(18)
第二章
いつもありがとうございます。明日からいったん投稿できなくなります。ご了承ください。
誤字修正しました。
あれから数か月が経った。
私の立場をはっきりさせるためと、王子であるラディ殿下にふさわしいと認めさせるために必要ということで、多くのことを学んだ。礼儀作法、王宮で必要な知識、この国の歴史、私の故郷の歴史……。多くあり過ぎて、挙げきれないほどだ。
その間にラディ殿下と会うことは数度、いずれも朝食と昼食の間にほんの少し現状報告をするだけ。私の体調はヴァルツが、その他のことは主にレイナを通じてその上役の方がその都度報告しているので、私から直接聞くことは少ないのだ。
それでも忙しい合間を縫って(と言うのはレイナの解説だけれど)、私に会いに来るのは私を愛妾とするにあたって仲良く見せるためのものらしい。この数か月で愛妾の意味と役割をおおよそ理解した私は、やっぱりさして抵抗も感じていなかった。レイナは相変わらず、いやむしろ、「ティ様が怒らない分怒ります」といっている。
愛妾は、この国ではさして珍しいものではない、らしい。実際、現国王陛下(ラディ殿下の長兄様)と王子殿下方(ラディ殿下の兄上様たち)は何人もかこっている。才能ある良家の女性をうまく利用するためのシステムと言うという側面が強いのだそうだ。
もちろん、そこには特別な仲というものも考慮され、正妃や側妃などのように跡継ぎとまでいかないが、より良い能力を持った国王陛下や王子殿下方のお子も望まれることが多い。愛妾との子は王位継承権がないが、歴史を見る限り、要職に就く人材は愛妾の子ということも多い。
「つまり、かなり期待される立場でもあるわけだな」
ラディ殿下とお会いして愛妾のことが話題に出た時、ラディ殿下はそういった。
「だからこそ、姫は苦境に立つことになるだろうな。姫の価値は医療の役に立つかもしれない、ということだけ。それ以外は努力で賄わなければならない。一般教養すら怪しいんだ、かなり苦労するだろう」
そんな風にも言って、けれど悪びれもせず、罪悪感も感じないような笑顔を浮かべていた。私はもちろん怒りかけたけれど、ラディ殿下の言うことも尤もなので黙っていた。
この数か月で痛感したけれど、ラディ殿下は人を腹立たせるのが得意なようだ。