幕間 月刊バルエイスの生活最新号 特集!!秘密兵器域に隠された陰謀?!
雑誌。
特集!突如出現した超巨大怪獣!!防衛隊は保護区のお荷物か?奇跡の生還者は語る!!
先日バルエイス共同保護区区域内に侵入し、保護区有数の商業都市アラジステムが、巨大生命体(通称無イ)に襲撃された。わが保護区の誇る防衛隊の健闘も空しく、かの大災害に匹敵するほどの進行を許してしまったことに、保護区民からは批判の声が殺到している。
そのような状況の中、当社は偶然にも無イをリアルタイムに目撃、及び巷を騒がせている多機能式防衛兵器フェアリービースト(またの名を妖獣)の戦闘現場に遭遇しながら、奇跡の生還を果たしたアラジステム在住のYさん(42)に、本誌限定の独占取材をすることに成功した。
以下取材状況
Yさん、今日はよろしくお願いします。
「よ、よろしくです」
早速ですが、どうしてあなたは現場に居合わせることが出来たのですか?
「へ、どうして、とは?」
避難警告、街中に鳴ってましたよね。
「そうだったかな、憶えてねえや」
鳴ってたのです。今回の侵攻は保護区の歴史上類を見ないレベル、十数年ぶりの危険レベル4でした。最大級の危険度の発令に、区民はそれはもう混乱しました。ご年配の方々には、過去の侵攻を思い出されたかもしれません。
「まあ、そうかもな」
そのような緊迫した状況であなたは、あの、果敢にも避難シェルターに逃げなかったわけですよね。
「まあ、そうだな」
はたしてその理由は?
「理由なんてとくにねえよ。いつの間にか路地裏で寝てたら、…いや、気絶していたのか?いかん、思い出そうとすると息が苦しくなる気が…。まあいいや、とにかくそのせいで警告に気付けなくてな、そしたらいつの間にかでっけえ化けモンのお出ましだ。生きた心地がしなかったね」
そうでしたか、心痛申し上げます。
「そうなんだよ、なんかな、記憶が曖昧なのよ。確か誰かに」
それで?
「はい?」
ですから、そのような事象が重なったことで、あなたが警告に気付けなかったことはよく分かりました。それよりもその時目撃したものを、今ここで思い出すことは出来ませんか?
「目撃したものって、いきなり言われても、なあ」
商業都市アラジステム、その階層まで侵攻した無イを防衛軍は何としてでも食い止めなくてはいけませんでした。そこで中央行政機関は、満を持して現在のバルエイスにて後方の科学、あるいは魔法技術を駆使して生み出された決戦兵器を投入することを、名前持ちの全ての権限を持って決定することにしたと報告がされています。それが妖獣なのです。
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お久しぶりです幕間です。もう少し続きます、たぶん。