表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/39

26 決闘と初めての魔法

そろそろ設定をまとめようと思いました。

「ぬぅんッ!!」


 ぶぉん! と風切り音と共に振られる長剣。先ほどは俺を容易に両断したそれは、だけど進化した両手に防がれる。がぎん! とまるで金属の擦れるような音と衝撃が俺の腕を襲う。

 けど――


『今度は、斬れると思うなよ!』


「今度は……ッ!?」


 頭に疑問符を浮かべた顔を目がけて、俺は両手を振り上げ、長剣を弾き上げる。


 って、これすっげぇパワーだな!? 進化したおかげなのか、俺の力はどうも相当上がっているみたいだ。何故進化したのかはわからない。だけどそういうことなら利用させてもらおうか。

 未だ能力値のわからないこの身体。

 確認がてらにやってやろうじゃんねぇか!


 弾き上げると同時に、両手をたたき込み、距離を取る。

 速い。

 どうも速度も、相当上がっているようだ。


「ぬ、ぐ……!」


 カールは間一髪、その長剣で俺の両手を防いでいた。

 しかし腕に力が入らないのだろう。俺の方を見て歯噛みしたような顔で冷や汗を垂らしている。


 警戒は解かず、しかし様子見するようなカールを見やり、俺はステータス画面を開く。



 種族:ルイン・ゴーレム

 名前:ルティア

 年齢:0

 性別:

 称号:【異世界の住人……もの?】【百獣の王】【殺人者】【砕けない心】【森の破壊者】【死を見たもの】

 Lv:1


 HP:205/205

 MP:137/137


 体力:55

 攻撃:62

 防御:78

 魔力:70

 速度:35

 幸運:7


 スキル:【堅牢 Mx】【異世界語 2】【念力 Mx】【流星 Mx】【念話 5】【浮遊 Mx】【魔法の才能】【土魔法 1】



 すっげぇ! なんだこれ!

 未だに比較対象がいないからわからないけど、過去の俺のステータスから考えてみると相当だ。


 地味に幸運が上がってるのがちょっとだけ嬉しい。


 ざっとステータスを見る限り、全ての能力値が上がっている。

 なんか知らないけど魔法の才能もあるみたいだし、いつの間にか土魔法なんてものも覚えている。どういうことなのかわからない。

 わからないけど。


(土魔法ってなにが使えるんだよ……?)


【使用できる魔法を参照しますか?】


(参照できるのかよ!? しますします!)


【現在使用できる魔法の一覧を表示します。現在使用できるのは以下の通りです。

 ストーンロック

 ブレイク

 サンドストーム】


 ほうほう、どうも三種類もの魔法が使えるようだ。

 その効果を確認しようとした瞬間、俺が動かないのを見て隙と見たのか、一閃、長剣を振り被る。


『くっそッ!』


 俺はその場から飛び退き、距離を取る。どれも明らかに攻撃に寄っている魔法だと思うのだが……いいや、考えている暇はない。


 だいたいゲームが好きならある程度はこんな魔法なんだろうなと予測できる。だから俺は一番予測しやすく、かつ攻撃力の高そうなこいつを選ぶ。


『ストーンロックッ!!』


 使い方はわからない。それでもこの身体は俺のやりたいことに答えてくれる。

 身体から魔力の抜ける感覚がして、周囲の小石が浮かび上がる。ぱらぱらと土砂をめくり上げ、俺の周囲に浮遊する小石。


 無数の小石は俺の魔力に包まれ、青白く発光している。

 それはまるで、流星のようで。


 なんか少し前の自分みたいでちょっとフクザツ……。

 でも。


『いけッ!』


 一つ一つは小さな石だけど、数が集まればそれはもはや嵐だ。

 カールに向かって殺到する。

 

「なッ! 魔法だと!?」 

 

 驚愕の声をあげ、カールはその脚を止めた。その場から逃げればよかったのに、カールは立ち向かうことを選んだ。

 いや、決闘を選んだからだろうか。騎士道精神ってやつだろうか。

 なんでもいい。


「おおッ――!」


 ごがががががががががががががっ!

 声をあげ、カールは両手で持った剣を使って小石たちを弾き、防ぐ。それだけじゃ、無数に襲いくる小石は壊しきれない。

 防ぎきれなかったその他のいくつもが鎧に当たって、地面に落ちる。


 衝撃は殺しきれないようで、一発一発とぶつかる度にカールの身体が衝撃に揺れる。


 俺はもう決めた。

 決めているのだ。

 これからのこと。だからその為に、人を殺すこともできる。もうやって、俺は後戻りなんてできやしない。だからこそ、この隙を見逃せない。


『ブレイク……!』


 また魔力が抜け、俺の両手が赤く発光する。

 まるでカギ爪のようなそれも相まってなんとも凶悪なフォルムだ。


 どういった魔法なのかわからないけど、こうなるってことは、なにかが付与されたに違いない。ゲームや漫画やアニメでも、どんなものだってそういうものだって相場は決まっているんだ。


 浮遊の為の魔力を使って移動する。これも以前よりも使いやすくなっている。動きやすい。走りやすい。

 いまだ石の嵐の中にいるカールに向かって突撃する。

 

「なにッ!?」


 移動する俺を見て、カールは何度目かの驚愕に顔を染め上げる。

 しかし動くわけにはいかない。その嵐から防ぐのをやめた瞬間、顔面にも殺到するのだ。

 カールは動けない。俺は動くことができる。

 そんな単純なことが、この勝敗をわけた。


『くらえやぁああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!』


 ごぎん! と金属が割れるような壮絶な音が響き渡る。

 やったことは単純明快。近寄って、殴るだけだ。ただそれだけのことを、無防備な腹に向けて打ち付けた。

 カギ爪とブレイクの魔法の効果を加えて、まるで抉るように貫いた。

 ばぎゃん! と全身の鎧が砕け散る。


 そして――


「ぐっぬうううううううううううううううううううううううううううううううッ!?」


 その全身を、無数の石が打ち付け、吹き飛ばされる。


 ――――俺の、勝ちだ。

感想、評価、ブクマ等、してもらえれば喜びます。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