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ラッキーガールズ&ボーイズ  作者: 栗田 ケイジ
第一章 ラッキーガールとラッキーボーイ
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アクアとの出会い

読んで頂きありがとうございます。


久々にアクアさんの登場です

今回はザクロ視点でのアクアとの出会いです。

「ダメだ、全然思いつかない」






今日は店休日にして、今のままでも美味しいものを提供するために、刺身を提供しようと考えたのだが、品質の維持方法が全く思いつかない。

この世界にしかない木の実や果物のおかげで、スイーツだけは浮かんで来てしまうのが悔しい。










「こんにちはー、今日ってやってますか?」




店のカギを閉め忘れていたようだ。

身長は150㎝ぐらいだろうか。水色の短めの髪をした水色の目をした女の子がアホ毛をぴょこぴょことゆっくり動かしながら入ってきた。







「ん?ゴメンな。今日は新作メニューを考えているんだが中々うまくいかなくてなぁ‥」






「どうかしたんですか?」






「最近になって海の魚が取れるようになったんだが‥刺身が作れなくてね。

どうしても品質維持が出来なくて凍らせて持ち運んでるから新鮮な刺身が提供できなくて」









こんな事を別に初めての人に話すような事でもないのだ。

しかし気が付けば彼女の住んだ瞳に吸い込まれるように話をしてしまっていた。

少し残念そうにアホ毛が倒れる彼女を見ると少し心が痛んだ。









また来ますと声をかけてくれた彼女をチラリと見ると

黄金に輝く鶏肉じゃなかった。ニワトリをつれているのだ。












「ちょっと待って、後ろにいるニワトリは何だ?

まだ、鳥のモンスターは情報が出ていない、どこで手に入れたんだ?」









刺身どころではなかった。

ニワトリという存在から出て来る鶏肉、そして卵という自分の今後に関わる黄金の希望

俺はは目がギラリと輝いていることに気が付かなかった。





「これは、貰い物でちょうどモンスターを調理できる方がいると聞いたので来てみたんです。お腹も空いてましたしね。」







見た感じ卵を産みそうなニワトリではない

しかしそんな事も今は二の次である。

どうにかして調理をしたい。その一心が俺の心を熱くする。








「見た感じだと卵を産みそうもないしこのニワトリ俺に調理させてくれないか???

何が食べたい?唐揚げか?ステーキとかのが良いか?」








ここまで口が達者な俺をそう見ることが無いだろう。

自制心という概念なく口が動く







「じゃあお言葉に甘えて洋食風に焼いてもらったり出来ますか??」









完全勝利である。

鶏肉という存在の確認、そして調理できる。

ゲーム界の革命といっても過言ではない






ザクロは訪れた少女に手厚いサービスをすることを伝えたうえで鶏肉のフルコースを提供した。

特に鶏肉をトマトソースとチーズで焼いた一品は同年代に好きな人は多いだろう

カジキみたいな形をした魚の唐揚げとメタルスライムのスライムの果物のゼリーも添えてあげた。












「では遠慮なく頂きまぁす」







ガツガツと差し出した料理を食べてくれている。彼女の心を表すように髪がぴょこぴょこと動く。

カジキのようなモンスターの唐揚げから、メタルスライムのゼリーまで喜んで食べている。

やはり女の子も、美味しければモンスターでも食べてくれるんだ。









アクアとモンスターと料理に関して他愛のない会話を続けながら

ザクロの中の女の子の常識がアクアの手腕によってしっかりとズレていく。










「うわぁ‥鶏肉のトマトチーズ焼き。これすっごく美味しい」






髪の動きが最高潮に達している。

自信作でもあったため、少し安心した。






「これすっごく美味しい、食べてみてよ」





「へっ???」









なぜか少女はこちらにフォークを差し出している。記憶のある中での初「あーん」なのである。









さらにたちが悪いのは、目を輝かせて髪がぴょこぴょこと動かしている。これは異性云々というより、美味しいものを共有したくて咄嗟に体が動いてしまっている類なのである。

柘榴も自分の作ったお菓子が良かった時、ついつい紫水にやってしまっていた為、気持ちが分かる分非常に断りにくい。










不覚にも顔が赤くなっているのをを自覚した。行き場を失った俺は少女の差し出したものを頬張った。正直のところこれが鳥の美味しさなのか初あーんの幸福感なのか何が何だか分からなかった。













その後少女が店を出ていくまでアドバイスとかお礼とかしたのだが、

正直何も覚えていないのだ。

人生初めての恋とまでは行かずとも、初めて異性に対してドキドキしてしまったのだ。




俺はその後何も考えられそうになかったので早めのログアウトをした。
















「なぁ紫水‥今日ニワトリのモンスター連れた女の子が来た」








「へぇ良かったじゃん、でもそのわりには元気ないじゃん。その女の子に恋でもしちゃった??」











紫水とのやりとりでは定番の流れである。女の子の話になると紫水はいつもこういった茶化しを入れてくる。そして柘榴は茶化しに対していつも、俺恋とかしたことないから分からない。と答える定番のやり取りだ。




因みに言うとここだけの話だが柘榴に好きな女の子がいないか紫水が確認したいだけなのである。













「バッバカ違うそんなんじゃないって。からかうなよ」





紫水にショックという名の稲妻が走り石化する。

ハイハイ定番のいつものご返答ありがとうございます。ぐらいの気持ちで待ち構えていたのだ。

全くを持って予想外の返答が来た。照れているのだ。あの柘榴が。












「ハッHAHAHA

ドッドウシタノ テレチャッテ ナニカアッタ??」





これはショックのあまり限界点の近い紫水の、何もないという返答を待った最後のSOSだ。










「だっだからあーんされただけだって。からかうなよもう。」






「HAっHAHAHA」







柘榴は全く気が付いていないが紫水が砂と化した

こういう、今まで恋なんて知りませんみたいなタイプの男に限って

嘘をつくことや隠し事が出来ないのである。












「ゴメン、今日体調あんま良くないから切るね‥また。」





柘榴が鈍感過ぎて尚且つ変なところで不器用なせいで紫水が体調不良になったのだが、それを全く気付かずにお大事にと一声かけて電話を切るのであった。


読んで頂きありがとうございます。


次回からは、海へと向かったアクアの冒険の投稿になります。


お楽しみに。

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