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第一章 第一夜 ハジマリ

超新人声優が初めて小説書きました!

 それは、見覚えのない光景だった。そんなことはないはずなのに。

 煌巻こうまき錬鎡(れんじ)、17歳は祖母の入院している病院に久しぶりに付き添いで泊まり込んでいた……だけのはずだ……。

 錬鎡は一人、薄暗い病室棟の廊下の向こう、玄関口付近におぞましいモノを見ていた。ソレは身体と世界との境界線が曖昧あいまいで2mを超える大きな人の影のような存在。唯一捉えた特徴はあかく光る目だけだ。


『いや明らかにおかしいだろ‼︎ なんで夜中の病院に……ってかこの世のモノかあれ⁉︎』


 影を前に動けない錬鎡の頭は、すごく――テンパっていた。

 影はゆらゆらとその身体を動かしながらゆっくり、しかし確実に錬鎡のいる方向へ移動している。


『目を合わせたら確実にやられる‼︎ えとー、えとー、確かクマにあった時はゆっくり後ずさるんだよ、うん‼︎』


 ジリジリと側の階段へにじり寄る。死角に入って体を壁に預けて静かに息を吐く。やっと体だけ安堵あんどする。


『いやいやいやいやいやいやいやいや‼︎ あっれ⁉︎ ここの怪談って上の階のトイレだったよな⁉︎ 1階のトイレはセーフじゃなかったのかよ⁉︎ はっ‼︎ もしかしてまた別の⁉︎ ……いやいやいやいやいやいやいや冗談じゃねぇ‼︎ 針崎の野郎、誰が怪談なら任せとけ、だ。ふざけんな‼︎ 情報に不備あんじゃねぇか‼︎ つーか、階段の前で怪談って何のギャグだよ⁉︎ 笑えねぇんだ』


 ガシャン。


『……ガシャン?』


 廊下の方に目をやると影の横顔があった。いや、もう影とは呼べないくらいに輪郭りんかくははっきりとしている。その姿は戦国時代からタイムスリップしたかと思うほどの綺麗な赤暗あかぐらい鎧に身を包み、刀を2振り腰に差した鬼武者へと変わっていた。


『―――――――』


 悲報――主人公、脳内までフリーズ。


 鬼武者がおもむろに階段へと進行方向を変える。

 錬鎡の恐怖は最高潮に達し、肩がびくりと震えたが見向きもされず、形を手に入れた鬼武者はその具合を確かめた後、飛ぶように階段を上っていった。


「? へ?」


 朗報――主人公、ついに言葉を発する。


 と同時に思考も解凍されてきた。


「あいつ、今なんて?」


 小さな声だったが錬鎡は確かに聞いていた。鬼武者が「けいやく」と呟いた音を。

 少し考えて、鬼武者の後を追って階段を上る。

 好奇心旺盛(おうせい)な臆病、それが煌巻錬鎡という男の子だ。


 

