23・どうやら邪魔者扱いされているようです
今迄こんな授業あったのだろうか?
王子がいるから特別授業?
今日から始まる一泊の野外授業。
前回の野外授業であんな事が起きたのにまた行われるなんて不思議でならない。
しかも第5騎士団と一緒。職場体験的な事らしい。
聖王国では騎士団は4つに分けられていたはず。王宮王族の近辺警護をする第1騎士団、街中や近くの村を巡回や取り締まりをする第2騎士団、他国の侵略や魔獣討伐を行う第3騎士団、諜報部隊である第4騎士団である。第5騎士団って何?
今回は全学年自由参加だから参加者の人数は少ない。一泊キャンプだからねぇ〜貴族の御子息御令嬢にはちょっと厳しいかもね。
私はエマさんを誘って参加にしました。
だって残ると眼鏡先生の魔法分析学の授業があるから本当に嫌。
参加に渋るエマさんには浄化魔法と消臭魔法を覚えた事を伝え、やっと了承を得ました。
後はこれから向かうラザニア村に興味があるから。美味しそうな名前でしょう?絶対に旨いものがあると思うのよね。
でも納得いかない部分もある。それは勝手に組まれていた班についてだ。ほとんどが女子と男子 同性同士の班を作っているのに私達は混合。同じ班になると一緒にテントで寝なきゃなのにどういう事さ!
「やあ、君達。さぁこの馬車に乗りたまえ」
私達だけなんで?
他の生徒や騎士団の人達は歩きなのに私とエマさんだけは蛍のケツと豪華な馬車に乗せられてしまった。班の他のメンバー 校門野郎とアッシュ君は何処に行ったんだろう?
馬車の中では蛍のケツがやたら優しくて気持ちが悪くて馬車酔してしまいました。距離間も近いし、そんなに至近距離で監視しなくたってなんも隠してないつーの!エマさんが居てくれて本当に良かった。
馬車から降りる時もエスコートしたがるから全部エマさんに押し付けてしまいました。ごめんねエマさん〜。
「今日はここで野宿をする。さぁ各班に分かれて準備をしてくれ」
団長さんの合図でテントを張ったり、食事の準備を始めた。騎士団の方に教わりながらみんな楽しそうだ。
私達は…って言うと何にもしてない。と、言うか何にもさせてもらえないが正しいと思う。私だって何か手伝う事ありますか?って聞いたよ?だけどどの騎士の人に聞いても 貴女は座ってて下さいとかあちらでお休み下さいとかみんなして除け者にするわけ… エマさんが居なかったら心が折れてたよ… エマさんは 大切にされてるねって言ってたけど要は何も出来なそうな私を邪魔扱いしたって事だよね…なんだよチクショウ。
「君達は馬車の中で一夜を過ごしてくれ。何かあれば外にいる者に声を掛けるように。私も君と一緒に過ごしたいが未婚の女性と夜を共にするわけにはいないからね。おやすみマリア嬢、エマ嬢。夢の中で君に会えるといいな」
蛍のケツはそう言って私の右手の甲にそっと口吻をしようとした。「あっ私さっきとてもつまらなかったので昆虫採集しておりましたの。手を洗い忘れましたわ」と伝えると、引き攣った顔で手を離した。ざまあみろ。
「マリアちゃんいつの間にサイラス様と仲良くなったの?」
「エマさん、あれはいつでもお前を監視しているという警告よ。夢の中まで監視しようとするだなんてなんて貪欲な人なのかしら。わたくし何かした覚えがないのだけれど、どうしてこんな事になったのか分からないわ…」
最近やたらしつこく蛍のケツに監視されてて困っている。やはりゲームの強制力なのだろうか?はぁ〜…
馬車の中に入ろうと手摺りに手を掛けた時…
「―――おやすみ」
馬車の影からアッシュ君が現れた。
人間本当に驚くと声が出ないって聞いた事あるけどまさにその通りだ。心臓がバクバクヤバい。
「アッ、アッシュくん居たのね。全然姿見なかったから居ないのだと思ってたわ。今まで何処にいらしたの?」
「―――ずっと居た。近くに…」
「―――そう」
これ以上聞いちゃ駄目なやつだ。
本場ヤンデレ怖すぎる…やっぱり小説より本物は臨場感がきつい。エマさんマジごめん。エマさんが本当に嫌だったら逃げる手助けは絶対にするよ…
馬車に戻った私は念入りにエマさんに浄化魔法と消臭魔法を掛けました。少しでも償いになればと…
エマさんには 私そんなに臭い?って言われちゃったけど許してくれエマさん。今はまだ何も言えないんだ。エマさんに嫌われたら私この世界で生きていけないから。




