幼女「我は神である」 俺「飴あげる」 幼女「わ~い!」
適当に読んでください
「我は神である」
そう言って俺の前で胸を張っているのは幼女である。くすみのない綺麗な金髪にエメラルドの瞳。完璧な美少女ロリだ。そしてゴスロリ。俺のアパートの部屋のインターホンに届なかったらしくぴょんぴょんと跳んでいたところをコンビニから帰ってきて発見した。そして俺を見たときの第一声があれである。
もしかしたら何かのアニメにでも当てられたのかな? これが幼女の年齢を3倍ほどしたなら中二病なのかと冷めた目で見ていたかもしれないが、この幼女が言うとどうも微笑ましいものに見える。言っておくが俺はロリコンではないからな。断じてだ。
「その目はなんだ!本当だぞ?我は神だからな」
「はいはい。分かりましたよ。この飴をあげるからお家に帰りましょうか」
「わーい、アメさんだ♪」
そして、俺の手に飛びついてくる幼女。うむ可愛い。俺から貰った飴を嬉しそうに口に含むと頬から飴の形がはっきりと分かる。しばらく口の中で飴を転がしていたが途中にハッとしたように眉を寄せた。
「ええーい、違う違う。アメさんのことなど今はどうでもいい」
そんなことを言いながらしっかりと飴玉を舐め続けている。どこからどうみても幼女だ。しかも可愛いが付く。
俺がそんな可愛い幼女に向けてあたたかーい目で見ているとプルプルと幼女が体を震わせて叫んだ。
「だから神なんだってば!」
いかん、少し涙目だ。ここは乗ってあげないと泣き出してしまうかもしれない。流石に俺の膝程度の身長しかない幼女を泣かせるのは胸が苦しい。子供が泣いていると罪悪感に押しつぶされて死んでしまいそうだ。
だから合わせてあげよう。いつか飽きて終わるだろう。
「それでとてもとても偉い神様は俺のところに何に来たんでしょうか?」
「おお、やっと信じてくれたか。先ほどの行動は不敬だがここはアメさんに免じて許してやろう」
おお、不敬なんて難しい言葉をよく知っているな。頭の良い子供らしい。頭を撫でたい衝動に駆られるがそれは社会的にアウトな気がする。
「という事でご褒美に飴を上げましょう」
「やったー!」
そして出した飴。今度はイチゴ味だ。ちなみにさっきのはメロン味だ。都合のいいことのポケットに沢山入っている。そのせいでポケットはパンパンだ。何故かは知らないが、まあ害はないのでいいだろう。むしろ目の前の幼女が喜んでくれる分だけ良い事ではないか。
ひとしきり舌で飴を遊ばせながらしきりに満足そうに幼女が首を縦に振っていた。
「美味いぞ。やっぱりアメさんは最高じゃ」
「じゃあ、もう一つ飴を」
「わーい♪」
チョロイなこの幼女。お兄さんは君が悪い人にかどわかされないかが心配だよ。
二つ目の飴を全て舐め終えた幼女は俺を見ながら笑った。
「いいぞ、いいぞ分かっておるな」
「喜んで貰って嬉しいですよ。それじゃあお家に帰りましょうね」
「だから神じゃと言っておるだろうに」
先程からの様子を見ていていてもどう見ても幼女。話し方は流暢だし、難しい言葉も知っているがどう見ても幼女だろう。姿はもちろん、飴を貰って喜ぶ様子や俺が信じていないと分かったら泣き出したところとか。古風な話し方も背伸びをしているように見える。実に可愛らしい存在だ。
「それで神様?」
「そうだ、神様なのだ」
「本当に?」
「本当だ」
「本当に?」
「だから本当だ!」
「本当に?」
「いい加減しつこいぞ!」
いやー、いじりたくなっちゃってついやっちゃった。大人げないかもしれないが反応面白いんだよなこの娘。まあ、虐めすぎてまた泣き出しそうなので機嫌を直してもらおう。
「これを上げますから許してくださいよ」
「また、アメさんか?もうその手にはのら――」
