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16話 この世界のスライムはやばいらしい

 

 今日は領地へ引っ越しの日だ。

 すぐにでも準備をしたいところだが、今は湖で服を洗っている。


 今日の朝に森の中に設置しておいた罠を解除しに行ったところ、1つだけ普通の猪が獲れていた。


 領地に行くからと、それを置いていくのはもったいなかったので持ち帰ったのだ。

 ところが、下処理していた時、手を滑らせて動脈を切ってしまい、返り血を浴びたのだ。


 今はその血を洗い流している。


「よし……じゃあ、次は体を」


 一通り洗い終わり、ついでに体を洗うことにした。

 お風呂は家にもあるが、せっかくなのでこっちで済ませよう。


 水魔術で空中に水球を作り出し、熱魔術でお風呂と同じくらいのお湯にした。


 これで空飛ぶお風呂(水の玉)の完成だ。

宙に浮かぶお風呂(水の玉)に飛び込む。


なんか、変な感じ。


 お風呂に入っているのに、ふよふよ浮いている感覚。実際に浮いているけど。


 外から見たら、結構恥ずかしい状態という事に気がつくが、腰にタオルを巻いているので問題は無い。


 体が温まったので、お風呂から飛び降りた。


 続いて収納部屋からとある木の根を素材に、“物体加工”で作ったシャンプーを取り出して頭を洗う。


このシャンプーはエアリスさんも絶賛してくれたものだ。お店のものより良質らしい。


 泡立ってきたので髪を洗うと、木のいい香りがしてくる。


お風呂から、自分の頭より一回り程大きい水の球を分離させて目の前まで持ってくる。

そして大きく息を吸い込み、その中に頭を突っ込んだ。


その中で頭をわしゃわしゃとかき回して、シャンプーの泡を落としていく。


「カイト君!!」


 突然、横から大声で呼ばれた気がした。


 水の球から顔を出して目を向ける。すると、グレイスさんが危機が迫ったような表情で、こちらに走って来ていた。


 ……え? なんでそんな顔でこっちに来……


 水辺に飛び入ったグレイスさんに、抱き上げられる。訳のわからぬまま、地へ寝かすように下された。

 その上に、グレイスさんが庇うように覆いかぶさった。


 な、なに!? 何事!?


 驚いた拍子に水魔術を解いてしまう。水の球が湖に落ちる音が耳に届く。


「おい!! まだそこにいるのか!?」

「湖へ潜りました!」

「戦闘態勢を維持しろ!」


 え? なに? 何かいる? まさか盗賊!?


「スライムに備えろ!!」


 ……は?


 スライムって……あのジェル状のやつ? そんなのいたっけ?


「……あ」


もしかして、お風呂の事?


 ……先程の光景を想像してみたが、確かにスライムに襲われているように見えなくもない。


「クソ! この森にスライムはいないはずじゃないのか!?」

「そう報告されているはずです!」


 俺の上で叫んでるグレイスさんの焦り具合を見て思った。


 この世界のスライムってそんなにやばいの?

 イメージだとゲームの序盤で出てくるような雑魚みたいな感じだけど……。

 と、とにかく誤解を解かないと。


「グレイスさん……」

「安心しろカイト君! 必ず守り切ってみせるからな!」


 お、おう……とにかく、スライムがヤバイのは分かった。


「スライム……違う、僕の、魔術」

「……なに?」


 俺の言葉を聞いたグレイスさん含む4人は、動きをピタリと止めた。


「……スライムじゃないのか?」

「うん、違う」


 そう答えると、グレイスさん達は顔を見合わせる。そして俺を起こしてくれた。


「見てて……」


 俺は湖に手をかざし、先程と同じ水の球を作り出してみた。

 それを見た彼らは、大きくため息をつく。


「そうか……それならよかった」

「なに!? なにがあったの!?」


 すると、家の中から、騒ぎを聞きつけたエアリスさんが飛び出してきた。


「グレイス!?」

「あぁ、エアリス無事だっ……」

「グレイス手! 手!!」


 何かに気づいたグレイスさんは俺から距離をとった。


「……?」

「すまないカイト君、とっさのことで君のスキルを忘れていた」

「……あ」


 俺も完全に忘れていた。

 その事を思い出した途端、じわじわと恐怖心を感じてきた。


 このスキルって、認識しなかったら発動しないのか? そういうものなの?


 この恐怖心は本心ではないからか、他の事に気をとられると恐怖心を忘れる事があるようだ。


 この発見は大きい……と思う。


 スライム……どれほど脅威なのでしょう。次回、早速事件が起きます。

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― 新着の感想 ―
[一言] スライムといえば物理攻撃無効と、水耐性のあるモンスターで、合体すると厄介ってイメージ
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