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エッセイのようなモノたち

『エセ関西弁』を使ってほしくなくて。

作者: 奈良ひさぎ

 どうも。お世話になっております、奈良 遼任という者です。


 普段僕は短く話にオチをつけるのが苦手なので、短編は本当に書きたいと思った時しか書かない(それでもグダグダですから何とも言えない)のですが、エッセイというか、自分はこう考える、的なのを書き散らして投げてみたりします。そしてまとめられんわってなって消します(消すんかい)。


 そんな話はどうでもよくて、今回はタイトル通り、ざっくり『関西弁』についていろいろ書いてみたいなと思います。

 僕は一応曲がりなりにも関西生まれ・関西育ちなので、方言、というものに触れながら幼少期を過ごしてきたわけです(言うことのスケールがやたらでかい)。ですので頭の中に明確にルールが存在しないとは言え、「なんかこの関西弁パチモンくさいな」という感じ、つまり『エセ関西弁』にはそこそこ敏感なつもりでいます。そしてそれが使われてるとか、あるいはしゃべってる人を見ると、嫌やなというか、ちょっと悲しさが混じってくるんですよね。分からんのやったら使うなや、というやつです。とか言いつつ、「博多弁の女の子かわいい」というただそれだけの理由で、作品に登場するキャラにしゃべらせたりしてるんですけどね。

 そういうわけで、関西弁といわゆる『エセ関西弁』について、いろいろ述べていけたらいいな、と思います。先ほども言った通り関西弁を決まったルールに基づいてしゃべってるわけではないので、参考にした動画を挙げておきます。


◇『一発で分かるエセ関西弁の見分け方』https://www.youtube.com/watch?v=XvryvqpfKx4


※あくまで個人の見解です。僕も偉そうに言っておきながらわりと間違います。一般論ではないのでそこのところご了承願います。


▼「なんでやねん」

 関西弁と言えばコレ、みたいなところあるんじゃないでしょうか。ただ個人的に言うとこれをそのまま使うシーンはあんまりなくて、「なんでや」「なんで?」の方が多いイメージです。

 それはいいとして、標準語にもイントネーションがあるのと同じで、関西弁にも独特のイントネーションがあります。小説内で関西弁をしゃべるキャラを出す点で言えばイントネーションは書き表せないので別にいいっちゃあいいのですが、イントネーションがむちゃくちゃだとどちみち他のシーンでボロが出て、「こいつ嘘くさいな」って確信を持たれるので、注意した方がいいんじゃないでしょうか。

 で、「なんでやねん」のアクセントなんですが、ネイティブの関西弁(笑)では「で」にあります。あとイントネーションも、「な」から最後の「ん」まで、終始尻上がりになってます。特に関東の人がエセ関西弁をしゃべる際、「や」にアクセントをつけて、しかもイントネーションを下げる傾向にあると思われます。参考にした動画では嫌らしいくらいあからさまに「や」にアクセントを入れていますが、そこまでではなくとも違和感を覚える発音をする人は多いです。あと「なんでやねん」ばかり使っててもわざとらしさがにじみ出るので、気をつけてみてはいかがでしょうか。


「いやー、今日のテスト簡単やったわー」

「嘘やろ? 全然解けんかったんやけど」

「なんでやねん。勉強したんかお前」


▼「あかん」

 これも関西弁の代表的なものになると思われます。たった三文字のこの言葉のどこがダメかというと、まさに三文字、という短いところなんですね。「なんでやねん」ぐらいになってくるとアクセントをつけられそうな場所が複数出てきて、上のようなミスが発生するのですが、「あかん」だとどう発音すればいいかだいたい分かってしまう。だから普及したんじゃないかなと感じます。英語でも短い単語ってアクセント記号つけるまでもなかったりすると思います。そんな感じです。

