レストランZAKURO
第一話で時間軸がずれていたので、ゲームの発売日を8月末から8月中旬に変更しました。
初めての小説作成で至らぬ点もありますが
引き続きよろしくお願いいたします。
カジキみたいなモンスターを凍らせて、足早に店に戻っている道中ザクロは銀色のうねうねと動くモンスターを3体発見した。
「あれは、スライムか??
メタルスライムなんて珍しいな。」
ザクロも運に関してチート級のステータスを誇っているのでこういう珍しいモンスターと出会う機会は少なくない。
「スライムからゼリーって作れないかな」
こんな発想をするのはザクロぐらいだろう。
プレイヤーが100人いたらほぼ100人がスライムには経験値や素材を求めるものである。
モンスター料理を発動しサクッとフロストビームで凍らせて店まで持って帰った。
食材を冷凍庫に入れてひと段落終えたザクロだったが、流石に食材を手で持ち運ぶのは荷が重い。
ザクロは町へと繰り出し1番容量の大きい魔法袋を購入した。
今後クランを組んだ時に共有装備などを入れる向けの魔法袋を購入したのだ
店の人からは夢は大きいほうがいいね。ぐらいに思われただろう。ザクロがモンスターをそのまま凍らせて運ぶなどという奇想天外なプレイヤーだとはだれも思わない。
帰りがてらメタルスライムでゼリーを作るために果物を買って店へと戻った。
メタルスライムに火を通すと想定通り溶けてゼラチンのようになった。
てっきりメタルはメタルで分離するものだと思っていたが
モンスター料理のスキルの恩恵なのだろうか、しっかりと食べられそうになっている。
購入した果物を絞りゼラチンと混ぜて冷蔵庫に入れて完成だ。
しばらく時間を置き作ってみたメタルスライムのゼリーを食べてみると
しっかりと美味しいゼリーが出来ていた。
「いやっ違うだろっがっ!!!」
しかしザクロは気が付いたらスイーツのようなメニューを作っていた。
初心に戻り今後ゲームの世界で出すメニューを考える
今までに出会ったのはクマ肉、メタルスライム、竜の鱗が付いたようなカジキ、その他魚である。
「‥恐ろしくて店に来れないよな。。」
珍しい木の実などを使っていけば経験上デザートはゼリーやケーキを作れるから何とかなる。
小麦粉もあるし香草も売っている。海には様々な魚介類もいた事から、魚介系から調味料を使った一般的なパスタは作れるのだが。
「ガッツリとしたメニューが欲しい。」
肉料理が無いのである。クマの肉は焼くととても固くなり、煮込んだりされる事が多い。臭みを取る手段はあるにしろ、ステーキの様な調理法はクマの肉は向かないのである。
…まぁ俺はがっついたけどな。
ザクロは開店に向けて薬屋で薬草や果物、エールの作り方などを教えてもらい
木の実や果物、香草を採取しながら豚肉、鶏肉、牛肉を探し求めて、町の外へ繰り出した。
「見つからない‥鳥がいないと卵も無いしレパートリーが‥」
超加速を使い様々なエリアを走り回ったが見つからなかった。
そもそも、この世界は食事をすることを目的に作られていない。
ザクロみたいなプレイヤーは相当レアである上に、まだ発売して間もないため
食事処にそこまでの需要も無いのである。
ザクロは気を落としながらログアウトした
「意外とゲームの世界の刺身は美味しかったし、後はメタルスライムを使ってフルーツゼリーを使ったんだけどそれも結構美味しかったぞ」
「‥‥うん」
メタルスライムを食べようと考える幼馴染に対して紫水はもはや言葉も出ない。
「だけど、メインになりそうなのが無くてな、後は卵。
これもないとレストランとしてはしんどい」
「今までだと、牛や羊や豚を狩るイベントが過去作だとあったから、そこで蓄えるしか無いんじゃないかな。鳥に関しては分からないや‥ゴメンね。」
紫水からの言葉で今後に向けて希望は出来た。最優先事項は鶏肉の確保である。
柘榴は紫水にお礼を言うと電話を切るのであった。
ゲームが発売して1週間ほどして8月下旬に差し掛かったころ
現状はパスタやスイーツしかなく、肉料理はクマ肉の赤ワイン煮込みとエールという
若干物足りなさもあったのだが、肉に関しての新しい情報も無かったため
モンスターの料理を作れると噂のレストランZAKUROのオープンに踏み切った。
しかし不安をいい意味で裏切られ、レストランZAKUROは意外にもプレイヤーの心に響きお店をやっているときは連日プレイヤーが足を運んでくれている。
「お待たせしました、魚介のパスタと、クマ肉の赤ワイン煮、季節のケーキです。
オニキスさん、ジュエーラさんいつもありがとうございます。赤ワインはサービスです。」
この二人兄弟は店を開けた日は毎日来てくれる常連さんだ
ジュエーラさんは、アイテムや武具の製造を行っている職人さんでクマの毛皮をいつも買い取ってもらえる取引先だ。
「ありがとう、本当にここの料理好きなの。特にケーキは本当に絶品」
ジュエーラさんは元々柘榴の父親のスイーツファンらしく、一目見た瞬間に息子だと分かったらしい。彼女の場合はモンスターの料理が食べたい訳ではない。菱形家の作ったケーキがいくらでも食べれる事から、通ってくれる。だから決してスライムのフルーツゼリーは食べてくれない。
「ありがとうございます。それでオニキスさん何か新しい情報は入りましたか??」
「いや、鳥も牛も豚も全然発見された情報は入ってきてないんだよね。」
ジュエーラさんの兄であるオニキスさんはこの世界でも上位に入るトッププレイヤーだ。情報収集能力に優れていて、様々なプレイヤーからの情報を得ている。
最近はオニキスさんからモンスターの情報を教えてもらっている。
ちなみに最近シスイという謎のプレイヤーに勝負を挑まれて惜敗したという話も聞いたがそれは置いておこう。
「そうですか、卵があればパスタもケーキも更に美味しくなるので情報があれば、またすぐにお願いします。」
ジュエーラさんの目が光ったような気がした。最近オニキスさんは鳥モンスターの捜索に駆り出されているらしい。
しかし、翌日にこの二人との出会いのおかげで、希望が舞い降りて来るとはザクロも思ってもいないだろう。
一通りお客さんを捌き、オニキスさん達にお別れを済ませたところで店を閉めた。
新鮮な生魚と、メイン料理の考案をするため、俺は厨房に向かうのであった。
次回ザクロは運命的な出会いをします(鶏肉と)
是非読んでみてください。