「チョコレートです」
「わー♪」
どうしよう、ちょろ過ぎる。そして可愛い。ものすごく抱きしめたくなってきた。別にこの気持ちはロリコンだとか性癖などには全く関係がなく、これは人形を愛でる感情と同じようなものだ。だったら抱きしめてもいいのではないかと、ほんの少しだけ思ったがどう考えてもアウトなので自分の腕を抓って自制した。精神統一、精神統一と。
しかし、なぜか幼女の方からガツガツとした音が聞こえてくるんだが。勢いよく食べ過ぎではないだろうか? いや、勢いよく食べてもチョコレートからガツガツなんて音は出るのか? 何とも疑問に尽きない食べ方だ。まあ、そこも可愛い。……ちょっと自分で自分をきもいと思った。
幼女は勢いよくチョコを頬張ったせいで口の周りが汚れている。ああ、せっかく白い肌なのに。ええと、ハンカチは持ってたかな?あ、あった。
「口元が汚れてますよ」
「ん? ああ、すまんな」
幼女は俺からハンカチを受け取ると口を拭った。それにしても今日は随分とポケットの中から都合のいいものが出てくる。ハンカチぐらいならともかく飴やチョコなど普段は持ち歩かないのだが。ここまで来ると謎現象だ。
「貴様はどうも我を神だと信じないようだな」
「いえいえ、信じてますとも」
「いや、その態度と目は信じてないな。なら貴様に奇跡を見せてやろう。とりあえず、何か望みを言ってみろ何でもいいぞ」
「望みですか?」
望みね。正直、金と健康。後は出会いぐらいしか思いつかないが。それを子供に伝えるのもな。まあ、健康ぐらいならいいか。
「ある程度長生きをしたいですね」
「む、地味だな。他に何かないのか、他に。金とか女とか世界とか」
「生々しい事言いますね。健康が一番ですよ。命あっての物種ですから」
金にも女にも実はあまり興味がない。あったらいいなとは思うがなくても問題は無いしな。しかし正直なところ、幼女の口から金だとか女という言葉は聞きたくなかった。夢を壊された気分だ。ませてるよなー、本当。勝手な理想を抱いていただけだが、嫌な世の中になったものだ。
「夢がないな。ふーむ、別にこのままでも良いがしょうがない。このままでは沽券に関わる」
それにしてもこの幼女何をしに来たんだろうか? ちゃんと親御さんにも許可取ってるのか? もし取っていなかったら不審者として認定されないだろうか?
早く帰してやらないとな。俺もそろそろ仕事に行く準備をしないといけないし。
そう考え、幼女に声をかけようとすると、どこかからピーピーと電子音のようなものが聞こえてきた。
「むぅ、もう時間なのか」
幼女はどこからともなく取り出した親が子供によく持たせている子供ケータイというやつを取り出した。親御さんからかな?
鬱陶しそうな顔をした幼女は舌打ちをして俺を睨みつけた。
「お前が無駄に時間を取らしたせいで何もせずに帰ることになるではないか、馬鹿者め。明日も来るからな、覚悟しておけ!」
どうやらこの幼女は明日も来るらしい。何の目的があるのかさっぱりだが、相手が幼女なので深く考える必要もないかもしれない。何となく飴をあげることにした。困ったらとりあえず飴をあげとけばいいか、といった思考回路になっているがかなりはしゃいでくれるのでまあいいだろう。
幼女はほくほくとした顔で飴を両手で包み込んでいた。かわいい。
「これはありがたくいただこう。ではさらばだー!」
そういうと突然視界が真っ白い光に覆われた。その光が止まり幼女がいた場所をみるとそこには誰もいなかった。
何が起きたんだろう? 一瞬本当に先程の幼女が神様だったのかもしれないと思ったが、馬鹿らしいと首を振って否定した。
「今日はなんともおかしな日だ」
ちなみに後日、幼女はまた俺の家を訪れてきたのでまた飴をあげてやった。