 だいたい分かるからこそ、関西弁を使おうとした時にやたらと「あかん」を使ってしまうことも問題です。「ダメ」「いけない」を「あかん」に置換してやればいいわけですから、書く分にもやりやすい。しかしいい塩梅というか、明確ではないんですが「そんなに多用するのはおかしい」みたいな線引きがあるんです。僕も日常会話で「あかん」はよく使いますが、あんまり連発する類のものではないことにご留意ください。


「あかん、終わった」

「どないしたん?」

「寝坊した。絶対間に合わん」

「あー。そらあかんわ。しゃあないな」


これぐらいの頻度なら大丈夫。


▼「めっちゃええやん」

 「めっちゃ」は標準語に輸入された関西弁で最もメジャーなものとしてよく挙げられます。関西弁を使ってなくとも「めっちゃ」は使いませんか? それ、関西弁ですよ。

 一方で「ええやん」もよく使います。人の持ってるものを褒める時なんかにも使ったりするので、英語の"cool"に似た役割を持つのかもしれません。

 別々に使うならアクセントの問題もそれほど表面化しませんし問題ないのですが、セットで使う際には「めっちゃ」側が強調されます。尻上がりにならないので注意ですね。参考として挙げた動画で聞いてみると、結構違う風に聞こえると思います。「ええやん」を強調してしまうともはや別の言葉に聞こえるかもしれない。


▼「来ない」

 「『来ない』を関西弁で言って下さい」と言われた時、どう答えますか?

 これも僕個人の感想になりますが、かなり難しいところじゃないかな、と思います。正解は「けえへん」なのですが、これは大阪弁の場合。京都弁だと「きいひん」になります。

 動画内では間違いの例が「きいへん」になっていますが、これは大阪弁と京都弁が混じって、「それっぽく聞こえなくもない」代物になったに過ぎないと考えられます。「きいへん」と言えばまず間違いなく「パチモンやな」と思われるでしょう。まさか「けえへん」のことではないだろう、という発想になってしまって、通じないこともあるかも。もし言ってしまってにらまれたら適当にごまかすしかないですね。

 この「けえへん」のどこが難しいかと言いますと、「けえへん」と言うのはコテコテの大阪人しかいないんじゃないか、というところ。ミナミの帝王を目指したいのならともかく、「『来ない』→『けえへん』」の変換が必ずしも現状に合致しているわけではないのです。

 実は僕も含めた周囲の人は、「けえへん」より「こうへん」を使います。これも調べてみたところ標準語の「来ない」に引っ張られてできた「ネオ方言」の一つだそうで、厳密に言えば関西弁かどうか微妙なライン。ただ関西弁も日本語という言語のくくりの中にいますし、流動的に変化していっても何ら不思議ではないのかもしれません。一つ言うとすれば、小説中で「けえへん」を使うとむしろ調べました感が出るように思います。よほどコテコテの大阪人に仕立て上げたい場合以外は、「けえへん」は避けた方が無難かも。


▼「ほんなら」

 それだったら、が標準語で相当する言葉でしょうか。それだったら、なんて日常会話ではまず使いません。ほんなら、の方が間違いなくすっ、と口から出てきます。ただ、「ほんだら」は間違い。似てるようですが純粋な関西弁でないのは間違いありません。というのもそうですが、「ほんなら」より発音しにくくないですか……? 「ほ」がほとんど消えかかった「んなら」で言ってしまうこともありますから、そうなるとより不自然さが出ますね。

 「せやったら」とかでも代用できると思うので、「ほんだら」が間違っていることに納得できない場合は、代用を試してみるのも手かも。


▼「せやかて~」

 動画内では「いやそれコナンでしか言わへんで」とツッコミが入って面白いですが、まさにその通りで、せやかてを普段使いするのは平次兄ちゃんぐらいしか見たことない。「せやかて工藤!」

 もしかしたらコテコテの大阪弁になってくると使う方もおられるかもしれませんが、コテコテじゃないなら使うとむしろ不自然、日常会話での使用例も「せやかて工藤」をネタとして発言する場合に限られます。関西人は想像以上に「せやかて」を使いません。すごく関西弁臭はするんですけどね。


