表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【音闇クルフィ】  作者: たくひあい
ミライとめぐめぐ
125/241

その頃のアサ様



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>



  ある日の晩。込神大図書館の地下。



「本、見つからないね」

「運命の締め切りが迫っているのに」

誰も居ない、はずの図書館で微かな声が響く。

「いつか、この町をアサの支配下に置いて、そこを拠点にして広げる――」

「アサには頭も、統制力も無いから、こういうところを侵略して、略奪することしか出来ない」

「でもずっとそれでやってきた。此処を朝しか来ない、アサの町にする……」



 声はだんだんと数を増していき、フロア全体に目立たないように黒いローブを着た人々がどこからともなく現れた。

 彼らは『ある本』を探し続けている。

この日もそれぞれの配置で本を漁って話し合っていた。

 少しして、従者らしい一人が地下の方から足音がしたのを敏感に察知し、背にしていた本棚を横にスライドさせた。


 隠し扉としての役割を持っていたそこは、見た目と裏腹にやけに滑らかに動き、新たに入口を開け――――凛とした声とともに、ひと際深くフードをかぶり、裾を引きずりながら、何者かが現れる。

「前も言ったが、アサという名前は、以前の選挙で目立ち過ぎたんだ。此処では今川、と呼びなさい」


堂々たるふるまいからして、この中では位のある人物のようだった。


「では、今回の議題だ」

今川が言うと、他のローブたちは、ひれ伏せながらじっと話が始まるのを待った。

「羽浦コトの監視実態が表にバレそうになっている。あれは我々の計画には不可欠な存在の一人……出生時から注意深く観察を続けて来た。だが、此処に来て、イレギュラーな事が次々と起き、ついには、奴ら、偶然なのか此方の実態に干渉しようとしている!」


「この迫害行為がバレるのを恐れた、マクネやミオウ達が、情報を表沙汰にしないでほしいと、ジミへ懇願してきた事が、そもそもの情報隠ぺいの経緯だったからな」


ざわ、ざわ、とざわつくローブたち。

それぞれに対策を話し合い始めた。


「はい! テロップに、悪友1の罪が軽くなるネタを仕込めばどーでしょうか?」

誰かが一人、挙手した。


「やっぱりサァー!拡散して、監視員たちが得するネタを仕込まないとダメだと、思ったのよー。そこで! 思いつきました」


周囲が、お?とか、おぉ、とかの反応で溢れかえる。


「シズカちゃんたちは、奴の情報、隠ぺい係を背負っている。

ここを、既に取り沙汰されてる奴のせいにして罪を軽くして良いってことにすると悦ぶんじゃないですか?」


周囲が、お?とか、おぉ、とかの反応で溢れかえる。


「すると、メール内容はこうなる。『オマエが彼の情報を隠ぺいしていた事が大問題になっている!ここの疑いを晴らす文句を教えてやる!拡散用のテロップに追加していいぞ』」


「追加の内容は、こうなる。木村さんは羽浦さんの上司にあたり、羽浦さんのメールアドレスを容易に手に入る関係にありました!実際、彼女から、多額のお金を請求する詐欺メールが届いた!と訴えがされている」



「この際、【Hより】として全国ホームページへ、なぜ、情報を操作していたか?を、大々的に出すか?

『◯◯さん【悪友1】は、なぜ、彼の情報を削除していたのですか?ミスですか?意図的に行った事ですか?【Hより】』

もっと!追い込みをかけないと、動かないよなぁ」


と、そのとき、今川の端末が鳴った。



「マクネだ」

かけて来たのはマクネという実生活はケチだがあちこちで投資はしている裏社会の初老だった。

「拡散協力してくれるツールを手に入れた! おまえは、嫌がらせ行為の手配とそれを録画した画像、また、テロップ用に、尻尾切り用の奴が現行犯である!を書いた紙を撮った画像を、準備したらいいだけとなる!」


 自分たちに監視がつけられては身動きができなくなる。

命令を実行できなくなれば、迫害実行犯の報告もやらないまま、そのまま逮捕されてしまう。自分たちが、社会に反旗を翻す暇も無く逮捕されてしまうのはアサにとってもっとも避けたい事だ。


「トップが、◯◯【悪友1】のまわりに監視を置く話し合いをしていた!高飛びを嫌い、本格的に、責任なすりつけ行為が強行されるぞ! やるか? やらないか?」


アサ、もとい今川はごくりと唾を飲み込んだ。彼がカメラの映像を何処から引いて来たのかは気になるところだが。


「……そうだな。これなら、悪友1の足がつかない!、、ダミー作戦実行、敷居は低くできるんじゃないかい?

簡潔に言うと、こうだ。そちらに嫌がらせ行為と、奴が現行犯であるテロップの動画ここまでをやってもらい、拡散は私が行うのだが。

 単に、いくら情報隠ぺいを懇願された、と説明しても、言い訳だ!と捉えられてしまうだろう。情報隠ぺいの実行犯の言う事など、誰も信じない」


「ほう」


「だが、彼の味方の証言は、信じるかもしれない。


『犯人の訴えより、一般人の言う事』が優遇されるのは当たり前の事だ。これを利用して徐々に拡散して欲しい内容にすり替える。すると、カンパも信頼も手に入るって寸法だよ。――――あぁ、勿論、利益はきちんと横流しする」


「なるほど」


 確かに一理あった。

しかも被害者の名前など、部分的に都合が良いものに入れ替えれば、訴えの中身は変わらず、

さりげなく情報を誘導出来る。

当事者による説得力もあって聞き入れられやすいだろう。

========================================

(2023年6月25日17時20分)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