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【音闇クルフィ】  作者: たくひあい
ミライとめぐめぐ
123/241

洪水




――――わぁー。雨! 雨だ。すごい、ヤバイ、急に土砂降りだ。



――――ねぇ、聞いた? また洪水。6日、長江上流の岷江びんこう沱江だこう嘉陵江かりょうこうでの洪水があったらしい。



――――少し前に、鬼怒川、球磨川、太田川の氾濫が、同時期に起こったのに



――――お偉いさんも大規模な災害までは手が回ってないじゃない。

いくら情報操作しても、崖崩れやビルが倒壊してくんじゃねぇ……

示しが全然つかないなぁ。




――――最近何かと水絡みの災害が多いよね。幻術士の幻術なんて言ってるけど、絶対嘘。きっと魔法とかだよ。




――――あぁ、洪水が起こるとき、どの名前も、その時期日本で問題を起こした政治家とか、呪術師とかの名前の読みと一致するってやつ?


――――えっ、鬼……球磨川、太田、あ居た居た! 



――――都市伝説調べてる人の間では、日本に何らかの原典があるからなんだって。


――――何らかって何よ。


――――さぁ、でも日本から奪われた宝物があって、それが外国の偉い人が自分のものだって言ったのが理由で、此処に居るよって示す為に起きてるって話もあるよ。だから、大自然が暗に示してるみたい。


――――えー、それ、どこ情報?

――――あと、魔法使いがこっそり活動してるとか、とにかく、いろいろ。

――――それって、まだ日本に、魔女が居るって事?








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




  AIが沈黙してから数分。

ミライちゃんは、なんだかぼーっとして虚空を見つめたまま固まっていた。

テネはナイフを鞘に戻し、キャンディは機械を調べていて、

コトは端末を眺めている。

そこに数テンポ遅れて、

「――――はぁ、酷い目にあったでち」と、のんびりした声が上がった。

  でちがふらふらとミライちゃんの影から出てくる。

「うわああああ!」

 驚いたキャンディの悲鳴があがると、テネが間抜けさに吹き出す。



 コトは二人が騒いでいるのも気に留めず、ぎょっとしてでちを見た。

そういえば、そうだ、此処に来るまでの間、彼女と一緒に

最上階に居るかもしれないメテト様を探していたんだった。AIやベヨネッタ、ニーア(以下略)のせいでいろいろ頭から飛んでいたけど、そうだそうだ。


 



 でちに何か言おうとも思ったけれど、二人が話をしてて、今はなんだか出る幕が無さそうだ。

コトは一人、窓を見た。

向こうから、ぱらぱらと、複数の何かがぶつかって弾ける音が聞こえ出している。

「雨……」

雨だ。雨が降っている。

 コトは何故だか胸が痛む感覚を覚えた。バイトのときの、あの感覚。

水を見るとどうにも此処最近思い出すのだ。


――――怖かったんだから!

――――お風呂壊さないでよ!

――――水が溢れて来て……


『私さ、人間になりたかったんだ』


 何故か、今、あの魔女の言葉が脳裏を過った。



 最近、コトが魔法を使うとき、辺りの水が凍っている場合と、辺りが大洪水になる場合がある。自然現象と見分けがつかないと言うか、自然現象を起こしているというか……あれ、何を、考えようと思ったんだっけ。

 凍っていないってことは、俺が『彼』になっていない?

 それとも、あぁ、えぇと……いや、今は使ってないよな……

此処からだと、まだ大丈夫そうだけど、帰り道が大雨で大変なことになったりはしてないよな……







  コトが一人、あれこれと思いを巡らせている一方で、テネたちは、ミライに紹介された『でち』の話を聞いていた。

「なるほど、つまり、世界の裏側に概念外殻層としてのゲシュタルトそのもので構成された画一空間が存在するというのか」


なるほど、とテネが顎に手を当てて唸る。

「そうでち。誰も居なかったから、でちたちが住み着いた星でち」

でちは得意げに胸を張った。

「第二の地球みたいな話が本当にあったとはね」

 その例えはでちには難しかったようで、でちは首を傾げた。


「概念構成論でも時空間形成については習ったけど、大抵は其処までゴミとか概念がいつまでも同じ箇所に留まったり集まらないから、空中分解されて四散するんだ」

「それって、風が吹いたら飛んでいくみたいなものか? それが絶対的な力、あるいは圧力で守られて、隙間無く囲まれていると――――」

 キャンディが間に入り、質問を投げかける

「いや、詳しくはでちも知らないでち。とにかく、メテト様がこの階にいるはず」

でちは流れを切り、それよりメテト様を、と周囲を見渡した。

「メテト様?」

テネがきょとんとでちを見つめた。でちはメテト様について伝えるべく見た目を告げた。

「真っ赤な髪をして、鮮血のような瞳をした、蝙蝠みたいな羽根の」


「あぁ!!居た居た! 此処に来たよ」


テネは叫んだ。

「ほんとでちか!?」

でちの目が輝く。

「確か、此処の廊下に立って。IRがどうとか、部下にしてほしいって言っても知らないとか、テール様に逆らえないとかって言ってたんだ」

「それは、まさしくメテト様……! で、メテト様は何処に……」

でちが興奮する。嬉しくてたまらないと言った様子だ。テネは申し訳なさそうに答えた。

「その人なら、さっき、AIの起動権限を貰うとかって、どこかに行っちゃった」



2023年7月13日21時00分





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