▼「行ったねんけど」「めっちゃ好きやねん」

 違うんですかと思ったでしょうか。たぶんこのまま使ってる人はやしきたかじんさんの歌詞の受け売りです。標準語と混ざって中途半端もええとこ、みたいな感じに仕上がってます。前項同様、字面が関西弁そのものに見えますが、まず日常会話で使うことはないですね。特に前者の「行ったねんけど」は軽く殺意が湧くレベル。わざわざ背伸びして言うぐらいなら使うなって話です。訂正するとすれば、「行ったんやけど(行ってんけど)」「めっちゃええやん」というところでしょうか。関西弁自体がなじみ深いからこそ、真似しようとして出るミスなのかもしれませんね。



 いかがでしたでしょうか。ここに紹介したのはエセ関西弁のごく一部にすぎません(というか動画で紹介されてるのがこれだけしかなかった)。

 さて、ところどころ強硬な主張をしてしまって申し訳ありませんでした。ここでタイトルにもある通り「エセ関西弁を使ってほしくない」理由を述べさせていただきたく思います。

 どうしてわざわざ、今さらそんなことを言ったかというと、「関西弁に誇りを持っているから」ということに尽きます。自分の生まれ育った地域の方言を誇りに思う方は多いと思いますが、関西は特にその傾向が強い気がします。東京弁とか身の毛もよだつ、気持ち悪い、と思ってしまうレベルにはこだわりがあります。エセ関西弁を使われるとそれが汚されたみたいで、すごく嫌な気分になるんですね。

 関西弁自体はおそらく多くの人に知られている方言ですし、実際友達同士なんかで使うとぬくもりがあるというか、関係の良さをアピールできるものだと思うのですが、中途半端に真似するのはやめろ、と思います。真似するな、とは言いません。ただこと小説に登場させる際は文法に則りすぎることのないように、日常会話でどう使われているかも調べてみるとか、あるいは実際に関西弁を使っている人に聞いてみるとかもいいと思います。英語の日常会話ではまず使わない文法がある、というのと似ています。

 俺はちゃんと調べて正しく使ってるから問題ない、と思った方、それはもちろん構いません。ただ、ネタのつもりで言った関西弁が、案外関西人に見られて舌打ちされてる場合もあるかもしれないよ、という注意喚起です。僕は「うわ、この子の関西弁、中途半端で痛々しいわ」とならない、関西弁キャラが増えることを願っています。


※補足:関西人は怖いと思っている方。そりゃもちろん一部の人は怖いでしょうが、ほとんどそんなことはありません。完璧な関西弁をしゃべらないと怒られる、なんてこともありません。エセ関西弁を得意げにしゃべられるのが嫌なだけなのです。

※以上は2017年末時点での意見です。様々な感想をいただき考える中で、現在の意見はかなり変化しています。最新五件くらいでもいいので、感想をお寄せの際は、ぜひざっくり感想欄をご覧になった上でよろしくお願いします。

また感想を削除することはめったにありませんが、それこそ馬鹿にするようなニュアンスが含まれていた場合は消します。消されていたらそういうことだと思ってください。

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凄く参考になり、勉強になりました。 自分なりに調べて小説内で使っているのですけど、割とネットに転がっている情報にもエセ関西弁が多くて、関西圏に住んだことのない身としては難しいですね……。 創作作品の…
[気になる点] 感想一覧5ページ目を開いた状態で見ています。 「イントネーション」これは誤用です。音調の意味です。 「『あ』にアクセントです」これも間違い。 京阪式アクセント、東京式アクセント、高…
[一言]  その昔、某サッカーアニメと某テニスアニメの関西弁キャラについて 「サッカーのほうはほんとの関西弁、テニスのほうのはエセ。関西人の声優つかえよ!」  という騒動があったことを思い出しました。…
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