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3/3

ヒロインは見守る

この回短めです。









リアム・デマントイドの衝撃発言の後、私はフィルリア・ローレンのことを内密に調査し始めた。

1〜3年の生徒や先生にもさりげなく彼女のことを聞いてみたところ、ゲームのキャラとは全くの別人だということが分かった。



勉強は常にトップクラス。淑女としてのマナーもマスターしており、非の打ち所がないほど完璧な女性だというのがほとんどの人の意見だった。

なにより性格が朗らかで優しく、誰からも愛されている、という印象がとても多かった。




「やっぱり、ゲームとは全然違う」




ここまで聞いてきて、彼女の悪口を言っている人はほとんどいなかった。いたとしてもあれは妬みの部類だろう。


もしかしすると、何かしらのバグが起きているのかもしれない。

[ゲームの世界]というだけで、登場人物が一緒なだけとか?

どちらにせよ、主人公はいじめられない、イベントが起こらない=最推しのハッピーエンドが待っている!

しかも最推しの性格が真逆になってるなんて!もっと推せちゃうよ!

優しくて美しくて完璧とか!





「私が結婚して欲しいくらいだ!」

「ははは、流石にそれは私が困るな」




またしても3年生の教室前の渡り廊下。その隅で最推しを覗き見ていた私の横に現れたのはリアム様だ。相変わらずニコニコと笑っている。




「リアム様ずるいです。私がフィルリア様と生涯を共にしたいです」

「今だに面と向かって話せてないのに、生涯を共にしようなんて無謀じゃないかな?」

「じゃあ私にその地位ください」

「その理由は?」

「婚約者になれるので」




怖いねぇ、とリアムは苦笑いする。

本気で羨ましいんですよ。私は。



初めて会った日を境に私とリアム様はよく話をするようになった。話す内容はもちろんフィルリア様についてだ。その日の彼女の様子、先日開かれたお茶会での出来事、リアム様のフィルリア様への愛(それに関しては似たような事を何回も言うので適当に流している)。

どの話をしている時もリアム様の瞳はキラキラ輝いており、本当に好きなんだなぁと感じている。


しかし当のフィルリア様が同じ気持ちなのかと考えると、そういうわけではなさそう。

2人が一緒にいる時を目撃した際も、リアム様に対して一線を引いている気がしたのだ。

なんというか、深入りをしないようにしている感じ。

リアム様がフィルリア様のことが好きなのは分かっているが、フィルリア様が同じ気持ちでないのであれば、私は推しの気持ちを尊重したいので、リアム様の応援はできない。

この間そう伝えたところ




「好きにさせるよ、必ずね」




と、好きでもない相手から言われたらゾッとするような事を言われたし、私の心の声が口に出ていた。










***





フィルリア様の性格は何かのバグ、という事で脳内処理をした私はリアム様と別れて教室に戻り、次の授業の準備をしていた。

中休みごとに3年の教室行くの結構気力がいるよね…ましてや私平民出の子爵令嬢だし、ヒソヒソと陰口言われているんだよな。気にならんけど。昼休みとか長い休みの時にだけ行こうかなぁ。

そんな事を考えながら荷物を持って廊下を歩く。

すると急にぐいっと腕を誰かに掴まれて引っ張られた。





「っえ!?ななななに!?」





あまりの力の強さに驚いて目を瞑って、ピシャリと扉が閉まる音がした後、おそるおそる目を開いた。


窓の反射で視界が白くなる。目が光に慣れてきた時私の目の前にいたのは、イアン・ローレンだった。









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