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【音闇クルフィ】  作者: たくひあい
ミライとめぐめぐ
136/241

トンネル



・・・


「よーし、ファンタジーと繋げちゃおう!そうすれば量産も可能になるだろうし」

「野々村さん……またやるんですか? いつになったら開発が親離れするのか……って噂になってきてますよ」


 在る日の事だった。

タワーの様子がおかしいとのことで点検依頼があり、作業員たちは入り組んだ道を進んでいた。その日のメンバーはまだ若い、社に入ったばかりの男性と、ベテランの50代の男性。

ヘルメットに作業着という何処にでもいる出で立ちで、手にはバインダーや測定器を持っていた。


「普通に、点検だけして帰りましょうよ」

俺絶対定時で帰りたいです。

若い方が言うと、年輩の方はニヤリと笑った。

「いや、点検通路はトンネルになっている。今なら傍受されないで作戦を練ることが可能だ」

「──は?」


トンネル、というのは、単に掘り進んで出来た道という以外にも──例えば監視の厳しい独裁国家に置ける地下道を差していた。

重役が見つからずに安全に移動する通路のことで一般市民には公開されていない。今やあちこちに制限装置や衛星が浮かんでいる為、監視下に置かれていないのはトンネルくらいであった。

 込神町もまた──どこから資金が出ているのか、トンネル建設には膨大な費用を投じており、いっそ民の財産を擲ってでもトンネルを作ろうとする勢いがあった。


一時期、立派なショベルカーなどが見つかった際には鉱山開発の為、なんて噂にもなっていたけれど……本質的にはトンネルを整備している。

────いつでも国と国の、あるいは町と町との間を見つからずに行き来するトンネル。

魔女狩大戦以降、独裁統治下になった国や鎖国した国も存在する。彼らが上に見つからずに安全に故郷を確かめるにはトンネルを繋げる以外に無いのだ。


そして。

 野々村も、ちょうどその戦時期に、今は独裁統治下にある地域に生まれ過ごしていたので、トンネルの行き先というのは見過ごせない情報だった。それこそ、本当に繋がっているのなら全てを注ぎ込んでまでトンネルを掘りたいと思う程に。


地下から上空まで広く通じているタワーの点検通路もまた、一種のトンネルとしての役割を担っているようだ。点検に来ただけだった筈の野野村は勘付いてしまう。

作りがやけにしっかりしていることや……監視装置が無い事、それに、各方面にアクセスしやすい町の中央部に上が何もしていないわけがない。

「さすがリキシマ社長……」

にやり、と野々村が笑ったとき、ちょうど会社の端末に連絡が入った。

リキシマ社長からだ。

「はい、着きました」

「なかに、なにかないか?」

「なにか……とは?」

景色を、見る。

ツルツルしたメタリックな壁。

ケーブルなどが埋め込まれている。

それがずっと続くだけのつまらない景色だ。


「──近くの配電パネルの管理用端末に、俺達『銃剣ベヨネッタ』の一員が目印を残している筈だ」

 野々村とリキシマは、かつて悪名を馳せた反抗組織──ベヨネッタの一員だ。

捜査用のコードネームとして『LP』と呼ばれていたこともある。

魔法からの人類の解放の為に活動していたわけだが……リーダーのリキシマさとしをはじめ、東成くつおや、日暮などが指名手配犯としても名を馳せてしまったので

今は、こうやって裏からちまちまと工作を続け、チャンスを待つ日々だ。


野々村が慌ててパネルを探す。程無くして壁際にそれを発見した。

パネルと……そのすぐ横にベヨネッタのマークがある。

「ありました!」

「では、その画面に貼られたメモのコードを入力してくれ。

配電盤の情報はタワーの会社にも強制的に伝わる仕組みになっているが、しばらくの間、撹乱させることが出来る」

「あの──何をする気なんですか? 配線等の異常や不具合の確認じゃ……」


不安そうな質問に対して、

リキシマはやや上ずった声で答えた。


「此処の何処かに、不思議の国への入り口がある筈だ」

「不思議の……国?」


2023年9月2日6時26分─9月9日22:30


9月15日AM1:41

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