25・どうやら勉強の成果がでたようです
「行かなくていい。マリアに危ない事をさせたくない」
ドキッとしちゃった。いつの間にか呼び捨てにされてる。
だけどそう言われてもなぁ…
出てきた魔獣はファイアーシーシと言う火属性の中級の魔獣だった。ライオンに似た感じでたてがみと尻尾が炎になっている見た目は可愛い系の魔獣だ。
多分こいつだけだったら騎士団で討伐できると思う。だけど後から後から湧き出る下級の魔獣が邪魔していて中々致命傷を与えられないでいる。
「あの魔の穢れだけどうにか出来れば…」
皆を助けられるかも知れない。このままだと怪我人が出るのは間違いない。もしかしたら死人も…
「アッシュ君、わたくしやっぱり騎士団のみんなを助けたいわ」
2日間一緒にいただけかもしれないけど、優しくしてくれた人や親切な人も居た。ここで知らんぷりして私だけ逃げ出すなんて出来ない。
「なら、俺がさっきみたいに連れて行く。どう戦う?」
「あの魔の穢れを癒すわ。あれさえ無くなれば勝てるもの!」
「なら、黒い湖の近くに行けばいいか?」
「わたくし1人で行くわ。アッシュ君にこれ以上迷惑をかけられないから」
私には浮遊魔法がある。
良く考えたら魔獣飛べないから空って無敵だよね。
飛んでくるファイアーシーシの攻撃さえ当たらなけば余裕でしょ。
「浮遊魔法」
「待って…… 俺を置いて行かないで!」
下の方でアッシュ君が何か言っているようだか、とりあえず優先は魔の穢れの除去だよね。アッシュ君の話は後で聞こう。それにしても私飛んでるよ〜ちょうちょの羽だと早く飛べない気がするから鳥の羽に改良してみました。こんなに早く試せるとは思ってなかったからちょっと浮かれてるかも。今は集中しなくっちゃ!
聖女の日記にあった魔の穢れの浄化方法は確か大地の癒しだったはず。一応何度か練習しといたんだよね。
癒しを使うならまずは自分を癒せ 聖癒魔法って説明があった。自分の好きな事や楽しみな事を考えながら使う魔法でその思いが強いほど効き目が強く出るって書いてあったはず。なら今の私の楽しみは…
「ラザニア食べたい!聖癒魔法!」
おお、空の上からでも成功した。湖の黒かった部分が光り輝き、透き通る水へと変わったのだ。
おっと、みんなに見られないうちに退散しよう。聖女の魔法が使えるとバレたら碌な事にならない気がする。
逃げるようにアッシュ君の元に戻ったら、沈んだ表情のアッシュ君と目があった。
「わたくしが聖癒魔法を使ったことは2人だけの秘密にしてくださる?」
「2人だけの秘密… もちろん!」
急にテンションが上がったアッシュ君に若干引きながら2人で先に村へ戻りました。あの瞬間移動みたいな魔法は良く見たら觔斗雲みたいなやつだった。これも日本人なら憧れの1つだよね~。
村に着いたら早速エマさんと沢山美味しいものを食べました。残念な事にラザニアはなかったけど、ラザニア村ならではの郷土料理を頂きました。
帰って来た蛍のケツに呼び出しをくらったけど、疲れたを理由に行きませんでした。居なくなったからとても心配したって伝言ももらったけど先に置き去りにしたのはお前達だからな?
帰りも馬車に乗るのを断固拒否し、エマさんと歩って帰りました。
そう言えば不思議な事がある。お礼が言いたくてアッシュ君を探したけど、何処にもいないんだよね…
それと1度も見ない校門野郎はどこ行った?
う〜ん、まっいっか。