『けいやく……契約、か。そんな怪談聞いたことあったっけ?』


 能天気に考えながら錬鎡は階段を上りつつ、鎧の音を追う。

 鬼武者と同じ階に着いた時鬼武者はある病室の扉を斬ろうとしている所だった。


『! 病室はマズイだろっ……!』


 鬼武者に駆け寄ろうとすると声をかけられた。


「煌巻さん?どうしました?」


「⁉︎」


 『看護師のおねーさん⁉︎ 夜見ても美しいですね。ってそうじゃねぇ! そうか、この階ばあちゃんの部屋の階か‼︎』

「おねーさん、今は静かにっ」


 ドンッ‼︎


「「⁉︎」」


 驚いて2人が音の方を見ると鬼武者が扉を破壊してしまっていた。


「扉が急に壊れた⁉︎」


『おねーさんにはあの化け物が見えてねえ⁉︎ っ! おねーさんが攻撃されたりしたら……!』

「僕が見てきますッ!」


 錬鎡は鬼武者へ向かって走り始めた。


『やっべ、久しぶりにカッコつけた‼︎ 次アイツにあったら報告しねーと! けど、アレはどうしようもなくねぇか、おい』


 焦っていた錬鎡だったが少しずつ速度を落とし、鬼武者が入っていった扉の5m手前で止まった。止まったのは偶然ではない。不思議な音が病室の中から聞こえたからだ。

 空間が包まれた(ような感覚の)後、病室から鬼武者が勢いよく押し出されてきた。

 薄緑色の壁に押され、ドッと音を立て廊下の壁と挟まれた状態になる。鬼武者も持っていた刀で防御するが明らかにパワー負けしている。


 そして遅れて部屋から壁を創り出した犯人が現われる。身長は錬鎡と同じか少し高いくらい、無造作だが綺麗な黒髪、女子が喜びそうな顔立ちの男の子で年齢は錬鎡と同じ17、学校も同じならクラスまで一緒だ。


『最近転校してきたヤツだよな? ……名前……なんだっけ?』


 転校生クラスメイト(以下転クラ)は鬼武者の方へ手を突き出し、化け物を押さえつけている壁を維持している。こちらもまた、表情にこそ出ていないが余裕はなさそうだ。


『とにかくあいつ助けねえと‼︎』


 錬鎡は武器になりそうな物を探した。

 そして見つけた、ポケットに入っていた飴玉を。

 ……。

 ………………。


「コレでどうにかなるかー‼︎」


「「⁉︎」」


 鬼武者と転クラが錬鎡の声に反応、2人の視線が錬鎡に集まる。


「あ…………………。えいっ」


 錬鎡の投げた飴玉が鬼武者の兜に当たり哀しい音が響いた。

 ……………………。

 ………………………………。

 錬鎡は飴玉を投げ切った体制で固まっていた。

 しかしこの想定外の乱入者に対して2人の頭に浮かんだフレーズは全く同じものだった。


『見えている⁉︎』

『ミエテイル?』


 一瞬の間の後、より速く自らの敵に意識を戻したのは転クラだった。


「 」


 転クラは鬼武者を押さえつけていた壁を消し、新たに結界を張る。

 閉じ込められたことを認識した鬼武者が不快な声を上げた。

 そんな鬼武者の様子を確認する事もなく、転クラは足早に出てきた病室へ戻っていった。

 ただ見ているしかなかった錬鎡にここで思考が戻る。


『……あいつどこに行く気だ。この化け物放っとくわけじゃねぇよな?』


 そんな錬鎡の不安は杞憂きゆうに終わることになる。


「ア゛ア゛ア゛………ア゛ア゛ァ…………」


 鬼武者が呻き声を出して消えてゆく。同時に結界も消失していった。


 ……しばしの静寂。

 壊れた扉からは転クラの姿が現れる。

 安堵と混乱で頭を支配され立ち尽くしていた錬鎡の元へ転クラが近づく。


「ちょっと来い。話がある」


「…………は?」


 う〜う〜う〜

「チッ、警察呼ばれたか。早く場所変えるぞ」


「いや、え?」


 錬鎡の返事を待たず転クラは結界を創り2人を外界から遮断した。


「行くぞ」


 転クラは歩き始めそれについていくように結界も移動する。その結界に物理的に背中を押されて錬鎡も動かざるを得ない。


「ま、待って。この病院にばあちゃんいるんだけど!」


 微妙な言い訳を展開する錬鎡に転クラは一言だけ答える。


「死にたくなければ、死なせたくなければ、来い」


 その眼力、その言霊に押され錬鎡は歩き出した。その道がどこへつながっているのかも知らずに……。




「あとお前」


 は、はいっ! え、わたくしですか? 転クラさん。


「その『転クラ』っての。()()()


 はいすみません‼︎ 凌駕(りょうが)さん‼︎


最後まで読んでいただきありがとうございます!


代々木アニメーション学院所属声優Heartと申します。以後お見知り置きを。


さて、私、実はSHOWROOMというアプリ、サイトにてライブ配信を行っています。顔出しでよく雑談なんかしてますので遊びにきていただければ嬉しいです!


小説は今後も少しずつ更新する予定ですのでぜひよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 1.爽快感いっぱいの読む体験、余計な紹介がないで、小説の始めから緊張感に落ち込んでいった。 2.飴玉を武器として、結構面白いと思います! [気になる点] 錬鎡の髪型とか、顔とか、見た目はど…
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