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【音闇クルフィ】  作者: たくひあい
ミライとめぐめぐ
124/241

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・・・・






――――ごめんなさい、笑っちゃった。


笑い声。

笑い声がする。


――――自分に理解出来ない物が好きな人って、どうしてか、……ふふふふ、どうしてか、笑っちゃう。


笑い声。

笑い声がする。

笑い声。笑い声がする。


――――だから、晒すのか? だから、晒して鑑賞する為に皆でこんな事。



――――ふふふふ。だぁって、貴方が好きなんだもの。だからみんなに見て貰いたくて








皆がAIに苦戦する中。

彼女は、一人、廊下を歩いていた。

 行く当てもなく……もしかするとあったのかもしれないけれど、今はとにかく無意識に歩いていた。


――――ねぇ。あの場に居ないんだ? みんなが大変な目に合っているのに

『何者か』が、少女の背中に囁く。

彼女はそれを知覚していながらも、特に振り向くことなく首を横に振った。

「無理だよ。だって、あんなところに居たら、私、また……」


血を思い出す。

流れる血。沸き立つ血。指先を伝う、あの赤色。


――――だから殺したんだ──人殺し!



『人殺し』



「此処で全員を、殺しちゃう」

 独り言。

不安に揺れる幼い子どものような頼りない声音が、ポツリと廊下に零れ落ちる。



笑い声。

笑い声がする。

笑い声。笑い声がする。



――――あのときもさ、名前を、身分、意味付けられる総てを全部変えちゃえば良かったのに。

 そいつらが、貴方を助けてくれるわけでもないんだし。

誰も得をしないのに、なんで縛り付けてるの?


だってほら。結局、笑ってただけだよ。

真実を告げても、笑ってただけだよ。

酷くない? 酷いよね? 要らないっていったモノは押し付けるのに、

なんで受け取らないんだって言うのに。






  彼女は、声に何も答えない。

やがてその目の前、右手をついた廊下の壁が歪み、暗くぽっかりと開いた穴が出現した。


――――ね、良いの? 本当に、良いの?

だってこれから、みんなが『あちら側に行く』んでしょう?

そしたら貴方のこと……



「あぁ」

やっぱり、と壁の穴を確認するように撫でて、彼女はその中に向かう。

声には応えない。

「通じてたんだ」




――――ごめんなさい、笑っちゃった。


――――ごめんなさい、笑っちゃった。


――――ごめんなさい、笑っちゃった。



真っ暗な闇の中。彼女も笑ってみた。


2023年7月9日22時58分




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