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22話 ティカとエアリス

ーsideエアリス


 カイト君を部屋に残し、やらなければならない仕事を整理しに、仕事部屋へ向かう。


 その道中、ティカに呼び止められた。


「あらティカ、どうしたの?」

「あの、カイト様のことなのですが……」

「……そうね。説明するわ」


 ティカに彼と会った時の状況を説明した。


「……そうですか」

「ええ……」


 もしかすると、同居を反対されるかもしれない。 そんな不安を持っていたが……。


「お告げの通りですね! おめでとうございます!」


 彼女は手を取り喜んでくれた。


「あなた……覚えていてくれたの?」

「忘れるはずないじゃないですか! お告げを受けた時の喜びようは凄かったですから」


 そう言うと、ティカは少し悲しそうな顔をした。


「お子様が亡くなられた時のエアリス様は、本当に見ていて辛いものでした……忘れるはずがありません」


 すると、今度は苦笑いを浮かべた。


「ただ……お告げを受けた後、毎日のように森へ出向いていた時は大変でしたけどね……」

「……ごめんなさいね」

「……」

「……」


 2人でクスクスと笑い合う。こんな何気ない会話も1週間ぶりだ。


 ティカは、私が子供の頃からの付き合いだ。

 所属はメイド長だが、歳の離れた姉のような感覚に近い。

 彼女になら彼について、教えても良いかも知れない。


「……カイト様が、“魔力付与人型兵器”……ですか?」

「ええ……あくまで推測だけれどね」

「そうですか……」


 彼女は信じられない、と言うような顔だ。


「もし違うとしても、彼は実力は普通じゃないわ。その証拠に帰ってくる道中、双斧盗賊団に襲われたのだけれど盗賊団長のゲイル、そして盗賊のほとんどを彼が1人で倒してしまったわ」

「え!? ……そんな事が……」


 彼女は少し考えるようなそぶりを見せたが、すぐに顔をあげた。


「先程も言いましたが、エアリス様はその様な冗談をおっしゃる方で無いことは、知っています。先程グレイス様が、衛兵を呼ぶ手はずを整えておりましたし、信じますよ」

「……ありがとう」


 彼女は笑い、話を続けた。


「ではエアリス様、1つ質問させて下さい。カイト様のお世話を大人数でしてはならないのはなぜですか?」

「……ええ、実はね、あの子……」


 周りを見渡して誰もいないことを確認して、彼のステータスを表示する。


「ここを見て」

「……“人恐怖症”!?」

「そうなの……あの子、森で生活する前は酷い扱いを受けていたみたいで……きっとこれは本能的な自己防衛がスキルとして形になったものよ」


 こんなスキル、当然前例はないが、スキルの獲得条件を考えれば、もしかするとそういうこともあるのかもしれない。


「では、仕事の空き時間はエアリス様が、それ以外の時間は私がカイト様のお世話をいたしましょう」

「ありがとう……でも、あの子が怖がらないよう注意してね?」

「はい、お任せください」


 信頼している彼女なら、彼の事を任せられるだろう。

だが、彼が彼女の事をどう思うかは分からない。


 もし、何かあった時は自分がすぐに間に入れるように備えておこう。


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