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両親の危機

兄におぶってもらって父と母の元に向かうと、2人とも首のところが赤く光っていた。

首を狙われて死ぬという暗示だ赤い光が強いほどそれは間近になる。

とても赤い光を発している首元に、私は慌てて足に仕込んでおいた仕込み刀を2つ投げた。

仕込み刀は、謎の斬撃を反射し、床にポトリと落ちた。

「な、何を……」

「お母様お父様!2人の命が狙われてます!護衛をもっと固めて!急所を隠して!!」

兄の言葉に被せるようにそう叫ぶと、

父は少し唖然とした後、母と自身の周りの護衛を固めた


そして、真面目な顔で私に問いつめる。

「何故、襲撃がわかった?狙われてるのは本当に私と妻だけなのか?」

「いえ、私も狙われてはいます。でも、お母様とお父様の後に殺す予定のようです」

「なぜそう断言出来るのだ」

「わたし、未来予知の力に目覚めたのです」

用意しておいた嘘を言うと、3人は唖然とした。

「未来予知……かつて、勇者が獲得したとされるあのスキルか?」

「はい、そうです」

「ということは……リーシャちゃんが勇者に……」

「違います、あくまで、未来予知の能力のみです」

「なら、先程の攻撃を弾いたナイフは、どうやって当てたのだ?」

「未来予知で、投げれば当たると出たから投げました」

「それが親に刺さると思わなかったのか?」

「未来予知の力を信じて行動した迄です。」

「毒に関しても未来予知で知ったのか?」

「はい。どうすればいいのか迷って、無理やりコップを取ることになってしまいましたが……」

そこまで話すと、父が大きなため息をついた。


「どちらにせよ、2回も命を助けて貰った、未来予知には感謝せねばならんな。

だが、一番最初に未来予知のことを教えてくれてれば、リーシャが毒を飲むことは無かったのだぞ?」

「ご、ごめんなさい……でも、信じて貰えませんでしたでしょう?」

「それは一理あるが……ふむ、そこも未来予知で見たというのなら、無理やりな行動になったのも納得か……」


ようやく納得してくれたようだった。


「それでは、お2人は次の襲撃が来る前に、守りを固めて引きこもっててください。私が犯人を探しあてます。」

護衛の人たちを死を克服せし者で見て、関与してないことを確認してから、私はそう告げる。

すると、渋々だが、両親はうなづいてくれた。

「兄も、お母様とお父様の守りに入ってください。」

「あぁ、わかった。」

窓を締め切り、カーテンをかけ、壁から身を遠ざけて両親を座らせる。その周りを護衛で囲むと、

私は兄から降りて自力で立った

(フラフラするけど、このぐらいの失血、経験済みだ、いける)

そう判断し、1人カーテンをそのままにしてテラスに出ると、

黒い覆面の男が姿を現した

「よぅ嬢ちゃん。ちょっとカーテンを開けてくれないかい?兄ちゃん困っててね」

軽くそう訪ねてくるので、嫌味ったらしく

「それは、暗殺が失敗したからかい?」

と、訪ねると、男は殺気を放ってきた

「ほぅ……俺が何者かわかっててお話するなんざ、変わってるね嬢ちゃん」

「どーも。」

会話をしながら、死を克服せし者を発動すると、こいつが毒をもった犯人で間違いないようだ。となれば、あとは目的を吐かせるだけだ。

「依頼内容と依頼者を教えろ」

「は?はははっ、嬢ちゃん、そりゃ無いぜそんなんで吐くとでも……」

私が無言でナイフを振ると、斬撃が相手の耳をかすめた。

「次は当てる。もう一度聞く。依頼内容と依頼相手は?」

「ははっ、斬撃使いが自分だけだと思うなよ!」

相手がクナイのような刃物で斬撃を飛ばしてくるが……

(遅い……)

私は斬撃を避けつつ、相手の耳を刈り取った

「いっでぇぇぇえええ!!!」

「もう一度だけ聞いてやる。依頼内容と依頼人は?」

「い、依頼内容はこの一家の壊滅だ。依頼人はトーナリ男爵だよ!くっそ!」

「そうか。」

ふむ……もしや、領地を狙った侵略行為のためなのかもしれない。これはいい事を聞けた。


「そんじゃ、ここらでおさらばするぜ」

(……逃がすわけないだろ?)


斬撃を放とうとする


と、いつの間にかでてきた兄に腕をつかまれてしまった

「兄っ何をするんだ!」

「妹が手を汚さないようにしている。」

「そんなの今更……っ」

そこまで言って、私はまだ人を殺めたことのない綺麗な手のままなのだと気づいた。

言葉は尻すぼみになり、夜風に掻き消えてく

「お前が手を汚してしまったら、今まで遠ざけてた理由が無意味になる。」

「……その理由ってなんなんだよ」

「……」

「言う気がないならいい……」

「お前が、跡継ぎになるように、嫌いな振りをして遠ざけてバカを演じていたのが無駄になる」

「は?」

思わず顔を上げると、兄は真剣な目でこちらを見ていた。

「今まではそれで良かった。両親が死んだら、まず次に俺が狙われるからな。だが、今回発表したことで、今度からお前が狙われることになる。お前はまだ5歳だ。せめて自衛できるようになるまでは跡継ぎの話を遅らせたかったのだが……」

「どうしてそれを両親に言わなかった?」

「俺が出来ない奴だと印象づけておきたかったからだ。俺が使えないやつなら、自動的にお前に跡継ぎの話が来るだろうと思ってな。時期尚早だったが」

「……もし、両親が死んだらどうするつもりだ?」

「……お前を一旦別荘に遠ざけて、大人になった頃に迎えに行くだろうな。そして跡継ぎの座を渡していた。」

別荘……?そうだ、あの両親が無くなった後、別荘へ送られたんだ。その道中で事故にあって、路頭に迷う羽目に……

ということは、兄の言葉は全部本気なのか?

嫌われてた訳では無いのか……?


だとしたら、前の人生で私はなんてことをしてしまったんだ。兄は完全な冤罪だったのではないか?

自己の決めつけだけで罪のあるものとして捌いてしまったということか……??

私は、涙が零れて止まらなかった

自身のプライドである、冤罪は裁かないというポリシーを暗殺者になって早々に破ってしまっていたことになる

同時に、兄の情報をもたらした裏切り者を恨んだ。


(兄のことは冤罪と知っていて情報を流したに違いない。もしかすると、今回の件もあの裏切り者が噛んでいる可能性だってある。

私の一家を消したと思ったら、私を暗殺者に育てあげて。

平和のための依頼と言って、国同士の協力関係を結ぶ手助けをしたら、裏切って殺してくる……

一体何が目的なんだ……?)


頭はグルグル回るものの、答えを導き出せない。

私は考えを保留にして、ナイフを隠しポケットにしまい込んだ。


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