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苦々しい嘘つきの苦い唾液

変更します。

 結構な嘘をついてはいる。

「大丈夫ですね、以外にも体はすごく楽です。これなら作戦とかも無事にできますよ」

 正直なところさっきから変な、ぬめりのある汗が毛穴から噴き出し続けている。手近に鏡が無いので確認できないが、きっと目玉は赤く血走っているだろう。息苦しくて口呼吸をしたくなる。だが口を開くとどろりとした唾液が、かさつく唇に染みそうでためらってしまう。人体には到底出せないような苦味さえ感じてきた、気がする。

 不調から引き起こされる倦怠感が、能動を果汁のように絞りつくそうとしていた。しかし懸命に、語節を握り締めて耐える。

 単純に面倒臭かったのかもしれない。ここで真実そのままに不調を訴えたら、ルドルフかウサミあるいはこの兵器にいる誰かに迷惑がかかる。それだけは嫌だから、自信を騙し虚偽を作ることが出来た。

 とはいえ残念なことに俺はあまり忍耐力が無く、それを鍛える機会にも恵まれなかった。そうでなくとも顔色だけはどうにも誤魔化せない。生命力を直接こそげ取る不快感は、やがて悪寒を生み出し始める。

「マイカさ」

「大丈夫、もうベリーグット、だよ」

 ソルトが見かねて、あるいは察知しかねて何か意見しようとしたが、強めの語気で阻止をする。

「大丈夫だから」

「でも…」

 俺が何を思っているのか理解しなくとも、彼女はおおよその感情を理解してくれた。きっと仕事的にはいけないのだが、しかし彼女は優しくしてくれた。

「…そうですね、わかりました」

 小声で俺に確認し、自身に納得させると、

「動作に多少の差異はありますが、概ね無事にシンクロ出来ています。これなら作戦も無事に進行できるでしょう」

 嘘をついてくれた、彼女に付け込んだ罪悪感が鼻の奥を突き刺すのが分かる。

「そうかい」

 ウサミは何も言わなかった、たぶん彼はうっすらと察しているに違いない。でもこれ以上考えるのは、とにかく面倒臭い。

「おほおおおお…!」

 肩を上下せて呼吸を整えていると、ムクラが奇妙な呻き声を漏らした。キーボードの音は止んでいる。

「どうした?」

 大した理由はないが、何となく気になったので視点をムクラがいる所へ移してみる。

 視界の中では青年が、まるで屋上のヒーローショーを見た幼子のように、ガラス板の奥の瞳を輝かせていた。

「えっと、どうしました?」

 鼻息の荒さに若干引いている俺に構わず、ムクラは意気揚々と感想を述べ始めた。

「いやあすごい、すごすぎるよ。妖獣とのシンクロを成功させるなんて」

 彼は熱く語り始めた。

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。


一回書いた文章がまた消失しました。サブタイトルの形式を今回から変更します。

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