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それゆけ摩天楼

道の終わりにマイカは異界の摩天楼を見る。

またしても門があった。高速道路、今の場合は高速浮遊道路とでも言うべきか。ともかく道の終わりには始まりと同じく管理された門が設置されていた。ただ全く同じ形というわけではない。いくばくか汚れ錆びついている、みすぼらしさをにおわせる門を通り抜ける。

「あれ、消さなくていいの?」

 俺は何となく思ったことを、それなりの知識を以て意見してみる。

「消すって、何をですか?」ソルトが慎重に車のスピードを落としつつ聞き返してくる。

「ほら、浮遊なんとかってやつ」名前が思い出せない。

「つけっぱなしだと危ないんじゃないかな」

「どうして?」

「どうしてって・・・」

 理由を聞かれて戸惑ってしまう。俺の頭の中で閑静な住宅街を風にあおられる風船のごとく徘徊する車の風景が浮かぶ。

「町の中を飛ぶのは、危ないんじゃないかな」

 さっきと同じことを、より明確に伝える。

 ソルトは5秒ほど表情を停止させ、瞳をあさっての方向に向けた後「ああ!」とひらめきの声を発した。

「そうでしたね、転生者様の故郷では車が珍しかったですよね」

 その言い方には語弊があるが、大体あっているので黙っておく。

「安心してください、浮遊機関はこの先では停止させなくてもオーケーです。というかむしろ、しない方がいいというか、したらだめというか」

 ソルトは何かを思い出そうとして諦める。

「ごめんなさい、ちゃんと交通ルールを説明するには時間がかかりますが、よろしければ聞きますか?」

「いや、いいよ」

 交通ルールなんて現実じみたものがあることと、それをいちいち覚えている風の彼女、その両方に対する驚きもそぞろ、俺の頭の中では相変わらず町に浮かぶ風船車というタイトルのシュールレアリスム絵画が勝手に描かれていた。

「説明よりも、実際に街を見た方が早いですね。急ぎましょう」

 ソルトは意味深な微笑みを作って、車のスピードを上げた。

 広大な地下空間の霞の向こうに無数の塔の群が幽かに見えてきた。

やっと移動パート終了です。バルエイスでは四輪浮遊自動車が主な移動手段とされています。

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