??????/放送依頼大作戦!
──また塩崎さん?
──あぁ、間違い電話を装って、せっかく電話したんだし夕飯に南瓜スープでもどうですかって
──罠を仕掛けたんだ?
学会にしても、兄貴たちにしても、裏からやることが狡いなぁ。そうやって揺さぶってるの、シズカちゃん気付いてるの?
──さあね
──飛ばしへの監視が厳しくなってきて、電話を通じて罠を仕掛けるルートに変更ってか。
──まだこの手はおばさんにはバレていないよ。このまま罠を継続させる。
──でも、魔法ってなんでもアリなんでしょう?
嫌がらせなんか意味があるの?
──彼女たちだって、世界に在るものを利用して魔法を使うしかないのさ。
世界内部の階層 《レイヤー》に『直接』書き足せる魔女は未だ嘗て見た事がない。
この世界の大魔女に匹敵する、神様クラスしかね。
あれらはもはや世界構成そのものだ。
──それなら、そうすぐに対策を練られることもない、か
──あぁ。だいたい、ただでさえ制限装置による、民間には知らされていない真の実力……世界の要素的概念素粒子に対する殼膜の反発・反射速度が速いんだから、それこそツルツルした表面に水性ペンで描いたみたいに弾かれるのが普通だ。
世界の慣性は、そう易々と変わらないもんさ。
よってやつらは、毎日街中に溢れ返る魔物に四苦八苦するしかない。
──ヨウ様も徹底的なマーケティングによって世間に人気が浸透してきたことだし。
暴力装置として後はどれほど仕上がるか。
──サブリミナルを利用し、無意識下の魔法を誘発。犯罪跡としてよく上がる、意識下履歴も残らない。誰が最初に考えたか知らないが、いい潰し方だ。
──コドクってやつだね
──話してたらお腹すいちゃった。カレーうどん食べに行きません?
──いいよ、早く行こう。
あぁ。魔物で溢れ返った町、楽しみ~!
──日に日に呼び出せる魔物も増えてきたし、もうちょっと町の洗脳が強くなれば、より強いのが召喚されるかと……
──対応に追われて魔女勢力も失墜したら、やっぱり人間こそが正義って箔が付くし、選挙の時に手のひらを返した民衆も、それで味方になれば形成逆転を狙える。
──あぁ、絶対兄機構からも、礼を言おう。
『あのとき』の戦争では、最終的に兄貴の威厳を示しきれなかった……
それどころか、世界に妹の痕跡を残してしまった。
だが、状況、データ共に整って来ている今。
絶対、この町を歴史修正し、この世界を修正し、
兄が正義という歴史に書き換える。
「おい。パンをちゃんと牛乳に浸してるか、確認させろ。それから、ソーセージ。な」
そろそろ夕飯の時間。
初老・マクネは先程から新聞を見ながら、アジトのダイニングでせっせと動く女中を眺めていたのだが、もたつくので流しの方に歩み寄る。
突然、『部屋』のドアが開いた。
飛び込んで来た少女はテンション高く、ものすごい早口でまくし立てた。
「あのね、あのね、次の嫌がらせいいことを思い付いたの!それでね」
「なんだ、カフカ。少し落ち着け。そんなにバタバタすると埃が舞うじゃないか」
初老・マクネはゆったりとした仕草でリクライニングチェアから立ち上がる。
カフカは肘置きに飛びつくようにやって来て、改めてまくし立てた。
「魔女仲間が言ってたんだけど、どうもあの『声の高いぶりっ子』女、学校に居た頃に『目付きの悪い金髪』に修羅場を作られたことがあるらしい。その話だけは使うなって禁止令出してるくらいの各方面に飛び火する話なんだけど。張本人は悪口と思って居なくってさ、むしろ外部も取り入るために絶対使いたくて待機してる。これ、どっかで使おうよ!」
「うわー。性格悪ッ」
「ふっふっふ。性格悪くてなんぼです。禁止令も破ってなんぼなんです。この世の全てはファンタジー! いいことも、わるいことも。みんな他人事!」
マユが開いて居るドアから飛び込んで来た。
「大変よ!」
「どうした」
初老・マクネが半分呆れた気分を引きずりつつ、玄関を向く。
「南瓜の放送依頼が突破されたの! ハリー・ヨウの広告まで打ち出して、徹底的に人集めしているのに」
「突破、って」
「絶対兄機構に南瓜のオバケに対しての殴り込みがあったって。それで、出資がバレた。魔法使いの集団で滅多打ちのリンチですって!
こんなことなら、世間のご意見番としてあちこちでヨウの話をする主婦よりも、子ども向けにすればよかった。南瓜のアニメーション、今回の南瓜がテーマの漫画でも依頼しておいた方が良かったかな」
「それもおいおい、放送依頼として実行させるさ。適宜対応出来そうな作家に掛け合ってみる――――それで」
大体の事は、これまで上がっている報告でもわかっている。
(確かに、そうだ。あいつらの……結束が邪魔だ)
「カフカよ」
ちら、とマクネはカフカを見た。
柔和な笑みを向ける。
「はい?」
「俺たちは真似事をして最☆強☆のアイドルになると言って家出してきたお前を置いてやってるわけだが――――」
「はい」
「お前ってやつは本当に、いいところに来た。早速、お前の言う嫌がらせ作戦を具体的に考えてみよう。放送依頼と合わせて、各地に流して貰う」
ククク……
これは挑戦だ。この『予告』が現実となったとき、より強い魔物が今度こそ、街を支配する。
魔の者が出歩く程治安が悪化する、と世に印象付けて貰うには、どうしてもメディアを使った大規模な作戦が必要だ。
協定のバランスを裏側から打ち崩し、じわじわと規制を強化する。
人間の管理が必要だと主張し、政治家を送り込む。
民主主義を利用し、独裁国家を築く。
(大魔女 エニアグラム。お前はいつまで、黙って観ていられるかな?)
12月5日12:36―2022年12月10日17時00分
《監視カメラ》の、映像があります。
まだ購入されていなければ。
いや、そちらはバックアップ体制が整ってないから、まだおあずけ…
はぁ!?性的コンテンツだから、情報は公表できない!?ふざけんな!
ずっと前から購入するかもしれないからって言ってたよな?
例のノートを……有料販売するしかないのか?




