バックドア
>>>>
(それにしても……)
真っ暗だ。
よく見ると、足元のあちこちに電球を割ったようなガラスが散乱しており、奥に進むほどその破片は大量にある。
――誰が灯りを壊したんだろう。
どうしてそうしたのだろう。
彼女が、そうしなくてはいけなかったんだろうか?
でも、そうだったならなんとなくわかる気がする。
俺もあのとき、土の中で考えて居た。
このまま星の一部に成ったらそれは素晴らしい事なのかもしれない。
熱いマグマを心臓に、怯えや憂いの無い大気となって循環する。
きっと凄く落ち着くんだと思う。
身体の中に流れているこの血のせいだろうか。
生れてからずっと
ヒトのカタチで自分が存在する意味を考えて居て――
(だから、彼女を目にしたとき……)
■■■■
そんな事を考えて居るうちに、すぐに彼女の背中に追い付いた。
「あ、あったよ、バックドア!」
洞窟の奥に突き刺さっていたドアをひっこ抜きながら、キャノがはしゃいでいる。
「勝手口、……ね」
キャンディは肩を竦めながらそちらに向かっていく。
土に角が突き刺さった、何処にでもありそうな四角いドア。
暗くて正確な色はわからないけど、おそらく茶色とかだろう。
「木馬も埋まってたら笑ってやるとこだけど」
「なんの話?」
テネが冷静に呟いている。
「しかし勝手口って事は、普通に採掘用のドアか……」
キャノが引っこ抜こうとしているのを手伝いながらキャンディが何処か懐かしそうに言った。
コトたちに勝手にぶら下がっていたキメラたちが着地し、「あーっ! それです!」と言っている。
「架空通貨を掘り当てる為の鉱脈を探すルートでち!」
我先にとドアに向かっていくでちたちに、キャンディが肩を竦めた。
「どーせ、そんなこったろうと思ったよ」
「チッチッチ」
でちが、キャンディの傍でドアを支えながらニヤリと笑う。
「この辺りは、レアアイテム、htaキノコも生えていることがあるんでちよ」
「えー、知らない」
ミライちゃんが不満そうに呟く。
「知らない」
コトも同じように呟く。
「レアアイテムの基準が違うのかもしれないね」
キメラの一人が残念そうに呟く。
「美味しいのに」
「それよりオーパーツ見つけたら教えて」
ミライちゃんがちゃっかり自分の趣味を混ぜようとしている。
こんな地中にあるのだろうか。
やがて、ボコッ、と土が剥がれる音がして、ドアが立ち上がるとでちが勢いよくノブを捻った。
「さて、これで帰れる!」
はしゃぐキメラたち。
空いた隙間から光が差し込み――
身体がふわりと浮き上がる。
無重力だ。
と、意識する間も無く、全員がドアの中に吸い込まれていった。
2023年11月21日23時38分




