27・どうやら痴話喧嘩に巻き込まれたようです
学園へ登校途中、またもや校門前で事件が起きました。
「貴女、わたくしの忠告を無視して、サイラス様に近づく事をお止めなさい!彼はわたくしの婚約者なのよ?人の婚約者に色目を使うなんて恥を知りなさい!」
「「そうよ、そうよ。アンジェリカ様の言う通りだわ。恥を知りなさい!」」
遅刻ギリギリなのに、どうやら待ち伏せをされていたようです。大きな声で喚くからギャラリーも増えて来ちゃって逃げるわけにも行かなくなってしまった。
面と向かって私に言ってるんだから、私に言っているんだよね?んっ?意味が分からなくなって来たが、何かしたっけ?
そう言えば良く兄貴の彼女にも浮気相手と間違われてこうやって絡まれたなぁ~懐かしい。
「聞いてますの?田舎娘!貴女の事よ!」
おっと現実逃避しちゃってた!
こういう場合、落ち着かせてからきちんと話をすれば大体は丸く治まるだろう。
「ええっ、聞いておりますよ。まずは落ち着いてくださいまし。わたくし全く身に覚えが無いのですが、何か気に障る事しましたかしら?」
「なんですって!?あれだけの事をしておきながら身に覚えが無いだなんて許せませんわ!」
ありゃ?逆に怒らせた?何故?
「あれだけの事とは?」
「サイラス様に色目を使い、惑わせたではありませんか!」
「わたくしが?サイラス様に?御冗談を」
そんな訳あるか!睨む事はあっても色目を使うだなんて…絶対に有り得ん。何処をどう見間違えたらそうなるんだか…
許せませんわってキィキィ言っててもう全然人の話を聞いてくれない。どうしよう…
「何をしている?アンジェリカ嬢!…っとマリア嬢?」
「サイラスさまぁ!来てくださったのですね。皆の前で公言して下さいまし、わたくしが貴方の婚約者だと。そうすれば貴方がこの田舎娘に懸念していると言う噂はたちまち消えますわ」
「!?」
おいっ!そこで顔を赤らめてこっちを見るのやめい!益々誤解されるではないか!
隣のアンジェリカさんがすんごい顔で見ているぞ。絶対に悪い方向でとらえたよ、あの顔は…
「皆さん、誤解をしていますわ。わたくしにはお慕いしている人が居ます。それはサイラス様ではありませんわ。アンジェリカさん、全て誤解なのです。信じて下さい」
「それは誰よ?」
「それは誰なんだ?」
おぉ、息ぴったりだなこの2人。いい夫婦になれるに違いない。アンジェリカさん応援してるよ心から!
「誰と言われましても…」
誰も居ないしな… 好きな人って出来たことないからパッと浮かぶ人も居ないし、どうしよう。この2人言うまで食い下がらなそうだし…
「俺だ!」
ありゃ?何処から出てきたのか、いつの間にかアッシュ君に肩を抱かれていた。ここは一先ず、利用させていただこう。
「そうなのです。アッシュ様、お慕いしております」
「俺も――――すっ、すっ、すっ――――」
「まあ、このような感じです。アンジェリカ様、おわかりいただけましたか?」
ええっ勿論。ごめんなさいねぇ~ってウキウキしながら立ち去ったアンジェリカさん。蛍のケツはいつの間にか居なくなっていた。一言くらい謝っていけよな~。ギャラリーも居なくなってホッと一安心だ。
「アッシュ君ありがとうございます。嘘に付きあって頂いて助かりましたわ」
「嘘か…」
「ええっ、勿論エマさんには真実をきちんと話しますのでご安心を。流石は持つべきものは友ですわね。」
「友…」
「アッシュ君には助けて頂いてばかりですわ。何かお礼が出来なら… 何がいいかしら?」
「なら、話し方… エドワードと話すような…敬語はいらない」
「それだけ?」
「ああっ、それが一番だ。今の所な…」
そんなんで良いならいつでもウェルカムだ。マリアとは完全に同化して今では私の自の方が強いから丁寧な言葉はとても疲れる。
「じゃあ、改めて宜しくね。アッシュ君」
「ああっ、宜しく」
握手をして友情を確かめ合った。
何か私達いい友達に慣れそう。男女の友情って成立しないって聞いたけど、嘘だったんだね。




