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眠り姫  作者: Matsunami
1/1

ーー

         麻奈


俺の彼女の名前。

彼女の事をみんなは眠り姫とよぶ。俺達の地域の昔話に『姫は、記憶が一日分しか持たないのです。一日経つと王子のことも忘れてしまう…』っていうのがあるから



それは麻奈の誕生日の前日。

麻奈は交通事故巻き込まれ救急車で運ばれた。

その三日後麻奈は意識を取り戻した。大事なものを失って。




秋太)麻奈、大丈夫か?


麻奈)秋太。


麻奈はベットから起き上がろうとした


麻奈)いてて


秋太)無理すんなって、じっとしてろよ。


麻奈)だって。


秋太)お前三日間も意識無かったんだぞ。


麻奈)え、...なんで?てか、なんで私はこんなとこにいるの?


秋太)覚えてないのか?

俺は少しショックを受けた。


麻奈)うん


秋太)まじか



病院の八木先生に呼ばれた。


八木)白田さんのご家族の方ですか?


秋太)いや、麻奈に家族はいなくて、彼氏です。


八木)一緒に暮らしているんですか?


秋太)はい。


八木)で、お話がありまして。


秋太)はい。

俺は八木先生に連れられて別室に入った。


秋太)麻奈に何かあったんですか?


八木)今から話す事はとても大切な事です。あなたにとっても。白田さんにとっても...


秋太)は、はい


八木)今回の事故で白田さんの脳に傷が入っています。


秋太)えっ...!


八木)それが入ったのは記憶を保存しておくところです。


秋太)はい...


八木)傷を負ったせいで1度寝ると記憶が昨日まで戻り、今日の記憶がなくなるんです。




秋太)それって、


八木)これからの白田さんの記憶は進まなくなります。


秋太)そんな、


八木)悪化する場合もあります。


秋太)悪化したら、記憶そのものが無くなるかもしれないってことですか?


八木)はい、時計であらわすと、進む事はできなくって、戻る事しか出来ないということです。


秋太)そんな




俺はショックのあまり言葉を失った。


秋太)先生、俺は、麻奈のためにどうしたら


八木)今、白田さんの記憶が鮮明なうちにたくさんの思い出を作る子ですかね


秋太)でも、麻奈には、残らないんですよね


八木)えぇ、まぁ。はい、そうですが


俺は先生と話を終え麻奈のいる病室に戻った。







麻奈)ねぇ、先生何て?



麻奈のあの笑顔が俺の胸に突き刺さった。



秋太)安静にしとけってさ、すぐ悪くなるかもしれないから。


麻奈)本当~?




俺は咄嗟に嘘をついた....




本当の事なんか言えないから....


秋太)本当だよ、嘘なんか言ってなんか意味あるか?


麻奈)確かに、うちが言ったら何かあるかもしれないけどね


秋太)ははっ。《必死に笑顔を作らないと》ちょっとトイレに行ってくる。



 俺は麻奈に背を向けてトイレに向かった


 背を向けた瞬間俺の目には涙が溢れていた


 トイレに着くと俺は涙をボロボロこぼしていた。




秋太)なんで、麻奈だけがこんな目に遭わないといけないんだよ




 俺は悔しさでいっぱいだった。




俺は、涙を拭った。


秋太)俺が悲しんだところで何も変わらないし、麻奈が逆にあれだな。

俺は麻奈の病室に戻った。


麻奈)あれ?秋太目が腫れてるじゃんか。


秋太)あ、ドアの角にぶつけてさ。


麻奈)えー痛いじゃんか。でも相変わらずどんくさいな~。でさ、明日うちの誕生日じゃんか、どっかいこー


秋太)うーん、まず体休めようよ。


麻奈)えー


秋太)また明日来るからさ。


麻奈)うん。




それから毎日俺は麻奈の病室に通った。


麻奈)あ!秋太!


秋太)来たよー。


麻奈)ねぇ、明日私の誕生日じゃんか。どっかいこー






  麻奈は毎日その質問をしてきた。


  



秋太)なら、明日迎えに来るね。




  毎日俺はそう答えを返していた


  今日の麻奈は、明日が無い事を知ってて...


明日の麻奈は、次の日が誕生日


  俺は明日も同じ答えを返すしか無い


  明日の麻奈は、明後日が無いのに.........





ある日の事


秋太)麻奈!退院する事になった!!


麻奈)本当?


秋太)ああ、




  俺は嬉しさの反面、不安もあった。



俺と麻奈は家に帰っていた

すると麻奈が


麻奈)ねぇ、今どこに向かってる?


秋太)どこって、家だぞ


麻奈)えっ..こんな道わかんない、うち...


秋太)嘘だろ?もうここ近所だぞ。


麻奈)待って、思いだせない


秋太)何を?


麻奈) 家を




彼女は俺が思っていた以上に状態が悪化していた。




秋太)麻奈...


麻奈)どうしよう...


彼女はショックのあまり泣き出してしまった。


秋太)大丈夫だって...


麻奈)...大丈夫なわけないじゃんか。私、秋太のことも忘れてしまうかもしれないいんだよ....


秋太)ごめん




俺は麻奈の傍にいることしかできなかった。



麻奈の記憶は日に日に薄れていった


そんな日の中、俺はひとつのことが思いついた。


秋太)麻奈~、これ


麻奈)ノート?


秋太)うん。ここに一日一日あったことを書いていく、そうすると見返すと分からないことも思い出せれるじゃん


麻奈)ありがとう、ごめんね。


秋太)それから、今覚えていることも書いておくと、これからさ、うん


麻奈)うん。


秋太)覚えてる?麻奈。話すようになった頃のこと。

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