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【音闇クルフィ】  作者: たくひあい
ミライとめぐめぐ
115/241

AIとIR



最上階。



「なんだこれは!?」

と、キャンディが思わず叫んだほど、それは禍々しい形相だった。

  侵入者警報が鳴り、とりあえず降りようと向かった廊下の途中に、今まで存在していない筈の巨大な装置が置かれている。

 それは巨大なカメラが付いており、四角く、黒く、赤青黄色と多数のコードが伸びて壁につなげられていた。


 テネは頭上の先程までベヨネッタが表示されていたモニターを気にしながら「これ、魔力を吸っている――このタワーに、魔力が集積されるから……」と言った。

「俺たちがタワーからいなくなってる隙に、こんなものがあったなんて。でも魔力なんか集めて何に使うつもりなんだろう」

 キャンディは機械を睨むように凝視した。

「何故、タワーにこんなものがあって、誰も気が付かないんだ?」

リルは、静かに疑問を呈した。

コードには僅かに埃が積もっていて、数か月、少なくとも1,2、カ月はこのまま動いて居ないことがわかる。

「この様子だと、随分長い間繋がって居るみたいだけど、あの蛇と、それともベヨネッタと関係があるのだろうか。なんらかの目くらましになっていただとか…」

 

機械の表面には小さくアルファベットが刻まれている。

Auto directly Installation

「AI……」

自動的な空間配置実装、ということだろうか?

大きな目玉のようなカメラが、電源が入っていない筈なのに此方を観察しているような不気味さを湛えている。


「このカメラに映されたものが自動実装されるとか、そういう事かな?」


空間自体の異変と何か関係があるのだろうか。

 カメラといえば、と、キャンディはふと思い出した。

監視カメラの映像が抜かれていると以前マオちゃんが言っていた事。

このAIに関係があるのかはわからないが、なんだか嫌な予感がする……

同時に、リル、はというと、以前フレテッセたちが行っていた、魔法を偽造した火炎放射器に関する話を思い出していた。

しばらくみんなが動けずにいると、突如


   AI――呪文を…呪文を入れてクダサイ……


 と機械的な声が響いて来た。


「呪文? 集めた魔力を用いて呪文で、何か生成するのか」

「そっのとぉおおおおおおり!!!!」


 突如、またしても、今度は溌溂とした女性の声が響いてくる。

バサッ、バサッ、と翼を羽ばたかせる音。

そして天井からぬっと赤髪女性が現れてフロアに着地した。


「よく気が付いたな、魔族ども。これは、ゲシュタルトをこーりつよく破壊するための増幅装置!! いわば物量作戦パワーゲームの申し子、Auto directly Installationなのだ!」


 おっおっどうだ、驚いたか! 驚いただろう! そうだろうな!

驚いちゃうよな!?



「魔法を使うしか能がない弱小種族に、分からせるときが今来た! 

さぁ、此処で魔法を使ってみるが良い。このAIが反応して――――」



――――コトに合流出来るか?

――――そういえば、ミライちゃんも居ないよ

――――本当だ、彼奴ら何処に行ったんだ

――――アハハハ!!本当にボディーガードは役に立っているのか疑惑が浮上した

――――それは私も思ってた

――――役に立ってるよ!!たぶんな!!俺も忙しいんだ!

――――たぶんかよ

――――でも大魔女様はどうしてキャンディに……





……。

みんなが遠ざかっていく。

赤髪の女性は嘆いた。


「聞けよぉ!!!」 

ぱたぱた、と翼をはためかせて、ちょっと涙目になる。

「聞いてくれたっていーじゃんかぁ!!うぅ」


テネが振り返り、きょとんと、彼女を見つめた。

「君は誰?」

「僕が君たちに名乗ると思ったか」

「うーん、じゃあ、えっと。おやつ食べる? 氷菓子しかないけど」

テネは彼女に歩み寄ると、ポケットから氷菓子の欠片を差し出す。

彼女はやや戸惑ったように一瞬視線をさ迷わせた。

「あ、別に、こういうの、衛生的に受け付けないとかなら……」

 嫌だったのだろうか。

慌てて言葉を付けたしているうちに、彼女は氷菓子の欠片を口に放り込む。バリ、ボリ、と硬いものを齧る音がした。

「ま、まぁまぁだな」

ツンとそっぽを向いてしまうが、一応口に合ったらしい。

「よかった」

テネは僅かに微笑んで、ふと、彼女の手足が擦り傷だらけな事に気が付いた。

「君……よく見ると、怪我してる。どうしたの?」

癪に障ったらしく、彼女は顔を赤くしながら叫ぶ。


「これは、ちょっと転んだだけだ! 君には関係ないね」

「そっかぁ、ちなみにどんなダイナミックな転び方を」


プライドに関わるらしく、彼女は更に困った顔になった。


「う、ぅう、うるさい、うるさい、うるさい!! 魔族の力は借りない! 君たちの立場が変わると、素材にしづらくなって作戦に影響を及ぼすって、テール様が言ってた! 誰も寄り付かない不人気種族で居て貰わないと困るんだー!!」

「でもそれは君の意思じゃないじゃないか」

彼女は、うぐっ、と言葉を詰まらせる。


「僕は、テール様には逆らえない。それにこの町を支配すれば、

お前たちもゆくゆくは、そうなるに決まっている」

「よく、分からないけど、この機械は君が?」


「僕の担当じゃないな。でも、仲間のことなら教えることは無い。

計画が軌道に乗れば、ベツセカイももっと豊かな国になるんだ。

 IR都市計画だって……

実現はすぐそこだ、部下にしてほしいって頭を下げたって遅いんだぞ」


 キャンディがIR 計画ってなんだ?とこっそりテネに聞く。

有益情報を投資家とかに提供して、それで開発を進める計画だよ、とテネは答えた。有益情報と言うと、株式とか、流行ってる呪文とか、架空通貨とか、町全体の経済とかを支える情報だ。



「ベツセカイ、だって!?」

リルはベツセカイのほうに反応した。なんだか知っているようだった。

「あぁ、悪いか、僕の故郷だが」

赤髪の彼女は、うっかり口を滑らしたというようにやや恥ずかしそうに答える。

「という事は、やはりどこかからゲートが開いているってことなのか。だとすると、あのときのマモノは、ベツセカイと通じて誰かが……」



みんながそれぞれ考え込み始めると、

赤髪の女性は徐に飛びあがり、天井に張り付いた。

「待て、聞きたいことが――」

リル、が気配に気が付き彼女に問おうとすると、

彼女は遮った。

「答えない。AIの起動権限を貰ってくる。そしたら、君達ともおさらばだ」と告げ、またどこかの影に溶けていった。


2023年5月18日20時06分

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