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初の子供の頃へのタイムループ

はぁはぁ、と息切れの音がする

その音が自分から発せられてると気づいた時にはもう、その音を抑えるすべは無い

ただひたすら走って、裏切り者から遠ざかる事を優先するのみだった


どうしてこんなことになってるのかと問われれば、自分の人を見る目が腐っていたと答えるしかないだろう。


いつの間にか備わったタイムループの力を使おうにも、まだよくわかっていないことが多い。

死んだら思った過去へと飛べるぐらいのことしか把握出来ていない為、

果たして、ここで死んだ場合に、人生の最初の方から手を貸してきてたこの裏切り者と接触しないようにするまで過去を遡れるかわかっていない

だからこそ、全力で協力者の元に逃げているのだ


(だが、もしも、戻れるのであれば……)

二度とこいつの力は借りない。強くてニューゲームだ、今度は上手くやれる。依頼を完遂できる筈だ。


なんて、もしも話を考えていたからだろうか。追っ手の魔法に気づかず、足元をすくわれ転倒してしまう。


(ああ、ここで死ぬのか。)

そう思うと、とても悔しい気持ちになった。この依頼を完遂させるためにどれだけタイムループしたと思っているんだ。

私の死は無駄死にになるのか。そんな無意味な死は絶対に嫌だ

どうせならいっそ、

(暗殺者になる前に戻れたなら……)


そう考えた瞬間、私の首は体から切り離された




ーーーーーーーーーーーーーーー


「っはっ!!?」

次の瞬間、私はベットから飛び起きていた

目元を手で覆い、ドキドキとうるさい鼓動が納まったところで、体の違和感に気づく。

幼い手だ……

よろよろとベットを抜け出し、姿見に自分を写した事で、確信する


私は、暗殺者になる前。

両親が死に、路頭に迷う前の過去へと戻ることが出来たのだ。


すぐに、状況を整理するために日記帳へ手を伸ばす。

今日は誕生日の前日。両親が何者かの手で亡くなる日の前日だとわかった

それから、この先の未来で行った出来事を箇条書きにしていく。


明日、貴族だった両親が死に、跡継ぎの兄から追い出され、路頭に迷う

2日後裏切り者に声をかけられ、暗殺組織に入る事になる

そこから数年、暗殺者としての技術を学びながら依頼された者を暗殺してきた。その中で、タイムループできることに気づく

5年後、自分が果たせなかった依頼……「各国の戦争が起きないように仲を取り持つ」が私に託される

3日後、鬼の集落にて、協力を取りつける変わりにと、鬼ごっこをした。9回死んだ

6日後、とある研究所に潜入調査した。記録は今でも暗記している。

10日後、妖狐の屋敷にて協力を取り付けに行った。話し合いの糸口がつかめず、途中裏切り者に話を聞くまで、10回殺された

裏切り者からの情報を聞いてから、話し合いを設けるまでに5回殺された


その日の晩、裏切り者に声をかけられ、唐突に殺されかけて逃げた



ここまで書いて、日記帳を閉じる。暗号化して書いたから、普通の人には普通の日記に見えるだろう。


「あと二つの国との協力関係で全てが終わったのに……」


そうつぶやくとやはり悔しい気持ちになってきた

だが、ここまで戻れたのだ。今やるべき事は、依頼のことを考えることじゃない。

「両親を殺したヤツを止める。そして、私を嫌う兄を追い出す」

これが第一目標だ。

私はドレスに着替えると、まだ闇の残る外へと飛び出した。

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