神の空席と人の選定
また新人賞用に書いたプロットを少し弄って投稿してみます。
まだどんな風に終わるかも決まっていませんが、読んで下さると嬉しいです。
序章 神の空席と人の選定
ある時、天上の神々の一柱がお隠れになられた。
神の一柱が欠けるということは、神々が管理しているあらゆる世界に悪影響が出かねない。
残った神々は、早急に新たな神を創設しなければならない。
だが、下界の生物から新たな神を選別するのは簡単ではない。
神になるということは、一階層上の存在になるに等しい。
神の力を自身の私利私欲のために使用しないことは大前提として、その人間がどんな神に相応しいかも見極めなければならない。
というのも、神の席にも色々なものがある。
罪人を罰し、裁きを与える法の神や、逆に人の不幸や世界の災いを司る邪神などもいる。
つまり、一概に「正義感が強い」だとか「平和主義」という、所謂「神に好かれる思考」の持ち主であれば選ばれるというわけではない。
大事なのは、盲目的なまでに、異常なほどに、司る一点に長け、信じ、貫くこと。
人間は「祈る側」だったが、神になれば「与える側」に回ることになる。
そうなれば、要求される能力も違うものになってくる。
それを残った神々は慎重に分析し選ばなければならない。
だが、それに反対する神が現れた。
「実際に神の力を振るわせ、それを見て判断した方が早い」と言ったのだ。
人間に神の力を分け与えることは、一時的であれ絶対の禁忌と決められており、それを破ったものは過去一度もいない。
だが、今まで神が隠れたことも一度としてない。
そして、神の選定にあたって、大きな問題があった。
人間の寿命だ。
神が選定に時間をかけ過ぎれば、それだけで人間の寿命など軽く三週してしまう。
神々は迅速かつ慎重に、絶対に失敗することなく選定しなければならなかった。
そこで、あらかじめ見込みがありそうな人間を一定数まで絞り込み、その一部の人間にのみ、神代の力を与え、競わせることに決めた。
――これは、神の玉座に手を伸ばし、運命に翻弄され、立ち向かい、闘う人間の話。
大体こんな世界観で行きます。
今回は何故主人公が《神手》を持つことになったかを説明する、所謂プロローグ的な回でした。次回から主人公たちの異能バトルが始まる予定です。