1・どうやら異世界転生してしまったようです
久しぶりの投稿になります。
ゆっくり投稿しますので、皆さんゆる~く読んでいただけたらと思います。
宜しくお願いします。
「なんじゃこりゃあーーーっ」
多分異世界転生したであろう私が初めて発した言葉。
少し口が悪いが許してほしい… 私こと『吉良姫華17才』はどうやら乙女ゲーム『この世界であなたと共に〜光と闇〜』略して世共の中にヒロインとして転生してしまったようだ。
何故ここが乙女ゲームの世界だと分かったかだって?
それは唯一見た… いや、見せられた乙女ゲームがこの世共だから。
鏡に映る自分はまさにそのヒロインにそっくりなのである。ピンクブロンドのサラサラな長い髪、クリっとした大きな蒼い瞳、プクッと膨らんだピンク色の唇、首にある星型の痣、そしておでこに大きなたん瘤…
頭を強く打って前世思い出しちゃいました てへっ。よーし前世の記憶でチート目指して頑張ります的なそんな のほほーんとした感じじゃなくて私さっきまでコンビニで買い物していたんですけど!家に帰る途中 何処かに頭ぶつけて…気づいたら知らないベッドの上。あらっ、金持ちに助けられたかくらいな感じでズキズキ痛むおでこを確認しようと近くにあった鏡を覗きこんだ。30分は思考停止したわ…からのなんじゃこりゃーな訳よ。
「マリアお嬢様っ」
勢いよく開いたドア。清楚系メイド服を着た20歳位の女性が凄い勢いで詰め寄って来た。
「カロリーナ…」
今、勝手に口が動いたのか?慌てて口を押さえた。怖い、怖すぎる。自分であって自分じゃないみたいそんな感じ。
どうやらマリアの記憶もしっかり残っているようだ。カロリーナの話では乗馬の練習で落馬し、頭をぶつけたがスピードが出ていなかったのと昨日の雨で地面が泥濘んでいた為、大事には至らなかったとの事。軽い脳震盪で済んだみたいだ。しっかりたん瘤は残っているけどね。
「カロリーナ、ごめんなさい。わたくしまだ調子が良くないみたい。もう少し休みます」
わたくしだってププッと脳内で笑いながら顔は崩さず、しっかり貴族思考が身についているようで優雅にベッドに横になる。心配そうに部屋を出ていくカロリーナを確認した後、枕に思い切り顔を埋め 叫んだ。
「クソがーっ」
ああっスッキリした。寝よっ。
もしかしたら目覚めたら元の世界に戻っているかもしれない。これはすべて夢でまた元の現実に戻っているかも。そうであって欲しい。私ほど乙女ゲームに合わない女子は居ないと思う。キラキラした男子なんて真っ平ごめん。これは夢なんだ、そうに違いない。
ギュッと目を閉じる…なんだか眠たくなってきた。案外自分の神経の図太さにびっくりする。
ただ…ズキズキと痛むおでこだけがここは現実だよと私に語りかけているようでならなかった。