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終わり

20××年2月10日 日本

「今月のコロナ感染者は――」

「この自粛期間の中でどうやって過ごすか――」

お昼、男はテレビを付け、色んなチャンネルを一瞥した後、その電源を切った


「どこ付けてもコロナコロナ、俺には関係ないっての……」

ぶつぶつ一人で文句を言う男

この男は中西(なかにし) 明夫(あきお)

今年で30歳になる、大流行したとあるウイルスが原因で仕事にも影響が出て

叩いていた清掃業をクビになった。

それ以来働きもせず家でぐうたらする生活が続いてた


――しかし



「貯金も底をついてきたな……」

元々、フリーターで働いており、多くなかった貯金も既に使い切っていた明夫

その日生きるのもギリギリだったがそれでも家賃の更新や大きな出費のために身を粉にして溜め込んでいた


(そろそろか……)

男は徐にタンスを漁りだした


「あった……思ってみれば俺の人生、辛いことばかりだったがそれもこれで終わりか……」

(辛いことと言っても、大体は俺がワガママしてきたせいだけどな)

明夫は過去の事を不意に思い出す

小学生時代にはいじめられ、中学もまともに行けなかった明夫

これではいけないと思いつつも行動することができず、結局高校も行かずに引きこもり


なんとか働いたのは5年前の清掃業だったが、その仕事もクビになり

周りには助けてくれる人も求められる人もいない

年齢は既に30歳、今は世界的緊急事態のウイルスで皆が就職も生活もままならない中

中卒で資格もない、そもそも無職、引きこもりの時間が長かった明男に食ってける仕事など見つかるはずもなかった


(しょうがないさ、結局は引きこもりの生ぬるい環境に甘え行動しなかった俺が悪い)

(だからこそ、俺は俺自身でこの人生を終わらせる)


そう諦めの意を決し明男は椅子を台にしながら立ち、ロープを少し高い位置にあるフックに引っ掛ける

そして輪っかになっている部分に首を通し……


「ふぅ……」

一息、そしてまた一息

そんな事を5回ほど繰り返し

「さて……じゃあな、世話になったよ、俺の部屋」

5年、一緒に過ごしてきた部屋に別れを告げる、そして――

ガコンッ!

台にしていた椅子を思いっきり蹴り、明夫は宙吊りになった

そして間もなく、明夫は意識を失った……

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