られている一室でソファーに座る小柄で小太りな男が少ないピンクブロンドの髪をかき分けながらティータイムを楽しんでいた。

アーノルド・ライアン男爵 マリアの父である。見た目に反して敏腕をふるい大富豪へと上り詰めた男だ。


「お父様、わたくし来年16歳になるでしょう?この国では16歳は成人。成人を迎えたわたくしはもう立派な大人よね?」


「まあ、そうなるなぁ~ 私にとってはいつまでも可愛い娘だかなぁ」


ハッハッハとお腹を擦りながら笑う父。娘に甘いのはマリアの記憶から分かっていたのでここで一気に畳み掛けたい。


「成人を迎えた貴族の子供たちは聖王立魔剣学園に通い、政治や魔法学、歴史や戦闘を学ぶでしょう?でも我が家は学園から程遠く、通いは無理だわ。そうなると必然的に寮住い。わたくしお父様と離れるのは淋しいの。それにわたくしは一人っ子だもの。いつかはいつかはよ?婿を貰い、このアーノルド家を継ぐ事になるわ。歴史、政治、戦闘や戦略は旦那様に全てお願いする事になると思うの。わたくし沢山お子を育てるのが夢なの。ふふっ だからねぇ~ 学園に通わず、ここアーノルド領で専門の講師の先生を雇って魔法学だけ学ぶなんてどうかしら?」


凄い!甘えた声、上目遣い、自分で言うのも何だけど完璧だったと思う。前世の自分ではとても考えられない所業だわ。ヒロインのマリアは甘え上手、悪く言うと ぶりっ子ってやつだったんだと思う。だって仕草や話し方、どれをとっても可愛いもの。それを自然にやっちゃう自分が怖い… 少しずつマリアと同化してきているようなそんな感覚…


一頻り考えた父は「う〜ん、それもいいかもしれん。あの話を進めるか」と何やら独り言。あらっ?案外上手くいったかも なんて考えていた。


「実はな、マリアの幼馴染みのエドワード君が我がアーノルド家に婿養子に入ってもいいという打診が来ていてなぁ。マリアが成人を迎えたら直ぐにでも婚約したいそうだよ。伯爵家から婿を迎えられるなんて願ってもない事だが… まだ私はマリアを取られたくなくてのらりくらりとはぐらかして来た。だが娘の夢を叶える為に致し方無いか…」



幼馴染のエドワード?どんな顔してたっけ?

マリアの記憶に残るエドワードの顔を思い出す。


「げっ」


うそだろぉ勘弁してくれ…

スチルの顔と一致してしまった。碧色の長い髪を後で1つにまとめ、黄緑色の瞳、スラッした体型、無駄に整った顔。

あいつ幼馴染みだったのか… 

エドワードのスチルで何度も聞いたあの台詞。『お前は俺が守る』お前呼びするいけ好かない野郎だと思っていたが、幼馴染みだったとは少し納得した。マリアの記憶だといつもちょっかいを出してくる嫌な奴ってイメージだけど、成る程好きな子いじめるタイプか。


「マリア?今…げっと聞こえたがまさか貴族の令嬢がそんな言葉を?由々しき事態だ」


急にあたふたしだした父は「バイオレットに報告しなくては」と言いながらドアの方へ、バイオレットとはマリアの母である。礼節に厳しく、何事にも美しさを求める恐ろしい母親だ。そんな母にこの事を報告されたら…


咄嗟に口を押さえていた両手をおでこへと移動させ、足から崩れ落ちた。


「げーっグァー急にあ、頭が割れるように痛いわぁーーっ」


「マ、マリアーッ!誰か医者を!医者を直ぐに呼べー」


屋敷中大混乱よ。父はあたふた、メイドや執事は走り回り医者の手配やら薬やら… なぜだかカロリーナだけは冷静でいつの間にか現れ、自室へ連行され、ベッドへ寝かされた。「お嬢様ほどほどに」なんて言われてドキッとしちゃったわ。何故バレたのかしら?解せん。


とにかく母が何日か留守で良かったわ。

さあ、今日も食っちゃ寝生活ありがとうございます。



ちなみに、後日エドワードとの縁談は断ってもらいました。やっぱり学園に通いたいからと。始めは反対していた父だったけど、友達が欲しいとか政治を学びお父様の役に立ちたいとか色々な理由を並べてなんとか説得できたみたい。後、母に学園で色々な方と交友を深める事は大事な事よ ねぇ〜あなた なんて言われて頷くしか無い父が不憫でならなかった。


結局学園へ通う事になっちゃったけど、このままエドワードと結婚させられるよりマシだよねっと思う事にする。









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